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そんなこんなで着きました!!
シェルくんがいた街に!
懐かしきあの武器屋に!!
とりあえず、シェルくんとかガリオン、タロウくん達を見てたから似たような服装にはしたけど…
やっぱり黒髪だと違和感あるんかな??
あっ、意外と人は見てないもんねぁ〜
「らっしゃい!」
「あっ、ども」
「何か探してるんか?」
「あっ、そっすね。使えそうな武器、あります?」
「そうだなぁ〜…兄ちゃんはどんな武器を使うんだ?」
おー、久しぶりに普通に会話しとる。
「あー、使ったことないんすよ〜」
「あ!?その歳でか!?」
「え?なんかマズいっすか?」
「いや…あんた冒険者じゃねぇのか?」
「あっ、はい。冒険者にはなりたいっすけど」
「なら、まずは冒険者組合にいきな!そこであんたの職業を調べてもらえっからよ!剣士なら剣、戦士なら斧でもいいかもな!話はそれからだ!」
「へー、そうなんすね」
「あんた、そんなことも知らねぇのか!」
「とりあえず、触るだけ触ってもいいすか?」
「まぁ…仕方ねぇな!とりあえず、木の棒でも振ってみろ!」
おぉ!ブラザーズよ!
新しい弟達がこんなにもいるとはっ!
どうか…ガリオンとは出会いませんように…
僕はそれを願いながらも1つ手に取り、
ブンッと振ってみた。
「へぇ〜、いい感じじゃん!」
「おお!あんたは戦士かもしれんな!装備は出来るか?」
んー?装備ってなに?
「装備って何すか?」
「あ?何言ってんだ?普通に装備コマンドをしたらいいだけじゃねぇか?」
「あー、装備コマンドっすよね〜。ははは〜」
ねぇよっ!んなもんねぇよ!!
装備コマンドって何だよっ!?
そもそも僕は木の棒だってのっ!?
装備される側だってのっ!!
なんて心の声を鎮めてから、
弟を静かに元の場所へと戻した。
うん。戦士系の職業にはなれないっすね!
魔法スキル覚えてそっち系ってことにしよう!
「魔法使う系の職業って、何があるんすか?」
「あ?あんた魔法にも興味あんのか?やめとけやめとけ!あれは才能がねぇとなれねぇよ!でも、もしあったら魔導書を覚えて…」
あー、なんか親父さんって優しい人だなぁ。
色々と話してくれてるけど、
全然、頭に入ってこねぇわ〜
うん。とりあえず、早く教えてよ。
なんて職業があるん?ねぇねぇ?なんなん?
「…だからな!まぁ、可能性があったとしても魔法使いが妥当じゃねぇか?魔術師や治療師なんてもあるが…魔法使いと判定されたやつが血の滲むような努力を重ねて、やっとでなれる職業みたいだからな〜」
「へー、そうなんすね!あざました!とりあえず、冒険者組合に行ってみますわ!」
「おう!武器を買う時はここに来いよ!」
へーい!買うことは無いんだけどね〜!
まぁ、使うことは出来るから、お金があったら使ってあげてもいいけどね!ある意味、実家みたいな感じだしね!
そして来ましたよ!冒険者組合!
おうおう!いかにも冒険者ってゴロツキが多いじゃないですか!!
うん。なんか、こわい…
「やった!俺は戦士だ!」
「坊主達、これでお前らも冒険者だな!」
「うん!」
「ちゃんと受付の姉ちゃんの話を聞くんだぞ!」
「わかってるよ!」
あっ!なんか子供が冒険者登録してるみたいだ!
怖いオッサン達がホッコリした笑顔で見守っとる!
あれ?意外と怖くないんじゃね?
「あっ、すんません。冒険者登録したいんすけど…」
僕がそう言うと、周りのホッコリした空気が、可哀想なやつを見る空気に変わった。
え?なんで?
「あの歳で冒険者登録って…」
「おい!バカ!なんか理由があんだろ!」
「でもよ!10歳の成人した時に基本、登録するだろ?見たところ20歳は超えてるよな…」
「何か理由があって、無職になっちまったんだよ…。可哀想にあの歳から冒険者をやらなくちゃいけなくなったなんて…」
わぁお!成人10歳!おめでとう!!
そりゃ成人の2倍以上の歳の僕が登録って言ったらこんな感じになっちゃうね!
でも、いいんだ!木の棒から人になれたから!
これから人としてのライフをエンジョーイするもん
「あの…え、えっと冒険者登録ですね」
おふす。受付のねーちゃんドン引きナウ!
「あっ、はい。おねしゃす」
「えっと…わかりました。ご説明は必要ですか?」
「ちゃっす」
なんかテンプレのF〜Sまでランクあるよ〜
悪いことしちゃメッなのよ!
とか、説明を聞いた。
「それではこの水晶玉をお触りください。どのご職業が適正なのか判断できますので…」
「あっ、だいじょぶっす」
「え?いや、あの基本的に適正判断の為なので一応、触ってもらえますか?」
「いや、だいじょぶっす。ぼく、魔法使いなんで」
「いやいや、それを判断させてもらう為にも一度触っていただいて…」
「いや、職業は魔法使いって決めてるんで!だいじょぶっす!魔法使いでおねしゃっす!」
「あ、あの…適正のない職業ではご登録できないのですが…」
「適正あるんで、だいじょぶっす!」
「いえ!そう言われましても…」
「ちょっと!アン!いつまでオッサンの登録してんのよ!こっちも忙しいんだから!チャッチャッと終わらせる!」
「先輩!す、すいません!」
おふす。先輩からのパワハラ、乙。
「え、えっと…でしたら、魔法使いですね。本当に魔法は使えるんですね!?」
「だいじょぶっす」
後でちゃんと魔法スキルとっときまする!
「はぁ…わかりました。でしたら、冒険者カードを作成いたしますので、お名前をお聞きしていいですか?」
「え?なまえ〜?」
なまえって何だっけ?
あっ!名前ね!考えたけど、ねぇわ!!
どうしよ〜…名前かぁ〜…どうしよぉ〜!?
「あの…お名前…言えないのですか?」
「だ、だいじょぶっす。え〜っと、そうすねぇ〜…う〜ん。あっ!クロでいいや!」
「クロでいいや!?」
「あはは〜!何言ってんすか?僕の名前はクロって言うんすよ!いいやなんて言ってないっすよ?」
「今、考えてましたよね!?」
「ちょっと!アン!?まだ終わらないの!?」
「す、すいません!」
おー!先輩、こわす!
ガリオンが黒色で紋様つけてくれてたし〜
昔、ブラッククロスってダークヒーローが好きだったんだよな〜!厨二感満載でさぁ〜!
骸骨みたいな顔にバッテンがついてて、
それがツノみたいになっててさ!
肘からもツノみたいなの出てて!
所謂、鬼と悪魔、死神をモチーフにした、
ダークヒーロー!!
厨二には堪らないカッコよさ!!
そして、無手で戦うというね!!!
てか、ブラッククロスに変身できんじゃね?
こんど試そっかなぁ〜…
「あの!クロさん!聞いてます!?」
「え?あっ、はい!」
「絶対、聞いてませんでしたよね?」
「あはは〜」
「笑っても誤魔化されませんからね!」
おふす。アンさんがどんどん強く当たってくる。
ぶつかり稽古なら得意ですぞ?
「はぁ…これが冒険者カードになります!依頼を受けるならあそこの紙を取ってきてください!Fランクからなので、高いランクの依頼はできませんからね!冒険者カードも無くさないでくださいよ!」
「おっけーっす」
「はぁ…じゃあ、こちらになります。クロさん…死なないでくださいね?」
最後は少しだけ心配した表情で話してくれた。
「死なないっすよ?」
僕がそう返事を返すと、
わかりましたと笑ってくれた。