愛されたかっただけ

序章 新しい家族

澄(す)んだ空に澄(す)んだ空気。

なにもない、緑の多い町。

あぁ…ここで3年間生活するんだ。

「円(まどか)？先に寮母さんに挨拶しに行くよ。お父さんは車で買い物するお店の場所調べておくって。」

「そう、わかった。お母さんは一緒に挨拶しに来るんでしょ？」

「当たり前だろ、俺が行かないでお母さんも行かないなんてありえないだろーが。親の義務だ。」

「わかってるよ、確認しただけです。」

埼玉から離れて北海道まできたのに、家族関係は変わらないか。

それこそ当たり前だよね。

家族ごっこだもんね。

でも、これで本当にやっと…やっとこの人達と離れられる。