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イブキ外伝  作者: @METAMETA
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第一話 みんないってしまった・・・

追放された新鋭冒険者の放浪と成長の旅、彼女は何を得るのか?


 一つの暴走ダンジョンを安定化できた。ユキ姉さんのやりたかったことが完了した。やりたかったことの一つだっけ?さあ次のターゲットだ。


 カグラによるとだいたいこの世界の40%くらいダンジョンの安定化できているらしい。そのほかは、暴走ダンジョンの状態でBステージにも至らないところらしい。アタッカーはギルドや国の支援を得て暴走ダンジョンの安定化をやっている。


 けど、安定化したダンジョンも管理できず、また暴走することも起こったり、一進一退だって。


 しかし、マリオネットなどの魔動技術による新兵器の進化と共に、現在では我々人類が押しているらしい。


 私達“赤い砂塵”は、次の暴走ダンジョンの安定化に取り組むってことなんだけど、兄さん曰く、


『お前は一人で行け』


「え!」


なんで、兄さん、なんで??


『お前には経験が必要だ』


「はい??」


『イブキ、いい機会だ』


『お前は何がやりたい、なんで暴走ダンジョンに挑む、ユキやカグラは自分の目的のためにそれをやる。俺もそうだ』


『俺は誰にも支配されない自律を掴みたい、そのために強くなりたい、強くなるために、この世界の強者に挑む、挑みの先に成長がある。魔物も暴走ダンジョンも俺にとっては手段だ。強さも手段だ。どうでもいい。効率のよい違う手段があればそっちを選ぶ。それが目的と手段というやつだ。手段は変えていくものだ。けど目的は変えてはいけない。お前の目的はなんだ、お前は俺を超える潜在的な力がある。その力をどうしたいんだ。なんで暴走ダンジョンに挑む、お前の目的はなんだ』


 私の目的は何だろう。兄さんや姉さんやカグラと一緒にいたい。兄さんや姉さんやカグラのようになりたい。これが目的??? 


「・・・にっ、兄さん。。。わからない、一緒にいたい、それだけ・・・」


『そうなんだ。そんなもんだ。今はそれでいい。けど、お前もそれを考える時がきたと思った』


『お前は力を手に入れた。力あるものは責任がある。もう守られている側ではない。お前はそれを考える時だ』


「に、兄さん、私は、私はその、」


『力を持ったものは、その力ゆえ、ちやほやされる好都合な状況が生まれるだろう。その都合の良い状況を維持することを目的としてしまう輩もいる。力で何がしたい、カグラがお前に言ったのを覚えているか、お前が魔物と対峙した時は、悪の情念もお前を見ている。お前を取り込もうとしている。お前は一度囚われるという経験を積んだ。あれもそうだ。お前がどうしたいか、それがないと危ない。自分がないやつは危険だ。自分がなく力がある奴はもっと危険だ』


「・・私は、私は・・・」


『いいか、お前はクラーク卿の提案した王女の地位を蹴った。つまらないものに囚われていないのは知っている。お前が根源力のことを朝日が昇ると称していたな。お前は朝日のように純粋で無垢だ。それは、とても大事で素晴らしい。けど、何にでも染まりやすい。ユキやカグラの敵である悪の情念にすらだ』


「に、兄さん!」


『朝日として昇ってみろ、世界を見てみろ、世界を照らしてみろ、お前は一度、スミレの大地を照らした。そうだろ』


「兄さん、いや!見放さないで!兄さん、兄さん!」


『ゲンジ、僕はイブキと一緒に行くよ』


『カグラ、お前もわかっているだろう。このままではいけない。誰かが導く段階は過ぎた。こいつは相当の存在だ。だが俺達に深いところで依存している。自分がない。何も知らない。守られるまま、言われるままここまで来た』


『ゲンジ、それはわかるけど、まだ一人じゃなく、まだ僕が必要だよ』


『言うな、カグラ。その段階は過ぎた。一年だ。一年後俺たちはこのBステージで落ち合う。イブキ、その時にお前が来られなかったら俺が探し出す。お前はどんな失敗をしてもいい、失敗をできる限り積み重ねろ。カグラ、イブキの失敗する機会を潰すな。生きる目的を見つけろ。一年後のお前が何を経験したか、俺に聞かせてくれ。一年後、お前が闇に落ちきっていたら俺が切ってやる。落ち切っていない限り、俺はお前を見捨てない』


『イブキちゃん。ゲンジはイブキちゃんが必要なことを言っているの。ゲンジの目的の一つに“あなたを守る”が入っているの。私もよ。だから信じて』


『僕はイブキと一緒にいたい。・・・僕は・・・』


『カグラ、行くぞ!』


カグラは歯を食いしばっている。そして兄さんに促され、マントの中に消えた。ユキ姉さんも消えた。兄さんも転移した。


「兄さん!姉さん!カグラ!いや!!!!!!!」



意識も繋がらない。みんな行っちゃった。

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