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音のある世界  作者:
1/6

こんな世界で






俺だってお前らを食わせて行くためになぁ!



私だってあなたを支えるために色々がんばってるのよ!






聞こえてくる会話、聞きたくもない会話。 うるさいな、こんな夜遅くに喧嘩なんてするなよ。 自然とヘッドフォンに力が入る、遮るようにボリュームを上げる。



自分の両親をバカだと思うようになったのはいつからだろう。 多分、小学生の時くらいかな。 周りには態度良く、おしどり夫婦なんて呼ばれるくらいに見せて。 見えない所ではこの有様だ。 馬鹿らしい、本当にくだらない。こんな奴らの血が、遺伝子が。俺の中に存在すると言うだけで虫唾が走る。 その度に、俺の中で一つの考えが出来上がっていく。





本音なんて言うだけ無駄だ。 理解されたくて、周りに認められたくて。そんな小さいわがままを通そうとして、衝突して、争って。理解されたい気持ちは、いつの間にか理解させるって独りよがりになっていく。 見ていて気持ち悪い。 心の狭さが手に取るように分かる。





だから、俺はそうなりたくない。 いや、絶対ならない。 本音をぶつけあえる、そんなの夢物語だ。 結局人は自分が一番可愛いんだ、自分のためなら他人など、燃えるゴミの日にでも平気で捨てられる。 非情で醜い生き物だ。 そのくせ寂しくて他人にすがる、面倒な生き物。




周りに干渉せず生きていく、それが出来れば苦労しない。 けど現実、人は一人では生きられない。 だから俺は、合わせることにした。他人の気持ちを分かるように、理解してあげるように。 そうやって合わせることで、必要な時手を貸してもらえるように。 薄っぺらい絆を構築することで、俺は俺として生きていける。





本音なんて、抱くことすらバカバカしい。 俺は俺のためなら、平気で嘘をつける。 だって俺も、自分が一番可愛いんだから。





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