ティザーの誕生日
夏が来て、ティザーの誕生日になった。
ティザーのためにみんなで誕生日会を開く。
「ティザー、お誕生日おめでとう!」
「おう、ありがとうな!」
みんなで口々にお祝いの言葉を送って、プレゼントを渡す。
「それでねティザー、私今日はお泊りしようと思うの」
「俺の部屋に泊まるか?」
「ええ、お願い」
「もちろんいいぜ!」
なんとなく、この流れは重い話になると察しているらしいティザーだがなんてことないように受け入れてくれる。
そしてみんなで誕生日会を楽しみ、お開きになった。
お風呂に入ってから、それぞれの部屋に戻る。
「…それで、何かあるんだろ?」
ティザーから私に切り出す。
「ええ。貴方のストリートチルドレン時代の仲間について、伝えておこうと思って」
「…」
「みんな、騎士団に捕まっていたわ」
「やっぱり、そうだよな…」
神妙な顔で頷くティザー。
「今は労働懲役を受けているわ」
「労働懲役…」
働かされて、稼いだお金を被害者への賠償に当てる懲役。
辛く厳しく過酷だが、被害者への償いとして必要なことだし…本人のための糧にもなる。
労働懲役中に身につけた様々な技術で、解放後に働き口を見つけることも可能になるのだ。
「みんな頑張って働いて、被害者への賠償をして、将来に備えて様々な技術を身につけているわ」
「…そっか」
「みんな前に向いている。だから心配しないで」
「でも…それなら、俺だけだな。俺だけなんの償いもしていないし、呑気に過ごしてるだけだ…」
「それなのだけど…」
私は、言っていなかった事実を伝えます。
「貴方の分の被害者への賠償は、私がしてしまったの」
「え…?」
「その上で、ここでティザーを必ず更生させるから許して欲しいと上に掛け合ったわ」
「…!」
「結果、貴方は今罪を犯さずチャイルドパラダイスに馴染めている。こっそり一人で懺悔や傷つけてしまった人のためのお祈りもしてるのも知ってるわ。だから…貴方も前を向いて」
ティザーは驚いた表情で固まる。
そして泣き出した。
「…生きていくためなんて言い訳して、償いもせず、知らないところで守られてたなんて。情け無いっ」
「ティザー…」
「でも、でも、ごめん…ありがとう、本当にごめんっ」
「うん」
「…ごめんなさい」
静かに泣き崩れるティザーを抱きしめる。
これでこれから、ティザーが前を向ければいいのだけど。




