第4話 現状把握
『ん。。。』
目が覚めたようだ。
随分とリアルな、痛い夢を見ていた気がする。
『冷たい。。。』
うつ伏せに寝ていたようだ。布団の感触がない。
冷たい床の感触がする。
『へ。。。??ここ、どこ?』
体を起こし立ち上がろうとしたときに思わず声が漏れた。広いホールのように声が響いたのだが、実際に広いホールのど真ん中にいるみたいだ。
西洋風の作りの柱、ピカピカに磨かれた黒曜石のような床。奥には玉座?のようなものもある。
なんというか、お城の王の間のような所だ。
と、いうか、王の間らしい。。。
「オメザメ!オメザメ!」
玉座の端に止まっていた二本の角の生えた小鳥のようなコウモリの翼をもつ生き物が叫んでいる。
「我等ガ主、オメザメ!」
喧しく鳴きわめくその生き物が飛び立ち、俺に向かって飛んできて肩に止まった。
肩を見た瞬間、自分が鎧を着ていることに気付く。
『な、、、なんだこの鎧?真っ黒。。。マントまで』
漆黒の鎧と闇のマントに身を包む自分の姿。立ち上がり全身を見回してみる。鎧はどうやら脱ぐことができそうだ。左手の手甲を外してみると自分の手が確認できた。
『まさか、、魔王になった??』
そう呟くと、肩の鳥が叫ぶ。
「魔王サマ!オハヨウゴザイマス!」
。。。マジなんだね…
とりあえず現状把握に勤しむことにしよう。
肩の鳥と交流を試みた。
『ここは、どこなんだ?』
「魔王城!魔王城!」
オウムみたいだな。。あまり知識は高くないのかな?
「玉座ニオスワリクダサイ!玉座ニ!」
??玉座??あの馬鹿でかいふざけた悪魔みたいな装飾の椅子のことか。。
そうだな、とりあえずは座って落ち着こう。
カシャカシャと黒曜石の床を踏みしめ玉座に近づく。
鎧の重さは感じないんだろうか??
などと考えながら玉座に座る。
、、、瞬間!
ホール内の壁に備え付けられた全ての蟷螂に青白い炎が灯っていく。玉座の正面には遥か向こうに見える玉座の間に入る門まで紅の絨毯が伸びていった。
ポン
聞き覚えのある音がする頭上に目を向けると、
[魔王就任の儀 完了]
とメッセージコマンドが表示された。
夢の中の白い空間で見たコマンドは薄い青色のウインドウだったが、頭上にあるのは白いウインドウ枠だ。
「オメデトウゴザイマス!」
肩の黒鳥が叫ぶ。正直耳元なのでウルサイ。。
メッセージコマンドに触れようと手を伸ばしたが触れない。どうやら青いウインドウは選択系で触れる。白は表示されるだけ。ということだろうか。
『メニュー画面みたいなウインドウはないかな。。』
とつぶやいた瞬間、目の前にメニューウインドウが現れた。
『うわっ!ホントに出た!!』
恐る恐るメニュー表示を触る。
[ステータス]
[スキル]
[ヘルプ]
の3種類しか出ていない。
ん?メニューを消すボタンがないな。。
思った瞬間メニューウインドウが消えた。
おっ?
ある予感がしたので、今度は[メニュー]と頭の中で思い浮かべてみた。
メニューウインドウが出てきた。
『なるほど。頭に思うだけで出てくる感じだな。』
早速、ステータスを確認してみる
ユウスケ
種族 [魔族]
職業 [魔王]
Lv 255
HP 29999
MP 2999
STR 999
・
・
・
ん??これって、、、
頭の中の記憶を呼び戻す。
『あのRPGのキャラデータがそのまま反映されてるんだ。と、なると。。。』
詳細を確認するのは後にして、前の画面に戻り、
メニューの[スキル]を選択してみる。
・・・何も、ない。
まぁ、勇者キャラで使っていたスキルとかはないだろうなと思い、ステータスを最後まで確認してみる。
とりあえず、身体パラメータはあのRPGゲーム内での数値はカンストしているようだ。
1番下に[スキルポイント割り振り]の欄を見つけた。
『はは〜ん、なるほど』
思った通り、スキルポイントを自分で任意に割り振り、習得したいスキルを覚える。あのRPGと同じだ。やり始めや育成中の頃の記憶など、とうに忘れていたことを思い出す。
ただ、ゲーム画面を見ながら操作するのと実際のキャラとしての操作の違いに戸惑ったのは正直な所だ。
今度はメニューの[ヘルプ]を選択してみる。
[Q、_______________]
※検索ワードを入力してください
と出てきた。実際のゲームでは使ったことがない機能だ。というのも、ある程度の域に達したゲーマー諸君ならお分かりだろうが、説明書やマニュアル、チュートリアルは新しいゲームを始めても触ることはほとんどない。という理由からだ。
では、実際版RPGなど勿論初めてなのでヘルプに検索を入力してみた。
『ゲームクリア条件、、、と。』
入力を完了するとすぐさまメッセージが表示された。
[A、勇者が魔王を討伐すること]
『・・・はーーーーっ!??』
RPGゲームそのままかよ。。。
てか、魔王って、オレが討伐されないとクリアにならないの??
う〜む、微妙な感覚になる。
『んじゃ、勇者はいつ来る?と。。』
入力してみた。
[A、魔王スキル[勇者召喚]の使用で任意に召喚可能。または、魔王スキル[勇者進捗]にて常時発動中のオート育成モードでの勇者の進捗を図ることが可能。]
マジかー!
いつでも好きに呼び出すか、自然に勇者が来るのを待つ、のどちらかということか。。
どうしようか考えていると、ふと、大事なことを思いついた。
『クリアしたら、どうなるんだ??』
・・・よし!イチゲーマーとしては不本意ではあるが、クリア後のシステム進行を確認してみよう。ヘルプ!
[A、エンディングに入ります]
使えねーー!
肝心な詳細は謎ってか!?
裏か?裏面に入るのか??
安易に選択したら不味いか。。
どーしよーか悩むところだ。
とりあえず、今は何ができるかの現状把握に勤しむことにしよう。
書いてるうちに長々となってしまいます。初心者なのでご容赦を。。。