1/8
0
雨が降っていた。
ごうごうと滝のような豪雨が全身を濡らしたが、その雨音も耳に入らないほど心は静かだった。
「…そうだ。名前。名前を決めないと。」
雨から守るように腕に抱いていたそれはじんわりと暖かく、時折とくりと鼓動を打って、冷えた体に僅かな温もりを与えてくれた。
「いい名前がいいな。何も無かった俺にあいつらがくれたように。何も出来なかった俺に、あいつがくれたように。」
この世の幸運を終わり無く
この世の幸福を限り無く
祈りのような、呪いのような、そんな名前を。
この儚く幻のような命に自分がしてあげられるのは
それくらいだから。




