Inside
「すぅー……。」
今日も、いつも通り授業をサボって、屋上で壁にそって座って寝ていた。だが、今日は珍しく五月雨も隣で肩に寄りかかりながら寝ていた。オレは、起こさないようにもう一度寝ることにした。
「――…くん、ナリくん!」
突然名前を呼ばれ、目を覚ましたオレの目線の先にいたのは五月雨だった。
「あ…なに?」
「なにじゃないよ!もう学校終わってみんな帰ってるよ?」
オレとしたことが、どうやら寝過ごしたらしい。
「ごめん、帰ろ。」
オレは立ち上がり、そのまま校舎から出て家へ帰った。
帰り道、五月雨が「あの…さ…」と話し出した。
「ナリくんが寝てるときに、見たんだけどさ、前髪で隠れてる左目の傷、どうしたの?」
「え…?」
「あの、本当はみちゃダメだって思ったんだけど!でも、気になって…その、ごめんね…。」
五月雨が少し早口で言い訳を始めたが、そんなことは今はどうでもよかった。
傷…?そういえば、なんだったっけ…。あれ?何で、何でこんな傷あるんだ。
「ナリくん…?どうしたの?」
何で、何で思い出せないんだ。
オレは頭が混乱して、思わず座り込んだ。優しく掛ける五月雨の声も聞こえず、頭を抱え、無理やりにでも思い出すようにした。そこで、少しずつ頭のなかに映像が流れるように思い出た。少しずつ。
そうだ。幼馴染みの女の子、皐月がいたんだ。皐月が、皐月は…今、どうしてるんだっけ。…あれ?皐月は…?
また映像が流れるように、過去の記憶がよみがえっていった。
あぁ、これは…いつだっけ。
小3の時、オレは人の目が怖くて、山奥の神社に隠れてたんだ。一人で。そこに皐月が探しに来て、一緒に山を下りて帰ったんだ。
帰る途中で…皐月が…
崖から…。
「っっ!!!!!」
オレは、全てを思い出した。
皐月が崖から落ちて、死んだんだ。皐月が歩いていた外側の崖が崩れ、落ちていった。
オレが皐月をあんなところに行かせたから、死なせた。
何で忘れてたんだ、屋上でもいつも皐月のこと考えてたじゃないか。いつからこんな…。
「あ…。」
そうか。あの日、五月雨に会ったんだ。それから…。
「ねぇ、ナリくん…?どうしたの。私、いけないこと聞いちゃった…?」
「お前が、来てから…」
「え…?」
「皐月は…消えたんだ。」
「皐…月…。」
だめだ。まだ五月雨のせいだというわけではない。違う。違うんだ。けど…。
これ以上皐月を忘れるのは…。
「五月雨に会ってから、皐月がまるで居なかったみたいに、消えた…。」
「なん…の…こと…?」
ダメだ。言うな、これ以上何も言うな。五月雨に皐月は関係ないだろ。また、大切なものを失ってしまう前に。もう…。
「もう、五月雨には会いたくない。」
今日は、珍しく晴天だ。オレは太陽の光が眩しく、カーテンを閉め、部屋で一人になった。
あの日から、五月雨は一度も来ない。当たり前だ。
なぜあんなことを言ったのか、自分でもわからない。
オレは、話している間もずっと五月雨の顔が見れなかった。怖くて。だから、あの時五月雨がどんな表情をしていたのか。きっと、悲しそうな顔だったんだろう。
五月雨に出会うまでずっと皐月が好きだった。10年以上思い続けてきた。
なのに…。
あーあ…。会いたくないなんて言ったくせに。
五月雨に会いたい。
矛盾してる。わかってる、でも。
なんで、こんなに五月雨に会いたいなんて気持ちがあるんだ。
ここで、ある事に気がついた。
五月雨と皐月は、どこか似ている。話し方や、性格が。顔立ちも髪の色も違うのに、なぜか同じ人に見える。
昔、皐月もオレのことを「ナリくん」と呼んでいたような。
さみだれ…。さつき…。
五月雨は、「さつきあめ」とも読める。
五月雨と会った日、彼女は昔からオレを知っていると言っていた。その時から、自分でもどこか知っているような気がして…いや、知っているんだ。
あ…。そっか。
オレは、今、気づいてしまった。本当かはまだ、わからない。でも、気づいたんだ。きっと、五月雨は…
五月雨は…。だからオレは、
五月雨のことを
好きになったんだ。
第2話!!はい!!
なんと、次で最後ですねー!!
私の愛してやまないナリともサヨナラですね
というわけで、またまた新作書きます!いぇい!!
今度は、1年ほど前からじっくり熟成された(自称)素晴らしきお話を!
あ、方位組はまだまだ続きます(笑
ちなみに、私のお友達も小説を書いているのですが、
「恋文カンタータ」で検索してください(ニッコリ
ふはは、ろみをめ!載せてやったぞ!!
というわけで、是非!!読んであげてください((
それでは今回はここで!