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傷のこと
昔から、そうだった。
傷付けられるのも当然嫌だけど、
それよりも大事な人たちが傷付く方が嫌だ。
ボクは心を、彼女は身体を。
そのどちらが痛いのかなんて、
そんなの傷を実際に負った者にしかわからない。
でも、心配になることだけは確かだ。
不安定なまま不安を並べても、
また涙が溢れて身を切り刻まれるだけだ。
しばらく、ボクは消えよう。
あとのことは無駄に明るい奴がどうにかする、
そう信じて一度この冷たい感覚を消そう。
夏が来る。
暑さで頭の奥までクラクラするくらい、
余裕の無い夏が。
この傷口には、ちょうど良い。




