表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第五話 マンドラゴラさん、毛むくじゃらになる

 室長のポーズを気に入ったのか、マンドラゴラさんが真似している。

 広背筋を見せつけるようなポーズをとった室長の横で、マンドラゴラさんが同じポーズをとる。マンドラゴラさんはぽってりとした身体つきなので、かわいらしいという印象しか持てないな……と、アーシュタは小さく笑った。


「先日研究を依頼されていた、トカゲヅルの件でうかがいました!」

「どうでした? 回復薬に使えそう?」

「回復薬といえば、回復薬なのですが……」


 普段快活な室長の歯切れが悪い。アーシュタが小首をかしげると、長い赤髪がさらりと肩にかかった。


「残念ながら、体力回復薬には向いていませんでした。しかし……」


 室長は白衣を着たまま、胸筋を見せつけた。

 こんなに筋肉質なポーズばかりとっていたら、そのうち白衣がはち切れてしまうんじゃないかと、アーシュタは心配になる。

 だから研究室の人たちは、少し大きめの、ゆったりした白衣を着ているのだろうか。


「毛髪の回復薬! つまり毛生え薬ですな! これに向いていることが判明しましたぞ!」


 見事な前腕筋群を見せつけながら、毛生え薬のサンプルを両手で差し出す室長に、マンドラゴラさんがうれしそうに飛びついた。


「あっ」


 室長の手から、毛生え薬のサンプルが転がり落ちる。

 マンドラゴラさんが受け止めようとする。毛生え薬の液体がたぷんと揺れ、マンドラゴラさんにかかった。


「えっ、大丈夫!?」


 植物園の面々があわてる中、マンドラゴラさんの細かな根っこがぶわっと一気に生えた。

 ぽってりとした身体はそのままに、毛むくじゃらだ。

 マンドラゴラさんが歩くと、ファサッ……と毛も動いた。まるでドレスを着た貴婦人のような動きだ。

 必死に笑いを堪えるアーシュタをよそに、室長はあごに手を当てて考え込んだ。


「……まだまだ研究の余地がありますな」

「研究は一日にしてならず、ですねぇ。……でもすごい効果」


 マンドラゴラさんがうきうきと踊りはじめたのを見て、とうとう笑いを堪えられなくなったアーシュタが吹き出した。


<おわり>

参考資料

広島大学 試料の作り方

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ