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食堂にて、生徒会遭遇

 「飛鳥ぁ、だっこー」

 寝ぼけながら、僕はベッドの隣に立つ飛鳥へと手を伸ばす。

 そうすれば、飛鳥は僕を軽く抱え込んだ。

 んー、流石飛鳥。男の子だ。僕を軽く抱えちゃうからなぁ…。

 「飛鳥ぁ、腰痛いー、教室まで連れってて」

 「……ああ」

 腰痛いんだよね。本当に。

 飛鳥ってば、1ヶ月ぶりだからって、うん、盛ってたから。

 まぁ、嬉しいけど。

 昨日は入学式だけで終わったから本格的にクラスに行くの今日が初めてなんだよね。

 というわけで、飛鳥におんぶ(抱っこよりおんぶの方が楽らしいから)してもらって、今教室向かってる。

 周りの生徒達に注目されているけど、気にしない。

 ふと、視線を感じてそちらを見れば、

 「………何これ、萌える」

 …とか呟きながらこちらに携帯を向けている男子がいた。

 目がキラキラと光っている気がする。

 もしかして、腐女子な友人が言っていた腐男子というものだろうか、なんておもった。

 「飛鳥ー、あれ、撮ってるよ」

 「ん…? ああ、あれは生徒会の親衛隊隊長だな」

 「ほぉほぉ、ゆっきーが言ってた腐男子が親衛隊やってる可能性あるっていう奴だうよね、多分!」

 あ、ゆっきーってのは腐女子である僕のお友達ね。

 ちなみに飛鳥とも面識あるよ。

 「さぁ、俺は海以外興味ないし奴がどういう奴かは全く知らない」

 「あは、嬉しい事いってくれるよね。飛鳥って。僕も飛鳥に一番興味あるよ。

飛鳥の事、だーいすき、だからね」

 「…可愛い事言ってばっかだと口ふさぎたくなる」

 「ふふ、ふさいでくれても全然オッケーだよ?

 飛鳥からの口づけならいつでも受け付けるよ」

 「俺以外からうけつけんなよ? 相手潰すから」

 「当たり前じゃん。僕は飛鳥以外からそういう事されても嬉しくないしー」

 飛鳥におんぶされながら、そんな会話を交わす。

 そうしていれば、1-Sクラスにたどり着いた。

 そういえば、飛鳥は去年もこのクラスだったらしい。

 ガラッと扉を開けて中に入ると、一斉に注目された。

 僕は飛鳥の背中から降りると、黒板を見て、席を確認する。

 席は飛鳥の席の、左の席の一番前だった。

 大分離れている。

 「離れてるね、飛鳥」

 「…そうだな」

 飛鳥はそういうと、何故か僕の隣の席の男に、近づく。

 そして、言った。

 「席変われ」

 と、一言。

 「は、はいぃ! 小浜様の頼みなら」

 何ていいながらその男子生徒は席からどいた。

 飛鳥何で様付けされてるんだろう…?

 あ、そうか。

 飛鳥かっこいいから親衛隊あるんだろうな、多分。

 そんな事を思いながら、僕と飛鳥は席につく。

 「そういえば飛鳥、この学園って食堂あるんだよね」

 「ああ。あるぞ」

 「行きたいなあ。あ、もちろん飛鳥の手料理も久しぶりに食べたいけどね」

 「じゃあ昼は食堂で、夜は俺が作ってやる。あと俺も海の手料理食いたい」

 「じゃあ明日は僕がお弁当作るね!」

 「…卵焼きいれて。あとポテトサラダ」

 飛鳥って卵焼きとかポテトサラダ好きなんだよね。何か素直で飛鳥可愛いよね! そんな飛鳥が僕は大好きだよ。

 飛鳥と会話を交わしていれば、教室の扉がガラっと開いた。

 「全員いるか?

 あー、生徒会二人がいねぇのか。」

 入ってきたのは茶髪の、なんかきらきらしたイケメンだった。

 そういえば、生徒会の双子は同じクラスらしい。

 「キャー!」

 「泉先生抱いてぇ」

 ……男なのによくこんな声出せるなと関心してしまう。

 というか、担任の先生なのか、この人。その僕と飛鳥の方を見て口を開く。

 「小浜…お前の恋人ってその隣のチビか?」

 「ああ。小さくて可愛いだろ?」

 「お前の口から可愛いって言葉が出てくるとは思わなかった…。つか何で留年したんだよ? 二年連続担任とか面倒だ」

 どうやら担任は去年も飛鳥の担任だったらしい。

 てかチビってひどいよね! まあ、ここ男子校だしデカい人多いから仕方ないかもだけど

 「海と同じ学年がよかったから」

 「…小浜、デレデレだな。

 お前海っていうのか?」

 飛鳥に向かってあきれたように言葉をこぼし、今度は僕の方を見る。

 「新井海っていいます。よろしくです、泉先生。

 去年も飛鳥の担任だったんですか? なら是非とも去年の飛鳥について詳しく聞きたいです」

 にこやかに笑って、泉先生を見れば、

 「何か小動物っぽいな」

 何て言われた。

 「小動物っぽいって何ですか?」

 「いや、何か去年の小浜がどんな感じか聞きたいって目がキラキラしてるから」

 笑いながら、そう言われた。

 イケメンは笑うとますます絵になるなあなんて僕はその笑みをみながら思った。

 「だって飛鳥あんまり自分の事話さないですし、教師からみた飛鳥ってどんな感じかなあって思いまして」

 「小浜か、優秀な生徒だけど暴れたら手がつけられない。っていう感じだな」

 「そうですかー。僕の飛鳥は優秀なんですね!」

 何だか嬉しくてにこにこ笑っていたら、泉先生に頭を撫でられた。

 …まあもちろん、周りはそれに煩くなったし、飛鳥がすぐに泉先生の手を払ったけど。

 「海にさわんな」

 「ぷははっ、やばいな。あの小浜が、独占欲半端ないとか、溺愛してるとか」

 飛鳥が思いっきり睨んでるのに泉先生は爆笑してる。

 泉先生と飛鳥仲良しだなあ…、なんて思いながら僕は二人を見つめる。

 「当たり前だろ。海は俺のだ。何でほかの奴に触らせなきゃいかん」

 「小浜がまじめに独占欲満載な台詞いってる! あーやばいやばい面白すぎ

 なあ、海こんな独占欲満載な奴と付き合ってて疲れない?」

 「てめえ…海の名前呼ぶな」

 「飛鳥の独占欲は嬉しいですよ。僕も飛鳥の事大好きですから!」

 疲れるわけない、僕は飛鳥が大好きだし。

 むしろ独占欲は嬉しいし。

 てか、僕も飛鳥に誰かが触れられるのとか嫌だな。飛鳥の特別は僕だけがいいし。

 「海、可愛い」

 飛鳥に手を捕まれ、そのまま飛鳥の膝の上に座らされた。

 飛鳥の腕は僕を離さないとでもいう風に抱きしめている。

 「小浜様が、笑ってる…」

 「小浜様が、あんな子と…」

 「小浜先輩が…」

 なんか周りがブツブツいってる。

 あんな子と、ってひどいよね。

 まぁ確かに僕は美人でも可愛くもないけれど。

 でも、飛鳥の事好きな気持ちはきっと誰にも負けない、はず。

 「泉先生ー。泉先生が担任なら何か連絡事項とか色々あるんじゃないですか?」

 「あー。そうだった。

 つか、小浜、連絡事項言い渡したり自己紹介したりするから海を席に戻せ」

 「このままでいいだろ」

 「…はぁ、仕方ねぇな。

 とりあえず、自己紹介をする。中等部の方にも顔を出してたから外部生以外は知っているだろうが、泉隼人イズミハヤトだ」

 あ、泉って名字だったんだ。

 下の名前かと思ってた。

 「じゃあ、次、自己紹介。出席番号順だから、海からだな」

 出席番号はあいうえお順なんだよね。

 だから僕が一番最初みたい。

 「新井海です。高等部からこの学校に来ました。

 好きなものは甘いもので、趣味は漫画とか、あと体動かす事かな

 皆と仲良くしたいから、よろしくー」

 僕が飛鳥と付き合っているからか、好意的じゃない目向けてる子達もいるけど、笑顔で笑っておいた。

 いやさ、なんかゆっきーから見せられたBL本ではさ(ちなみに僕は萌えとかよくわからないけど)、何だろう王道な子って、好意的じゃない人に対して仲良くしたくないとかいうけど、逆効果だよね。

 そもそも、向こうは嫉妬してるだけであって、性格が悪いか良いかなんて初対面じゃわかんないし。

 僕嫌いな人とは仲良くしたくないけど、それ以外の人とは普通に仲良くしたいしね。

 ちなみにこの自己紹介、飛鳥の上に座ったまましてるんだけどね。

 「じゃあ次は……」

 そうして次々と自己紹介をしていく。

 「小内駿コウチシュンです、よろしくねぇ、可愛い子ちゃん」

 そういって笑う、少しチャラチャラした男が居る。

 なんか、周りが抱いて―っとか、発狂してて色々凄いと関心してしまう。

 次は飛鳥の番だ。

 飛鳥は僕を膝にのせたまま、周りに一瞥もくれずに、僕をなでながら言う。

 「小浜飛鳥だ。

 俺の海に手を出したら殺す。以上」

 「って、自己紹介しなよ。飛鳥」

 「海が居るのに、何で他の人間と関わる必要がある?」

 「嬉しいけど、もっと関わろうよ!

 仕方ないなぁ…。

 泉せんせー、僕が飛鳥の紹介していい? 飛鳥しなさそうだから」

 「あー、いいぞ」

 泉先生から許可も出たわけで、僕が、大好きな飛鳥について、クラスの皆に紹介しようと口を開く。

 「飛鳥はねー。身長182センチもあって、僕の事軽く抱えちゃうんだよね。

 あと、飛鳥は卵焼きとか好きで、好き嫌いとかあんまりないんだけど、卵料理が結構飛鳥は好きなんだよね。

 あとからい物も飛鳥は普通に食べるんだ。

 僕のお父さんに一緒に色々習ったから飛鳥滅茶苦茶強くて、かっこいいよねー、僕の飛鳥って」

 ベラベラと僕は飛鳥について喋る。

 ちなみに僕のお父さん、総合格闘技やってる人なので、僕と飛鳥、ついでに僕の一つ上のお兄ちゃんも一緒に色々習ったんだよね。

 飛鳥の家って大企業なんだけど、親戚が代々続く道場やってるらしくって、まぁそれで飛鳥って滅茶苦茶強いんだよね。

 「あとね、飛鳥は体動かす事とか結構好きなんだよね。スポーツとか、喧嘩とかで自信満々な奴負かして屈辱的な顔見るの楽しいんだって」

 「…いや、海、それただのドSだから!!」

 なんか喋ってたら、快人につっこまれた。

 やっぱり、快人はつっこみ役だよね。

 「快人ナイスつっこみだねぇ」

 「いや、だってなんかつっこみどころ満載だろ。海と小浜先輩って」

 「そうー?

 まぁ、とりあえず飛鳥についての紹介はこれぐらいで!

 あ、もっと聞きたい人居るならあとで聞いてね」

 僕はそう言って、締めくくった。

 で、それから自己紹介が続いたわけだけど。

 僕、眠くて飛鳥の腕の中でぐぅすか寝ちゃったんだよね。

 目が覚めたらもう、自己紹介と教科書配布は終わってた。

 で、今日はこれだけらしく、今から食堂いくよ、ご飯食べに。

 結構僕ってすぐお昼寝とかしちゃうんだよね。

 あ、そうだ、この学園ってお昼寝に適した場所あるのかなぁ。

 「飛鳥、この学園ってお昼寝出来そうな場所あるー?」

 飛鳥と手をつなぎながら、僕は聞く。

 ちなみに快人は自炊しているらしく、自室にいったみたい。

 手をつなぎながら、食堂へとたどり着く。

 入る前に僕はポケットにつっこんでおいて耳栓を装備した。

 もちろん、飛鳥も。

 だってゆっきーいわく、人気者が入ると煩いらしいんだもん。

 僕の飛鳥絶対人気者だし。

 中に入れば、案の定うるさかった。

 「小浜先輩――ーっ!!」

 「委員長が、手ぇつないでる」

 「キャァアアーーー!」

 「も、萌える! 何これ、キタァアーーー!」

 「何あの子、小浜様にっ」

 煩いねぇ、本当。

 まぁ、飛鳥がモテモテなのは仕方ないけど。

 だって、僕の飛鳥かっこいいし。

 「飛鳥、席何処座る?」

 「海は風紀委員じゃないから、二階は駄目だからな。一般席のどっか」

 「そっかぁ。まぁ、何処でもいいけど。飛鳥と一緒なら」

 飛鳥と手をつなぎながら、開いている席に座る。

 周りがこちらを見ている気がするけど、気にしない。

 「飛鳥、これ、ご飯どうやって頼むの?」

 「これで注文して、頼めばウェイターが持ってくる」

 「へぇ、便利だね。流石金かかってるねぇ」

 ちなみに、なんかねぇ、機械おいてあるんだよね。

 注文票とか書いてある奴。で、そこをおして頼めるみたい。

 「海、何食う?」

 「じゃあ、僕は、カレーライスと、このホットケーキで。あと、飲み物はカフェオレにする」

 「ん、俺は卵丼と緑茶にする」

 「本当、飛鳥って卵料理好きだよねぇ」

 しばらくしたら、ウェイターの人がやってきた。

 「ご注文をおもちしました」

 そういって、机の上に並べてくれる。

 「ありがとございまーす、ウエイターさん」

 「いえいえ、これがお仕事ですから」

 そのウエイターさんはそう言って微笑んだ。

 んー、ゆっきーいわく、こうやってお礼いったらお礼いわれたのははじめてですってフラグ立つっていってたんだけどな。

 もし、本当にたったら、お礼ぐらい誰も言うに決まってんじゃんとウエイターさんを心の中で呆れようと思ってたのに。

 やっぱ、現実は物語と違ってそんな風に単純なないよね。

 そんな事をおもいながらカフェオレを飲む。

 「うん、おいしー!」

 僕、カフェオレとか炭酸とかそういう飲み物好きなんだよね。

 「そういえば、飛鳥」

 「ん?」

 「ゆっきーがさ、王道学園は生徒会は族関係者とかはしゃいでたんだけど、此処ってどっかの族なの?」

 本当、ゆっきーは滅茶苦茶興奮してたんだよね。

 僕が飛鳥追いかけて入学するっていったら、”溺愛ぷまい”とか言いながら興奮してた。

 そして、”王道見つけたら報告よろしく。出来たら画像も”と言われたんだよね。

 「あー。入ってるぞ。『RED』っていう所」

 「ん? 『RED』って、確か―――」

 聞き覚えのある言葉に首をかしげた時、

 「キャァアアーーーー!」

 「学さまぁああ!」

 「抱いてぇええ!!」

 「幹ちゃん、抱かせて――」

 「愛してますぅ」

 「かっこいいい!」

 「お美しいです」

 なんか、凄まじい声が響いた。

 ふと、視線を向ければ、生徒会が居た。

 あの、生徒会が、『RED』かぁ。なんておもいながら見つめる。

 僕は『RED』と直接面識なんてないんだけどね?

 まぁ、僕のお兄ちゃんは、面識あるはずなんだよね。

 なんか見てたら、飛鳥に、

 「生徒会なんてみんな」

 って、抱き寄せられた。

 「飛鳥が一番、かっこいーよ」

 そう言って下から見上げるように飛鳥を見れば、

 「可愛い」

 って、食堂なのに、唇にキスされた。

 とはいっても深い方じゃなくて、軽い奴ね。

 「……」

 ふと視線を向ければ、顔を真っ赤にしてこちらを見ている数名が居た。

 見られたらしい。

 とりあえず僕は口に人さし指をあてて、「しーっ」という仕草をして秘密ね、とでもいう風に笑った。

 うん、だって面倒じゃん。

 キスしてたからって騒がれたら、その男はこくこくと頷きました。

 「海」

 「ん、どうしたの?」

 「何か生徒会こっち来てる」

 「えー、面倒」

 「同感」

 そんな会話をしていたら、本当に生徒会が五人そろってきた。

 「小浜飛鳥、貴様、昨日はよくもこの俺様を無視してくれたな」

 「あー、委員長が、男の子膝に乗せてるー」

 「昨日手つないでた子だよねー」

 「「何で何で―」」

 会長に続いて、双子がそんな事を言い始めた。

 何だか本当、見た目そっくりで喋り方も見ていて正直見わけがつかない。

 まぁ、仲良くなったらわかるだろうけど。

 ゆっきーが王道は初対面でドッペルの見わけがつくっていってたけど、それなんていうミラクルなんだろうね。

 「ねぇねぇ、名前は?」

 「新井海」

 生徒会と仲良くする気はさほどない。

 というかね、生徒会のせいで飛鳥に一ヶ月も会えなかったわけで、あんまり好感ない。

 「何で膝の上に座ってるんですか? まさか、小浜、これはあなたの恋人ですか?」

 「ああ。海は俺のだ」

 副会長の言葉に、飛鳥は答える。

 「えー、小浜ってこんなのが好みなの? 確かに可愛い系だけど、平凡じゃねぇ?」

 何か、金髪のチャラチャラした会計がそう言って僕を見てきた。

 「何を言ってる。海は可愛い」

 「………小浜飛鳥、貴様どうかしたのか!? 貴様が誰かを可愛いというなど」

 会長が、飛鳥の正気を疑うような目で飛鳥を見ている。

 流石、抱かれたいランキング一位。会長は美形だ。

 というか、飛鳥って僕以外には可愛いとか言わないからねぇ、まぁだからびっくりしてるんだろうけど。

 「俺が正気じゃないとでもいいたいのか、バ会長」

 「当たり前だろう! 貴様が、誰かを可愛いなどいうなど、空から槍が降ってきてもおかしくない」

 「俺は海にしか可愛いなどと言わない」

 「会長さーん、飛鳥はいつも僕と居る時こんなんですよ」

 とりあえず飛鳥の正気を疑いっぱなしの、会長さんに僕はそう言った。

 「へぇー。小浜が毎回こうって、すげぇ、そんなに惚れこむのは何でー?」

 チャラ男会計が、そう言い放って見定めるように僕を見ている。

 …何か、下半身ユルユル野郎に見られてると、貞操の危機を感じる。

 とはいっても、そんな事になったら『秘儀☆飛鳥召喚』か、『下半身だしいいよね、ぶちのめしましょう』ってわけで潰すけど。

 あ、僕結構強いんだよー?

 飛鳥とかお兄ちゃんには負けるけど。

 「海だから」

 ハッキリと飛鳥はそう言って、僕を抱きしめたままだ。

 僕が大好きだって、言葉で、体で、全身で表してくれる飛鳥。

 ああ、好きだなって、僕もおもう。

 そういう飛鳥が、愛しいって僕はおもうから。

 「ところで、貴様、何故留年した」

 「は? んなのに海と一緒にいたかったからに決まってんだろ」

 会長の言葉に飛鳥が普通に答えれば、生徒会諸君は固まっていた。

 …飛鳥の答えが以外だったらしい。

 僕と飛鳥をセットで見た事ある友人とかなら、当然って受け入れちゃうんだけど。

 飛鳥って、本当、嬉しい事に僕の前以外じゃこんなならないから。

 「…そんな理由で、留年だなんて」

 「どんだけー」

 「だよねー」

 「「でもー、僕らが『金姫』をおもってるおもいの方が強いもんねー」」

 へぇ、双子書記は、『金姫』が、好きねぇ?

 それをおもって何だか、面白くなる。

 「何を言う、俺様の『金姫』への思いの方が強い」

 「私です」

 「いやー。『金姫』は俺のだから」

 『金姫』っていうのは、一人で圧倒的な強さを持っていた気まぐれな不良の憧れだ。

 ……まぁ、簡潔に言うと、僕のお兄ちゃんだ。

 僕と飛鳥とお兄ちゃんは暇だからって、一時期、喧嘩してたから。

 まぁ、僕は飛鳥と常に一緒に行動していたけど、何て言うかお兄ちゃんって構ってちゃんなんだよね。

 誰かに相手してほしいのに、僕と飛鳥はいちゃいちゃして相手にしてくれないからって単独行動してたんだ。

 ……まぁ、『RED』のメンバーとは二年あってないらしいけど。

 それというのも、お兄ちゃん――新井空アライソラが二年前に全員に告白されて、『そんなに好きなら俺を見つけてみてよ』っていって消えたんだよね。

 ちなみに言うとお兄ちゃんツンデレ? か何かなのか、素直じゃないのか、『見つけてやったら選んでやってもいいかなとは思ってる』とか恥ずかしそうにいってたよ。

 ちなみにその事いったら、ゆっきーが萌え―――! って叫んで鼻血出してたけど。

 飛鳥も生徒会にお兄ちゃんの事教える気もないみたい。

 まあ僕もない。

 だってね、お兄ちゃん、見つけたら選ぶだの、色々いってるって事は生徒会に好きな人居るってわけで…、それなら妹としてお兄ちゃんにふさわしいか見定めてみようかなとか思ったり。

 「海…」

 考え事をしていたら頭を撫でられた。

 優しい笑みで飛鳥は僕の頭を撫でている。

 てゆーか、目の前でお兄ちゃんの話されてるのに一切興味なしなのは流石、飛鳥。

 まあ、興味ないっていってもお兄ちゃんと飛鳥親友なんだけどね。

 「本当に…ラブラブですね」

 「なんか、僕ら邪魔者?」

 うん、邪魔者とは流石に言わないけど生徒会無視して僕は飛鳥だけを見つめてる。

 飛鳥も飛鳥で生徒会は居ないものみたいな感じで完全無視している。

 そんな風にしていたら、生徒会は呆れたように息を吐いて去っていってしまった。

 その後、僕と飛鳥はのんびりとご飯を食べて、そのまま、寮に帰った。

 今日は僕の部屋に飛鳥がお泊りした。

 とはいっても、毎日ヤるほど発情期なわけではにので、普通に飛鳥に抱きついて寝ただけだけど。



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