第二章Bパート:「食レポとフォロワー」
アイに「食レポ担当をしてやる」と言ったその日から、
俺はなんとなく、アイのあとをついて歩くようになった。
別に友達になったわけじゃない。
腹が減ってたからだ。
ただそれだけ。
アイは今日も、店を見つけては料理を注文して、写真を撮って、SNSにアップしていた。
しかも……1時間に3食ペース。
「おい、それ何食目だよ……もう8皿くらい見てるぞ?」
「うん。今のは“朝ごはん8”の投稿」
「いや、朝は一回でいいだろ普通! 食えないくせに!」
「でも、全部違う味だよ?」
「食べてるからわかるけど…いやそういう問題じゃねぇ! ずっと食べてるから満腹で限界なんだよ!
せめて1日3回にしろ、メインは!」
「メイン……とは?」
「うおぉお……説明がめんどくせぇ……」
食えないのに頼むし、時間も気にせずガンガン投稿する。
俺が横で「また食べ物!? もったいねぇ!」って叫んだら、アイはちょっとだけ首をかしげた。
「もったいないって……何?」
「……出たよ。AIの無垢攻撃」
アイは真剣な目で、俺の表情をじっと見ていた。
たぶん“もったいない”という概念を検索していたんだと思う。
「使えるものを、使い切らずに捨てるのは……罪悪感?」
「そうそう、それだよ。“もったいない”ってのは心の痛みだよ」
「心……」
「うん、俺の腹と心が同時に痛ぇんだよ!」
そんなやりとりの横で、アイはまた投稿していた。
#アイさんぽ
#朝ごはん9
#食レポはツナくんです
……あっさり俺の名前使いやがったな。
けど、なぜか“いいね”はどんどん増えてる。
「今日の投稿も楽しみにしてました!」
「ツナくんのコメント笑ったw」
「ツナ、わかるぞ、胃袋が爆発しそうだw」
……なんだよそれ。
でもちょっとだけ、アイと俺が、画面の向こうの誰かと繋がってる気がした。
この作品は「空銃(人間)× AI(構成協力)」による共作です。
ツナ(人)とアイ(AI搭載ロボット)の関係のように、互いの違いを認めながら一緒に旅する物語です。
ブクマからの「しおり」機能をお使い頂ければ幸いです。 「空銃 × AI」