体育祭にて 3
*新井空side
「ん?」
ただ単に、どうしようかと迷いながらも、観客席にいたら、騒ぎ声が響いた。
「なぁなぁ、春哉は何処いったんだよっ!?」
「んー、会計さんは用事あるんだってー」
何だかよくわからない、ボサボサの頭をした男の言葉へ返された返事は、確かに俺のたった一人の妹の声だった。
「……」
志紀、達が居る。
その事に懐かしさがこみ上げながらも、俺はその様子をじっと見つめた。
”春哉”ってのは俺の知っている春哉の事なんだろう。
海から春哉達が全員生徒会をしているって聞いていたし。
二年ぶりだけど、やっぱり、志紀達にはあの頃の面影がある。
つか、皆背、伸びてるし。
羨ましい。俺全然伸びなかったのに。
「じゃあ、学は!?」
「空也、学はほうっておきましょう」
「「そうだよー」」
”学”の名前を出した時の志紀の表情が、気になった。
なんだろう、学と志紀の間に何かあったのだろうか?と思うような、ちょっとした嫌悪感が顔に現れていたんだ。
どうして?
あの頃、学達は仲良くしていたのに、皆で笑っていたのに。
――それに、学は、名前を簡単に人には呼ばせない、はず。
飛鳥の姿も見える。
相変わらず海一筋な親友の姿。
本当、飛鳥は海の事大好きだからな、と思う。
「何でだよっ。友達は仲良くしなきゃダメだろ?」
「空也は優しいですね」
「流石だねー」
「僕らの『金姫』」
はぁー? と思ったのは無理もないと思いたい。
いや、うん。偽物が居る事も知ってたよ? 外見の話も一応海達に聞いてたよ?
……でもさ、俺、自分でいうのもなんだけど顔はそこまで悪くはないと思う(というか、昔から散々可愛い可愛い言われたから流石にそのくらい自覚する)。
それに、俺、身だしなみはちゃんとするんだけど…。
「なぁなぁ、学と春哉探そうぜっ」
「んー、会長さんと会計さん用事あるらしいからやめといたら?」
”用事”ってのは多分、俺を探してるんだと思う。
自惚れとかそんなんじゃなくて、俺が会いたいって思ってると同様に、あいつらも会いたいって思っててくれてる、それだけでただ胸が温かくなる。
「えー、探そうぜっ。学、いつも一人で居て寂しそうだしっ。仕事ばっかりしてるしさー、こういうときは思いっきり皆で騒ぐべきだろっ」
”一人で寂しそう”ねぇ?
――学と仲良くしたい人間は沢山、昔から居た。
だけど、学の方から、傍におく人間を選んでいた。
……あいつは、結構一人でのんびり過ごすのが好きだから。
学は、仲良くしたい人間には自分から近づいていく。
避けられてるのなら、それは学にとって関わりたくない人間と認知してるって事さえ、あいつにはわからないんだろうか?
「本当、優しいですね。空也は」
「空也は僕らの事も見わけてくれるもんねー」
「すぐにわかるぞっ。なんとなくだけどな」
”なんとなく”で、幹と秋を見わけるか、と思う。
それはただの直感で見わけてるだけなんだろう?
きっと、知らないんだろうなって思う。
その直感は凄いと思うけど、幹と秋の、仕草の違いとか、性格的な面の違いとか、癖とか。
―笑い方も、よく見れば少し違ったりするのに。
顔は本当にそっくりだけど、そういう所は違うのに。
「私の作り笑顔も見破ってくれましたもんね。本当にあなたは私の光です」
作り笑顔を、見破った?
確かに、昔、俺が『RED』のたまり場に顔を出し始めた頃、あいつは無理して笑ってた。
だから、無理して笑うなって、辛いなら、泣けばいいって。
そうはいった記憶はあるけれども。
あの頃、志紀は少し色々あって疲れてたようだから。
「春哉も何で最近一緒に遊んでくれねぇーんだろうなっ。俺が遊びたいっていってんのにさっ。俺が好きなら遊んでくれてもいいのに」
当たり前のように、愛情を受け取っている。
というより、愛される事を当たり前と思いこんでる、ように聞こえた。
…自分の意見だけを強く願って、それで絆が生まれるとでも思ってるんだろうか。
違う、と思う。
互いに支え合うからこそ、家族で、友人で、仲間なんじゃないんだろうか。
「春哉はきっと遊んでるんですよっ」
「春哉は遊び人だもんねー」
「本当最低ー」
ああ、いつから? なぁ、いつから?
志紀達はそんな風に、仲間の悪口を言えるようになったんだ?
――春哉は、確かに遊んでいたけれども。
そういうセフレが居るんだろうけれども、あいつは何だかんだいって、誰かを一途に思える奴だったろう?
確かに、そういうの作ってるのはよくないとは思うけれど、人には沢山の事情があるのに、最低って決めつけるのはどうかと思う。
それに、あいつ俺に告白してきた時、”金姫が、俺のモノになってくれたら、俺はそれだけで十分。だから、全部切るんだ。それに皆には大好きな人が居るって、いってあるから”って、そんなはずかしい台詞を顔を赤くしながらいってたしな。
「最低なんていっちゃいけないんだぞっ。友達をそんないうやつ俺は嫌いだぞっ
セフレとか春哉が作ってるっていうなら、やめさせなきゃだっ。だって悪い事だもんな。俺がやめさせてやるんだっ」
「空也は優しいですね」
ああ、それは本当に優しさなのか、と思う。
悪い事だから、やめさせなきゃ。
何で、そんな断言してるんだろう。
確かにいい事とは言えないけれど、理由がなければ、誰もそんな事しないはずなのに。
それに、人のそういう事情に考えもなしに首を突っ込むのはどうかと思うし。
自分の考えを押し付けているだけじゃないか。
海の呆れたような顔と、偽物を全く見ない飛鳥の顔がこちらから見える。
……偽物の事、俺は許せないと思うけど、
同時に少しかなしいんだ
短い間とはいえ、俺は『RED』の奴らを友人と思っていて、
確かに俺は顔を見せたり、名前をいったりはしていなかったけれども、一番仲良くしていたお前たちが俺を間違えてる事が悲しいんだ。
俺は短い間でも、『RED』の奴らを仲間だと思った。
だからこそ、海と飛鳥と一緒に買った、銀と黒のピアスのように、俺は赤いピアスを買ったんだ。
仲間だって、大切だって、そうおもったから。
……見つけてって願ったのは、本物の絆とか欲しかったからとかそんな我儘もある。
だって、俺のはじめての彼女は飛鳥目当てで俺に近づいてて、だからこそ、好きだなんて言われても、それが本物かわからなくて、嫌になって。
『RED』の皆に告白された時も、そんな考えがよぎって、消えない絆かなんかが欲しかった。
俺は仲間だと思ったら、何が何でもそいつを裏切りたくもないし、そいつを信頼していようって思ってるけど。
―――それでも、恋愛感情という思いは、複雑だし、本当なんだって、示してほしかった。
だから、見つけてって、そういったんだ。俺は。
―――本当に奴らが俺を好きだというなら、真剣に答えなきゃってそうおもって。
ずっと、会わなかった間も、色々考えてたんだ。
何だか悲しくて、泣きだしそうになる。
……情けないって思うけど、俺は結構すぐに泣いてしまう。
というか、海とかにも言われたけど、一人は嫌で、海いわく俺は『寂しがり屋でたまに素直なツンデレ』らしい。
なんだ、それって感じだけど。
…ずっと、『RED』の奴らと再会したかった。
ずっと、会いにきたかった。
自分で決めたくせに、馬鹿みたいに、大切だったから会いたかった。
自分から離れたくせに、『RED』は俺にとって大事な居場所だったから。
会いたい、けど、会いにいきずらいってそんな葛藤して会いに来れなかった俺。
『RED』が、あの場所が好きだった。
学が偉そうに笑って、
志紀がそれをたしなめながらも笑顔で、
秋と幹がそれを笑いながら見てて、
春哉がからかうように笑う。
皆笑ってた。
そこに、壁も何もなくて。
”仲間”だったはずなのに。
「春哉と学なんかほうっておいていいんですよ。
空也は私だけ見ててください」
「「あー、志紀さん、抜け駆けとかずるいー」」
ねぇ、本当にいつからお前たちは、仲間をそんな風に言えるように、なったの?
泣きだしたくなる。
どうしてって、問い詰めたくなる。
変わらない人がいないって知ってたよ。
変わらないものがあるんだって知ってたよ。
でも、そんな風に変わらないでほしいと、俺はずっと願ってたのに。
……昔と変わらない温かい場所が、あるんだって。
学達は仲良くやってるんだって。
そう、俺はずっと、信じてたんだ。
「あ、空じゃん」
………そういって、こちらを真っすぐに見据えて、声をかけてきたのは……海だった。
って、えぇええ!?
海、俺を志紀達の前に出す気なの!?
俺、どうすればいいの。海が何かたくらんだように笑ってるけど。
ちょ、えぇえええ!?
「よう、飛鳥、海、久しぶり」
心臓がバクバクする。
久しぶりに目の前に、志紀達が居る事にどうしようもなく、緊張する。
気付いて、くれるだろうか、こいつらは。
……俺の偽物が居て、こいつらがそれを盲目的に信じてるっていうなら、俺がもし『金姫』だっていっても、こいつらは俺を信じてくれない気がする。
「なぁなぁ、お前空っていうのか? 俺、田中空也っていうんだっ」
声でかいな、この偽物。
というか、自分の偽物が目の前に居るとかそんな経験すんの初めてなんだけど。
「ああ。空だ」
よろしく、とはいわなかった。
というより、言いたくなかった。
基本的に俺は誰とでも仲良くしたい、誰とでも騒ぎたいって思ってるけど『RED』の奴らに嘘ついて近づいて、そんな奴と仲良くするかどうかといえば、無理な気がする。
「副会長さん達ー。これね、飛鳥の親友の空っ」
…そして、海!!
志紀達にマジマジと見られるとか、この状態で俺にどう反応しろと!
「へぇ…。小浜の親友ですか」
「「ふーん。あ、空也の事狙わないでね! 僕らのなんだから」」
「何をいってるんですっ。空也は私のです。
双子の言うとおり、小浜の親友だか何だか知りませんが、空也に近づかないでくださいね」
「何いってんだよっ。仲良くしなきゃだめだろー」
なんか、偽物の事凝視してたら、そんな事を言われた。
…なんか、かなしくなってきた。
確かに顔は見せてなかった。
きっと、奴らが知っているのは、俺の性格と、俺の金色だった髪と、灰色の瞳だけ。
だから、金色の髪でもなく、灰色の瞳を目立ちたくないからって普段は黒いカラコンで隠してる俺に、奴らは気付かない。
「お前たちって、そいつの事、好きなの…?」
名前で呼ぶのを躊躇って、俺はそう問いかけた。
「ええ、そうですよ。だから空也に惚れたら承知しませんよ」
「「そうだよー。僕らの『金姫』に惚れたら家潰しちゃうから」」
家を潰す、か。
秋と幹は多分、偽物を本物だって思ってるからそういう事言うんだと思う。
昔も、「「僕ら、『金姫』のためなら、何でもする」」って言い張ってたから。
…志紀達は、俺自身じゃなくて、『金姫』ってレッテルを持ってる奴ならだれでも、良いのかもしれない。
「なぁなぁ、空も一緒にまわろうぜ」
なんて俺にいってくる、偽物。
「あー、俺は君とは回らないよ」
偽物と、志紀達を見ていると、気付いてくれない事に悲しく思ってしまうから。
だから一緒は嫌で、そう答える。
「何で俺の誘いを断るんだよっ」
何でなんてどうして聞くの。
…自分の偽物と、回りたい人間なんて誰もいない。
志紀達はこちらをにらんでくる。
ねぇ、どうして。
俺の大切だった人達。
いつだって笑っててくれた優しい人達。
――ねぇ、志紀達にとって、『金姫』って名乗ってれば、誰でもいいのかな。
俺にとって、学、志紀、幹、秋、春哉が、一人一人がいてこそ、仲間だって思ったのに。
「『金姫』が折角誘っているのに、断る気ですか?」
―――泣き出しそうになるのを、ぐっとこらえる。
偽物を本物だと思いこんで、何処までも疑いもせずに信じ込んでる。
俺が、『金姫』だっていっても、きっとこいつらは信じない気がする――。
志紀と幹と秋は、偽物を見て、やっと俺を見つけたと思いこんで、だからべったりとくっついてる。
「――本当、バカな奴ら」
小さな声、きっと俺にしか聞こえなかった海の声。
その後、海は言った。
「ねぇ、空。僕、飲み物買いたくなっちゃった。飛鳥も一緒に、買いに行こう?」
海は、冷たく志紀達を見つめながら言った。
「…ああ」
飛鳥がそれに頷き、海の手を取る。
「じゃ、そういう事だから副会長さん達は空也と回っててくださいね。あ、そうだ。空には近づかないでくださいね、副会長さんに、双子さん達」
「は? どうして私がそいつに近づくんですか?」
「「そうだよ? 僕ら空也だけいればいいもん」」
ズキンッと胸が痛んだ。
「――そう、ですか。その言葉、しっかり覚えていてくださいね?」
そういって笑う海は、飛鳥の手をつないでないもう片方の空いてる手で俺の手をつかんだ。
…俺が泣きそうだったから、だと思う。
そうして俺は海と飛鳥と共にその場を後にした。
*新井海side
「――っ」
人気のない、裏庭にお兄ちゃんを連れだした。
お兄ちゃんの、目から涙が流れる。
ああ、お兄ちゃんが泣いてる。
お兄ちゃんは傷つけられやすい、人だから。
目の色が違うからってからかわれて喧嘩したりもしていた、お兄ちゃん。
人の感情に敏感で、人のために泣いたりできるお兄ちゃん。
「お兄ちゃん…」
泣いてるお兄ちゃんをベンチに座らせ、背中をなでた。
飛鳥は、そんな僕とお兄ちゃんをじっと見つめている。
「…空、あいつら、全然気付いてねぇぞ」
「………」
「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんにとって、副会長さん達は、これでも仲間なの?
会長さんと会計さんはちゃんと気付いた。でも、あいつら、全然気付いてないんだよっ。
お兄ちゃんが、目の前に居るのに!!」
あいつらが、お兄ちゃんをちゃんと知ってるなら気付くはずなのに!!
「……だ」
泣きながら、それでも、お兄ちゃんは言う。
「仲間、だ。
例え……、気付かれなくても、それでも……、あいつらは俺の、大切な……、奴ら、なんだ」
お兄ちゃんは、人を見捨てない。
大事だと思った人間を見捨てない。
どんなに荒れた人間でも、変わった人間でも、真っすぐに、偽物みたいに意見を押し付ける事もなく、見捨てないで、その人のために行動する。
―――…知ってた。
副会長さん達がどんなにバカだろうと、お兄ちゃんが見捨てられない事を。
「……お兄ちゃんは、バカだね。
でも、僕はそんなお兄ちゃんが好きだよ」
バカなお兄ちゃん。
あんな奴ら、呆れて、軽蔑して見捨ててしまえばいいのに。
本物の存在に一切気付かない、あいつらなんてどうでもいいと感じてしまえばいいのに。
でも、僕はそんなお兄ちゃんが、甘ったれで人を見捨てられないお兄ちゃんが大好きだよ。
「海、飛鳥……」
涙を止めた、お兄ちゃんが僕と飛鳥を見る。
「俺は…、あいつらの、いいところ、知ってるから。
志紀は思いこみが激しい所あるけど、気遣いが出来る奴で、動物とか、好きで、捨てられた子犬を放置できなくて、たまり場に連れてきたりとかも、する奴なんだ。
幹と秋は、ちょっとバカな所あるけど、家を潰すとかいったのは、大事な奴を守りたいって、思ってたからだと思う。あいつらは、人を笑わせる事が好きで、 面白い事が好きで、悲しんでる人間を笑わせようとか、本当はできる、奴らなんだ」
恋愛は、人を変えるものだ。
お兄ちゃんが知っている、副会長さん達も、僕が見ているバカだと思う副会長さん達も、全部本当の副会長さん達。
でも、副会長さんも、双子達も、ただ空也を『金姫』と思いこんで、空也の言う正義に感化されてるだけなんだと思う。
まぁ、それでも、僕は偽物も副会長さん達も許せないけど。
だってね、僕の大事な家族を、たった一人の兄をこんなに悲しませてるんだから。
許せないのも、当然でしょ?
「お兄ちゃんが、副会長さん達を大事に思っても、僕は……、許せないかな」
「……海」
「お兄ちゃんは、優しすぎるから。かわりに、僕が怒るよ。あいつらの事。
お兄ちゃんは怒りはしないだろうから」
本当にどうしてこんなに優しくてバカで人を見捨てられない真っすぐなお兄ちゃんを、あんな偽物と間違えられるんだろう。
――全然違うのに。
あれは、できそこないのまがいものとしかいいようがない。
だって、よく知ってる身からすれば、あれは全然似てない。
中身が全然違う。
「ねぇ、お兄ちゃん。会長さん達に、会いに行こうよ」
「……学、達に?」
「うん、会長さん達には、お兄ちゃんを見つけるようにいったけど、人数多すぎたら流石に見つけられないと思う。
お兄ちゃんは会長さん達に会いたいでしょ?」
「…うん」
ふふふ、会長さん達にも副会長さん達の事報告しちゃうもんね!!
つか、これを機に空也が偽物だってばらすのがいいかもしれない。
副会長さん達、お兄ちゃんに近づかないって、僕に言ったもんね。
……せいぜい後悔すればいいんだ、後から!!
「飛鳥、会長さんの電話番号知ってる?」
「………知らねえなぁ」
「じゃあ、どうしようか」
何て話していたら、
「お困りみたいだね?」
なんて、なんか一人の人物がやってきた。
あれ、てかこの人会長ん所の親衛隊隊長だよね?
僕と飛鳥がいちゃついてたら息荒くしてたゆっきーっと同類の。
「……会長さんの親衛隊隊長?」
「ごめい当~、一応会長の親衛隊隊長の近衛明久っていいますっ。
ごめんねー? 話聞いちゃったんだ。話から察するに、そこの海ちゃんのお兄ちゃんが『金姫』なんだよな?」
「うん。そうだよ? で、親衛隊隊長さんは何考えてんの?」
「いやー。萌えのレーダーが反応してきてみれば、大収穫でマジ、俺嬉しすぎる~。
あ、ちなみに俺も暴露しちゃうけど、一応情報屋『ゼロ』やってまーす」
ああ、これって、ゆっきーがいってた腐男子兼不良界の有名人が親衛隊隊長やってるってパターンか?
てゆーか、
「『ゼロ』ってあの愉快犯って有名だった?」
……僕らが夜暴れてた時接触した事はなかったけど、名前ぐらいは知ってる。
「そうだよ。海ちゃん達、不良の世界詳しいの?」
「あーっと、うん、まぁ僕らもバラしちゃうけど、僕が一応『白銀』って呼ばれてて、飛鳥が『黒帝』って呼ばれてたんだ」
「…『白銀』に、『黒帝』!?
てか、小浜が『黒帝』なの!? この辺最強って言われてた!? なるほどー、会長が勝てないわけだ」
うん、飛鳥、なんかこの辺最強って言われてるからね。
流石僕の飛鳥、かっこいい。
「あ、そうそう。会長の電話番号欲しいんだよな?俺の知り合いの情報屋が会長の電話番号知ってた気がするから、聞こうか?」
「本当? 助かるよ」
「いや、全然オッケー。寧ろ生徒会と本物の『金姫』の絡みとか萌えが見れるならこれぐらい余裕でやっちゃう!」
要するに、生徒会とお兄ちゃんがいちゃついてるような所みたいらしい。
…ゆっきーもそういう事よくいってたなぁと思う。
とりあえず、連絡先に関しては、この人に任しとけば問題ないらしい。