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生と死の象徴  作者: 楠楊つばき
忍び寄る凶行
18/41

幕開け

分割を間違えました。とても短いです。

 利華が去った後、水月もどきは感嘆の声を漏らした。


「防音設備であるのに、パスワードを聞き漏らさなかったのね……」


 特別治療室は入室した後、ドアの傍で四桁から十桁の暗証番号を入力しなくてはならない。それは最初に入室した者が決定するため、今回は〝死の象徴〟が設定した。


 このような水も漏らさぬ設備になっているのは理由があり、訪れたクライエントが攪乱して急に退室するのを防ぐためである。拘束具と同じで縛るための物であるが、退路を(ふさ)がなくてはならないときもあるのだ。ワンタイムパスワードでないのは一部のカウンセラーが忘れてしまうかららしい。


「主導権が水月にあることから、initiative……単純明快すぎる。指の動きで判断した、という方に私は賭けるわ」


 『来談者中心療法』――別名『クライエント中心療法』はクライエントが持つ潜在力への絶対的な信頼感に基づくカウンセリング法であろ。この療法では治療者はあまり口を挟まない。私には強硬手段をとらなくてはならない理由があるために、利華と言い合いになってしまった。


「……蚊、蹴る?」


 壁を一枚隔てた廊下から、やや掠れた声が聞こえた。


「詩季……開いているわよ」


 姿を現したのは老成した教師ではなく、萌える若葉のような緑の髪を三つ編みにした女子生徒。前髪で顔の大部分が覆われているが、微かに覗かせる塗りたくらない肌から推測し、教師のコスプレではない。


 水月もどきは、ぽつんと置き去りにされた椅子に腰掛けた。足を組み、指と指が触れ合うように手を組んで訪問者を待ち構える。


「……これからが幕開けよ」


 その声は自信に満ち溢れていた。


音無詩季(おとなししき)。身長160㎝。

彼女の不思議ちゃんぶりは作者の斜め上をいきます。

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