事故後
相手の男性には家族があり、その日は娘の誕生日だった。
車内には娘のプレゼントらしきヌイグルミや小物があり、幸せそうな家族が想像できる。
事故の後の記憶があまり無かったので
警察の方や目撃者の証言で当時の事を聞かせてもらった。
目の前の衝突の後、僕は車に駆け寄り泣き叫びながらドアを開けようとしていたらしい。
ひしゃげ潰れて、取っ手や繋ぎ目の無い車を掻き毟るように
現場の周りの人々が救急車や警察に電話をしてくれ、パトカーや救急車が来た時でさえ
周りの人々の制止を押し切って、ずっと車の中の両親を助け出そうとしていたらしい。
その後、救急車に搬送される3人と共に車に乗り
気付けば両親が並んで寝ている下で嗚咽と慟哭に濡れてしゃがんでいた。
そしてそのまま気が遠くなって
落ち着いた頃には
相手の奥さんと娘さんが目の前に居た。
奥さんが何かを喚き散らし、傍の娘さんが泣きながら何かを言ってるのだが…
言葉は解るのだが、申し訳ないが頭には理解出来なかった。
その後、警察や色々な人が質問や話をされたのが頭に入らず
気付けば夜になり、場所は病院の屋上だった。
多分…死のうと思ったのだと思う。
しかし
背後から見知らぬ少女に声を掛けられた
「貴方の両親を絶対に許さない!
貴方が死んでも、いつまでも全員許さない!」
…そう言う少女に僕は
「ごめんね」と言うだけしか出来ず、暗闇の中に身を投じようとした時
「お母さんも許さない!
私を置いていく全員を絶対に許さない!」
そう少女は言った。