Prologue 語り屋による序説
今日は。
私の四つ目の連載作品「すわろぅてぃる」を開いていただき、誠にありがとうございます。
この作品は主にファンタジーですが、後半からは恋愛も混ぜようと思います。私は恋愛作品というのは超苦手なので、ベタな展開とか何だこれみたいな話になるかもしれませんが、どうか温かい目で見てやってください。
では「すわろぅてぃる」開幕です!
ねぇねぇ、そこのあなた。
そう。あなたのことよ。一つ、お話を聞いてくださらない?
――え? いくらするのですかって?
あはは。大丈夫よ。こちらは旅をしながら、無償でたくさんの人にお話をしているの。
……だ、大丈夫よ。怪しい者じゃありませんから。
だから、そんな訝しそうな目でみないでね。
えっと、気を取り直して。
私のような者のことを世間では『語り屋』と呼んでいるわ。
……え? あなた、語り屋を知らないの? それ、本当?
……そう。じゃあ、語り屋の説明から始めるわね。
語り屋は、様々な国を旅しながら話を語る、言わば吟遊詩人のような者たちのことよ。
その話は自分の体験談であったり、様々な国の神話であったり、他の語り屋から聞いた話であったり、
自分の作り話であったり、自分の国にある自分の好きな物語であったりするわ。
語り屋たちは世界中の数多の物語を人々に語り継ぐために、
人々に知ってもらうために、思いを込めて話を語るの。
そうして人々の心に根強く残った物語は、何百、何千年という時を越えて人々に語り継がれていくわ。
さて、語り屋の説明はこれくらいにして。
私が怪しい者ではないと分かってくれたようだから、本題に入るわよ。
時間は、ある? ……そう。良かった。では――
今からお話するのは、語り屋が語っている物語の中で、最も古くから語られている話よ。
もう数千年も前―― 正確には五千二百七十三年も前のお話。まだ魔術や召喚獣というもので溢れていた、魔術時代のことよ。
知ってる? 魔術や召喚獣って。
……あぁ。やっぱり召喚獣が分からないわよね。
召喚獣っていうのは、召喚獣使いに召喚され自分を召喚した人間を主人としてお守りする生き物のことよ。
……ちょっと、話がややこしいわね。
まぁ。詳しいことは話しながら説明できるから、今はいいわ。
前ふりが長くなったけど、ここからが本文よ。
――今から五千二百七十三年。とある国のとある村に、一人の美青年がいた。その青年は、召喚獣使いだったんだけど……
召喚獣使い、最大の禁忌をおかしてしまったの。
思ったのですが、ライトノベルのサービスシーンって、十五禁とかになったりしませんよね? そんなあまり行き過ぎたものでもありませんし……。ラノベにはつきものだと思うので、別に、構いませんよね……?