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青い町の半分のオレンジ

作者:胚芽米
──古い哲学者の考えじゃ、人間はもともと二人でひとつだったらしい。男と女、女と女、それから男と男だ。──

「放蕩息子のリカルドが帰ってきた」
レストランのオーナー・マルティンが言った。実に十年ぶりの事である。
海と山に隔たれた小さな町ガラノスに、いつもの賑わいとは違う騒々しさが拡がった。

オレンジ売りのシモンは、八年前に丘の上の農場に来たもので、リカルドという男をよく知らない。
ただ整った顔立ちと異国の豪華な装いをひけらかし、昼間から酒瓶片手に、女と見るや声をかけては気ままに遊んでばかりのようだ。
若い娘は皆、そんな彼の虜になった。シモンを含めた男たちは嫉妬と羨望に駆られ、年寄りはマルティンに気を遣って、見ないふりをする……。
しかしリカルドには、ある大きな野望があった。

〇近世の地中海地方、架空の町を舞台にした、海の向こうから帰ってきた旅人×何も知らず小さな町で暮らす少年のお話
〇8月1日(木)から火、木、土曜日の朝9時更新
※同性同士の恋愛、直接的な性描写はありませんが直前までと翌朝表現があります
この作品はエブリスタにて【特集 運命の恋】に掲載されました
Ⅰ 放蕩息子
2024/08/01 09:00
Ⅱ シモンとホセ
2024/08/03 09:00
Ⅴ 酒場ルビーニ
2024/08/10 09:00
Ⅵ 夜の屋上
2024/08/13 09:00
Ⅷ 翌朝
2024/08/17 09:00
Ⅸ 農場にて
2024/08/20 09:00
Ⅹ 屋根裏部屋
2024/08/22 09:00
XI 藁のベッド
2024/08/24 09:00
XIII 夜明け
2024/08/29 09:00
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