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らくはどう?  作者: 涙涙涙
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第9話 勇者の一撃

漆黒の鎧に身を包み不敵な笑みを浮かべ立つ魔王


聖剣を構え黄金色の輝きを放つ鎧の勇者


勇者を支えるべく精進してきたその仲間たち


決戦の舞台は整った!!


(主さマ、鯨の切り身が程よく解凍されてますヨ)


(おいおい、我は決戦中だぞ。緊張感なくすなよ〜)


(あらあラ、ごめんなさイ↓)


(まぁ、ちゃっちゃと終わらせるから、鯨肉のしゃぶしゃぶでもやるとするか!)


(はイ!待ち遠しいですネ↑)



ったく。けしからん。腹の虫が鳴り響くわ。


「くっ、みんな気をつけて!雷魔法がくるわよ!」

「「「応!」」」


いや、腹減りすぎて鳴っただけだから。

ま、せっかく構えてくれたから初級雷魔法でも。


えぃ!


右手を上に振りかざし、フワッと勇者と仲間の間に雷を落としてみた。


ーーー!!!!!ーーー


轟音とともに閃光が走る


黒曜石でできた床に直径20メートルほどのクレーターができあがっている。


(あちゃ〜 こうなるよね)


⁉︎勇者達は…


見回すと、手前にいた勇者が右手の壁に叩きつけられて気を失っているようだ。

仲間たちも反対側の壁に叩きつけられて満身創痍になっている。


(ヤバい、どうしよう。。。)


ゴソリと音がする方向を見ると、僧侶がなんとか立ち上がろうとしていた。対雷魔法防御結界を展開していたのだろう。


(頑張れ!踏ん張れ!!)


思わず手を貸したくなる。。


ヨロヨロと立ち上がった僧侶が長めの詠唱に入っている。立っているのがやっとに見える。


(しめた!全体治癒魔法を全員にかける気だ!ふぁいと!)


「〜〜〜■◆▲ 全体治癒魔法!!」

僧侶が唱えた瞬間、玉座の間を淡い緑色の光が包み込む


魔法を唱えた僧侶は、その場に崩れ落ちた。

死んではいないが精も根も尽き果てたようだ。

べほまらぐっじょぶ


魔法使い、戦士、勇者の順番に立ち上がる。

ある程度HPが回復したようだ。

倒れた僧侶を見た戦士が怒りの雄叫びをあげ突進してくる。

無手だが、何か秘策はあるのだろうか。


戦士の駆け出しと同時に魔法使いが戦士に向かい魔法を放つ。青色の光、移動速度UPの魔法だ。戦士の体が青く光ったと同時に、一気に距離を詰めてきた。両手を広げて我の体を締め上げる。


「今だ!!やれーー!!!」


勇者が飛び上がった。というより、戦士の駆け出しと同時に飛び上がっていた。

両手で握る聖剣を振り上げ、兜割りのように切りつけてくる気だ。

ジャンプして最高地点に達したと同時に、聖剣に赤い光が飛び込んできた。攻撃力UP魔法だ。魔法使いを見ると、全身全霊で魔力を放ったのか、その場に倒れこむ。


「まおぉぉぉぉ!!!」


少女は叫ぶ

勇しき者と呼ぶに相応しい覇気をもち、雄々しく叫んだ


勇者の纏う黄金色の鎧に刻まれた紋章が眩く光る。

恐らく勇者の肉体の限界を引き出した身体強化効果をもたらしているのだろう。


最高の一撃。間違いなく、このパーティーで最終最後の攻撃を繰り出してきた。


(ヤバい。。この斬撃でも傷一つつかなそ。。どうしよ)


我は戦士が抑え込むのを振りほどかないように細心の注意をはらいながら、右手の爪を握り込むように力を入れ、鉤爪のような形状の親指の爪を折った。


爪の破片を握りしめ、核爆発が起こるかのような魔力を破片に込める。


すぐさま親指で爪の破片をパチンコ玉を弾き出すように握り直す。


勇者の斬撃がやっと眼前に来た。


斬撃が当たるタイミングを見計らい、戦士の拘束を限りなく優しく振りほどく。そして、

ガラ空きになった我の右脇腹から左鎖骨に向けて破片を発射する。


ーーー一閃ーーー


我の体から鮮血が噴き飛んだ。

魔王の右脇腹から左鎖骨にかけて傷が入る。

斬撃に見える爪破片は玉座の間の天井を突き抜けて空へと抜けていった。

勇者の聖剣が我の肉体に届く前に結界に当たりキンという金属音を出していたが、発車された爪の炸裂音と閃光により聞こえていたのは魔王だけである。


(我、ぐっじょぶ)


天幕に隠れてコチラ見ていたマリンも親指を立てて賞賛してくれている。


・・・


かくして、勇者の一撃のもとに魔王は崩れ去ったのだ。


勇者はヨロヨロと仲間の元へ駆け寄っていく。

計算したかのように戦士は僧侶、魔法使いのもとへ飛ばされていた。


勇者一行は勝利に歓喜し、涙を流し喜んでいる。

今までの苦難が報われたのであろう。


(ヤバいヤバい!傷がふさがってきた!!)


慌てた我だがここは冷静にスキルを使う

[身体霧化]

吸血鬼がよく使うようなイメージのあれだ。


さらさらと崩れ落ちる灰のように天井に空いた穴から屋根へと抜け出していく。

間も無くして、勇者一行が玉座の間から転移魔法で街へ帰って行くのが確認できた。

魔王討伐を民へ知らせに行くのだろう。

城の屋根からその光景を目にした。


朝日が昇る


『ていうか、あいつら明け方前に乗り込んできたのか』

「そのようですネ。主さまカッコ良かったですわヨ」

『いや〜、どっと疲れた感じだよ。マリン、タバコ持ってないよな?』

「なんですカ?たばこっテ??」

『んや、なんでもないw さて、腹減ったし鯨でも食べようか!』

「はイ!すぐに準備いたしますネ!」


2人同時に、玉座の間に降りていった。


勇者が魔王を討つ。

やっぱり、RPGはいいよね。

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