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そろそろ陽も落ちてきたので、
休憩しましょうかね〜
「よ〜し!今日はここで休もっか!」
「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ…」
「はぁはぁ…ゴホッゴホッ…はぁはぁ…」
おふす。少年少女が今にも死にそうだ。
その場に倒れ込んで起き上がらない。
「んー、キツかったぁ?」
「も、もう…う、動けません…」
「お、俺も…む、無理だ…」
そっかぁ〜。うん、お疲れっす!
「じゃあ、そこでゆくりしててよかよ?」
「く、クロさんは…どうされるんですか…?」
「んー、テント立てて〜飯つくろうかね?」
「ご、ご飯なら…わ、私も…手伝います…」
「お、俺だって…テントぐらい…っ!」
バロくんもクーミンちゃんも手伝おうとしてくれてるけど、立ち上がることが出来そうにない。
「いいっていいって。お兄さんに任せなさい!」
僕は鼻歌を歌いながらテントをササッと立て、
料理を作りはじめた。
もちろん、火魔法での料理だぞ☆
「しょ、食材も持たれてたんですね…」
「んー、そうね〜」
完成した料理を食べてもらう!
どうだ!長年1人暮らしした男の料理はっ!
「お、おいしい!」「う、うめぇっ!」
「よかったよかった!どんとお食べ〜」
明日からも全力で走ってもらうからね☆
「そのテントで寝てね〜。あっ、男女別がよかった?」
「えっ!?…あ、あのクロさんのテントでは?」
「え?2人に使ってもらおうと思ったんだけど…僕は、ほら!ゴブリン来たら嫌じゃん?」
「そ、そんな!クロさんが見張りをしてくださるんですかっ!?」
「それは俺だって出来るっ!オッサン1人に頼るかよっ!」
「んー、明日も走ってもらうつもりなんだけど」
「うげぇ…」
「だから、2人はゆっくり寝てね〜」
「あ、ありがとうございます…」
では、甘えさせてもらいます。とクーミンちゃんはテントに入っていった。
バロくんは悔しそうな顔をしながらも、
しぶしぶ、テントに入っていった。
夜になってテントの中で、
僕が襲ってこないか心配だったのか、
バロくんはたまに起きては確認していた。
クーミンちゃんはスヤスヤと寝ているのに…
うんうん。いいパーティじゃん
本当に僕がヤバたんだったら危険だもんね!
次の日から朝早くに起こして、
陽が落ちるまで全力で走らせ続けた。
普通に走らせてても間に合わないと思い、
バレないように風魔法で速度アップさせて、
走らせた。
「はい!はい!はい!はい!」
「はぁはぁ…はぁはぁ…」
「ほい!ほい!ほい!ほい!元気に〜!」
「ぜぇはぁ…ぜぇはぁ…」
それからはバロくんも、
グッスリおやすみになっていた。
もう襲われないってわかったみたいね〜
う〜ん。僕的にはいいんだけど…
早く着くことが出来るからさ〜
でもさ〜…普通はそんな簡単に信用しちゃ
メッなのよ〜!!
ちょっとだけよ〜
僕はスヤスヤ眠っているテントに向かって、
ほんの少しだけ殺気を向けた。
ガタガタ!ゴトンッ!
「どした〜ん?」
テントの中を見るとバロくんとクーミンちゃんがガタガタと怖がっていた。
ありゃりゃ!ビビらせすぎちゃったかね!
「い、いいいいま…な、なな、何が…?」
バロくんがガタガタと震えながらも、そう言った。クーミンちゃんは声も出せそうにない。
「怖い夢でも見たんじゃね?でもさ〜、そんなに簡単に人を信用しちゃダメよ〜。もし、バロくんが言ってたみたいにさ〜。僕が悪い奴だったら、信用してもらう為に時間をかけると思うんだ〜。だから、本当に信用できる人なのか…ちゃんと見なきゃダメよ〜。わかった〜?」
バロくんもクーミンちゃんも、
ブンブンと頭を振っている。
うんうん。わかってくれてお兄さん嬉しいよ
「よしよし!悪い奴は僕がやっつけっからさ〜。明日も走るから身体を休めてね〜。ゆっくりおやすみ〜☆」
思ったよりも怖がらせちゃったけど…
まぁ〜いっか〜!