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プロローグ

初投稿作品です

是非駄文ですが、生暖かく見てください。

 クローン技術。それは人工的に同じ固体の生物を作る技術である。

 それはSFのようであって実在する技術だ。

 生物の毛1本からでもそこにDNAが含まれていればそれを媒介に同じ固体の生物を作ることが出来る。それこそ無限に、しかし現実のクローン技術はDNAからは作れるのはヒトデぐらいである。

 だが普通は卵子に細胞の核を移植することでクローンを作ることが出来る。

 だけど人のクローンは成功もしていないし、倫理の問題で作ることも禁止されている。

 ……そうなのだと思っていた。


「ただいま」

 私の名前は二階堂香奈。

 去年の春から高校に通うため一人暮らしをしている高校二年生。

 親に一人暮らしをすると話した時は「女の子が一人ぐらいなんて」と強く反対されたが最新のセキュリティの付いたマンションで暮らすと言ったらしぶしぶ納得してくれた。でも一番の納得要因は炊事洗濯だけは完璧にこなせるからこそ送り出してくれたのだろう。

 私はいつものように誰も居ないはずの部屋に帰ってきたことを告げる。

 実家に居た時の癖で挨拶をしてしまう。やはり、長年積み重ねたものは簡単に忘れられないのだろう。十数年でも染み付いてしまうものだ。

そんなときだった。誰も居ないはずの私の住居から声が聞こえた。


「おかえり」


 わたしは最初部屋を間違えたのかと思って一度部屋を出てみた。しかしそこには私の部屋を表す〈526〉という数字がプレートに入っていた。

 そもそも他人の部屋に入って「おかえり」という言葉は返ってこないだろう。私の持っている鍵で開くのもおかしな話である。

 私は怖くなったが他人が自分の住居に留まることの方が怖かった。いくら春は変な人が湧きやすい季節でも家に不審者が侵入して、しかも堂々と挨拶をしてくるような強気な変質者だ。部屋の中で何をしているか不安すぎる。

 いくら私は持て囃されるほど可愛くはないと言っても少女には変わりない。変質者は少女と聞けば見境がないとよく父に忠告をされた。その時は考えすぎではないかと適当半分に相槌を打っていたがいざその危機が訪れていると思うと何か対策の一つでも考えておくべきだったと後悔した。

 扉を開けた状態で固まってしまった。怖くて引き返すことも踏み込むことも出来ない。体が全く言うことを利かない。ただ思考だけが自由でそれが逆に恐怖だった。

 いっその事恐怖で気絶でもした方が楽だったかもしれない。例えこのあと変質者に何されても、今のこの場から逃れられるのなら構わなかった。

 しかし謎の侵入者はそんなことを許してはくれないらしい。


「あの、入らないんですか? 玄関開いてると寒いんで閉めてもらえませんか」

 ずっと玄関を開けたまま固まっていたため、部屋の中が冷えてしまったのだろう。ぽかぽかと暖かい春と言ってもまだ寒い時は寒い。確か今朝の天気予報では今日は春の中でも肌寒く暖かい様相でと言っていた。

 私はそのことを思い出しつい自然と閉めてしまった。閉めてしまった瞬間情けない声と共に再び扉を開けることも出来ずに立ち尽くすしかなかった。すると再び声がかけられた。

「ねえ。そんな所に立ってないで入りなよ。私達の家でしょ。こたつもあるよ。こたつはねぇ――」

 もうすでに頭は真っ白になっていた。最初は怖かった。侵入者だか逆に馴染みすぎている。そもそもなんで侵入者はリビングのこたつでくつろいでいるのだろう。こたつについて語り始めている。

むしろ真っ白になって恐怖がなくなったからこそ気づけたがよく聞くとその声は女性だった。

 いや、そんな事よりも何か違和感がある。侵入者は平然とくつろいでいるのもなんだか気にはなるがそれよりもなにかが気になる。

 なぜかその声、しゃべり方、抑揚を知っている。どこか身近な存在のような気もした。しかし私は会った事がない気がした。そもそも私達と言っていた。身近な存在のようで会った事も無い。なのに相手はかなりくつろいでいる様子だ。一体何者なのだろ。


「ねえ。いい加減こっち着たらどう? お菓子もあるし、マンガもあるよ」

 ついに待ち切れなくなったのかリビングの扉から顔を覗かせた。

 そこには私が居た。鏡と写真以外での自分が居た。再び頭が真っ白になる。頭が真っ白になったとしか言い表せない。暇つぶしに突然思わぬ人物に遭遇した時のシミュレーションはするが、さすがに自分に会った時のシミュレーションは無かった。他の人物は偶然で合うかもしれないが自分には絶対に合うなど想定していなかった。

 やはりそこに居るのは鏡や映像ではないリアルな私だった。私は自分の目で直に私を見るのがはじめてだった。それはそうだろ。誰もそんな機会はないのだから。


「こ、こんにちは」

「自分家で自分に「こんにちは」っておかしいよね。まぁ、仕方ないか。何せ自分を見ちゃったんだからね。ああ、言っとくけど私ドッペルゲンガーとかキツネとかそんな妖怪の類じゃないからね」

 リビングから顔を覗かせている私はそうまくし立てるとリビングへと「おいで。おいで」と手招きをしている。


 次第に夢ではないだろうかとすら思えてきた。そうだ、まだ2年生が始まって1週間クラスが変わって慣れない私はお昼休み友達とおしゃべりをしている最中に眠りこけてそんな疲れから変な夢を見てしまっているのだ。

 きっとその内友達の誰かが肩を揺すって「ねぇ、話聞いてた?」と声をかけてくれるはずだ。そして私は謝りながらまた談笑の続きをし始める。

 私は夢だと思い始め夢なら覚める前に楽しんでおこうと思い始めていた。

 だからだろう。私はもう一人の私に恐怖よりも興味を持ち始めていた。

「ごめん、ごめん。今そっちに行く。ってそのお菓子、私が休日にごろごろする用に買ってきた少しいい奴じゃん! 勝手に食べないでよね!」

 慌ててリビングに駆け込んだ。もし食べ始めならすぐに取り上げて保存しておけば休日の楽しみが残る。しかしそうは行かないらしい。プレミアムリッチと書かれたシリーズのチョコレート菓子は残り数個でもう一人の私の手の中で遊ばれていた。

「ごめんね。どうしても我慢できなくて、これ美味しいんだよね。休日のためにちょっとにするつもりが、ご覧の通りです」

「なにが“ご覧の通り”よ! 見ず知らずの私に勝手に食べられるなんて取っても悔しい。それにあなたは誰なの? どう見ても私にしか見えないけど」

「どう見ても、もなにも私は私よ。私は二階堂香奈よ」

 私の前に居る私、もう一人の二階堂香奈は当たり前のことを聞かれた時の様に答え、その問いに小首をかしげた。その返しにため息が漏れる。

「私が休日用のお菓子を食べてるのに私は怯えて、頭真っ白になって、お菓子食べられて、何の得も無くて。最悪な部類に入る夢ね」


 夢の出来事に愚痴をこぼすと夢の存在であるはずの私から思わぬ答えが返ってきた。

「夢なんかじゃないよ。さっきも言ったけどドッペルゲンガーでもキツネでもなければ、ここは夢でもない。紛れもない私達の家で私はあなたと寸分たがわぬ私なんだよ」

 おかしな夢で私はアリスを気取りっていたものが音を立てて崩れた。では目の前の私はなんなのだろう。


「なんなのって顔だね。ならお答えしましょう。私は二階堂香奈です。ただクローンなだけで」


 私の世界は今凍りついた。

 目の前に私のクローンが現れてしまったのだから。

 私の日常はこれからどうなるのだろう。

最初は主人公が男子だったのですが書き始めて同じ空間に同じ男子が二人居るのはむさ苦しそうだったので女子にしました。

今後、私と私の奇妙な日常を送っていきたいです。

あと多少読みづらいかもしれませんが徐々に修正をしていけたらと思います。

更新はゆっくりだと思いますが是非続きを待っていてください。

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