ザ・ジョブ~女の仕事、男の仕事
ミキヒサと海苔夫は夕飯を喰った帰りだ。
「女子大生が刃物で脅されただって?」
ビルのニュース掲示板に文字が流れる。
「怖いっすね」
強盗強姦集団がうろついているという。
「だけどさぁ、問題は処女かどうか?だよな」
「そうっすか?」
「そうだよ。いいか海苔夫、女子大生が二人いてさ、一人は処女、もうひとりは非処女としようぜ?」
「はあ」
「どっち助けるよ?」
「そりゃ、やっぱり処女っすかねえ」
「だろ?非処女はオトリにするか、身代わりにするかして処女を助けるよな」
「まぁそうでしょうね、こっちの時間と資源も限られてますからねえ」
「そうだよ。処女でなければ女でも人間でもないんだよ」
「そ、そうっすかね!?」
「そうだよ!」
「でもアニキ、処女がすっげえブスで非処女が可愛くても処女を助けるんスか?」
「あったりめえだろ?そんな可愛い非処女には男がいるに決まってる。こっちがリスクしょって助けてやってもよ、助けられた女は彼氏のクルマで帰るんだぜ?礼も言わずによ。それでホテルで彼氏に慰めてもらうんだ」
「そういうもんすかねえ」
「そういうもんだよ、非処女は女でも人間でもない!そんなもののために命を捨てる男はいねえ!」
「は、はあ……」
「おい、近道するぞ」
「おっ、こんなところに道あったんすね」
二人がそうやって路地裏を進んでいくと、なにやら物音がする。
「いやっ、やめてっ!!」
「騒ぐんじゃねえ、殺すぞ!!」
橋の下に連れ込まれた2人の女子大生が男たちに襲われている。
押し倒され、キスをされそうになっているが懸命に顔を背け、服を脱がされそうになりながら必死に抵抗している。
「海苔夫、いくぜ!」
「えっ、アニキ、どっちが処女で非処女かわかりませんぜ?」
「バカヤロ!」
ミキヒサと海苔夫は駆けつけると男たちに立ち向かった。
「やめねえか!!」
「なんだてめえら!?」
「正義の味方だコノヤロ!」
「おりゃっ!」
「あたたたたーっ!!」
少々反撃されたものの、なんとか撃退した。
悪漢達は逃げ出した。
「待てやーッ!!」
「海苔夫、もういい、あとは警察に任せるぜ」
海苔夫がスマホで110番をする。
涙ながらに感謝する女子大生たち。
「怪我はねえか?お巡りさん呼んだからよ、パトカーで帰るといいぜ」
「周りに仲間がいるかもしれねえからな」
女子大生達が言った。
「お礼がしたいのですが……」
「連絡先を‥…」
ミキヒサは言った。
「君たちは処女だろ?清純で清潔な、素敵なカオリがするよ」
黒髪メガネ女子大生たちは顔を赤らめながらもしっかりと深く頷いた。
遊んでいたわけではなく、学校帰りに突然ナイフを突きつけられて拉致されたのだという。
「だから俺たちが通りがかったんだし、だとすれば礼は既に受け取ってる。処女の感謝と無事さ」
「アニキ、パトカーが来たっぽいっす」
「おう、じゃ行くぜ。あばよ、お二人さん」
二人は路地裏から大通りに出た。
「近道のはずが、時間かかっちゃいましたね」
「だけどお前にもわかっただろ?」
「押忍!処女を守るのは女の仕事だけじゃなくて、男の仕事でもあるんですね」
「合格だッ」
ミキヒサは海苔夫の腹に軽くパンチした。




