表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

頼れる仲間の目が死んでいる

 目を覚ますと、見覚えのない四つの顔がわたしの前に現れた。……あれ、おかしいな。わたしの記憶が正しければ、わたしはこれからセンター試験を受けるはずだったのに。


 左腕の腕時計で今の時刻を確認しようとして、フリッフリのフリルが視界に飛び込んでくる。


「なんじゃこりゃ!」


 わたしは仰向けに寝たまま――上体を起こしたら四つの顔のうちの一つに額をぶつけてしまいそうなので――両手をわっさわっさと動かして現在の服装を手探りで確認する。手触りが制服のそれではない。わたし、いつの間にか着替えている。首元にはシルキータッチのリボンが巻かれていて、なんだか落ち着かない。


「女王様がお目覚めになられたゾ」


 四つの顔のうちの一つは、紅色の瞳。

 その身体は朱色の羽毛に包まれていて、鳥アレルギーの人が見たら卒倒しそうだ。


 というか手じゃなくて立派な鉤爪(かぎづめ)

 きっと今、わたし、ギョッとした顔になっている。


「これからフェスティバルの準備をしなければですね!」


 四つの顔のうちの一つは、藍色の瞳。

 爬虫類(はちゅうるい)みたいな身体の色は空色。


 グッと握った拳は、トカゲみたい。


「待たれよ」


 四つの顔のうちの一つは、翠色の瞳。

 藍色の瞳のトカゲがそのふぇすてぃばるの準備のためか、その場から離れようとするのを制した。


 亀の足みたいな手をしている。


「そうだよ。ちゃんと賢者さまがいらっしゃったのかを確認してからだよ」


 四つの顔のうちの一つは、金色の瞳。

 頭の上に白いネコミミがついている。


 手には肉球がついていて、腕はトラ模様。

 肉球でわたしの頬を撫でてくる。


 ぷにぷに。

 ぷにぷに。


「女王様のほっぺた、もちもちだよ!」


 わたしが、女王様?

 さっき、朱色の鳥くんも目を覚ましたわたしを女王様って言ってたね?


「ボクにも触らせてほしいな!」


 トカゲくんがトラくんの次にわたしの頬を触ってきた。


 ピトっ。


 トカゲくんの手が湿っていたから、わたしは「冷たぁ!」とその手を払ってしまう。


「そんなぁ……」


 しゅん、としょげた顔をされても。

 冷たいなら冷たいと事前に言ってくれていればわたしも心構えができたってもん。


「ふむ。その様子では、女王様は我らの知る女王様ではないのであろう」


 亀くんが生えていないあごひげをいじりながら所感を述べた。


 そうですとも。

 わたしは四人の半人半獣みたいな方々から「女王様」と呼ばれるような立場ではなくてですね。


 これからセンター試験を受ける予定の、いたって普通の女子高生なのですよ。

 お分かりいただけるか。


「わたしは大葉彼方(おおばかなた)です。あなた方のお名前は?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ