ガードの誕生日
春も終わりに差し掛かり、ガードの誕生日がきた。
みんなで誕生日会を開く。
「ガード、お誕生日おめでとう!」
みんなで口々に祝福の言葉を送り、プレゼントを渡す。
ガードは頬を染めて照れた様子。
「お、おう…みんな、ありがとうな」
十四歳の誕生日を迎えたガード。
そんなガードに渡したいものがある。
「ガード、それでね。今日もう一つ渡したいものがあるの」
「ん…?いいけど」
「じゃあ、今日はガードのお部屋にお泊まりするね」
「は?なんで?」
「まあまあ、いいからいいから」
みんななんとなく何かを感じたようで、それに関してはなにも言わない。
ガードも渋ったが受け入れてくれた。
そして誕生日会がお開きになり、お風呂に入ってからそれぞれ部屋に戻る。
「じゃあ、ガード。渡すね」
「お、おう」
ガードに渡したのは、数多くの手紙。
その量に驚くガードは、やがて差出人に気付いて渋った。
「…読まなきゃダメ?」
「ガードが決めていいわ。でも、読んであげてほしい」
「…ん、わかった」
ガードに届いたのは故郷のみんなからの手紙。
それを読んで、ガードは手の中の手紙を睨む。
内容はおそらく、ガードへの謝罪。
両親のことを見捨て、ガードを病原体扱いしたことを謝る手紙。
そして、感謝も綴られているだろう。私がガードのためになればと思って、流行病で被害を受けた故郷の村に支援をしたから。
「…みんな勝手だな。今更謝られてもな」
「…」
「でもま、謝罪もないままよりスカッとした。そもそもあの状況、本来は誰を恨める状況でもなかったって今はわかるし」
「ガード…」
「…それよりリア、故郷を助けてくれたんだな。ありがとうな」
ありがとうと微笑むガードは、もちろんまだまだショタっ子ではあるが…それでもすっかり大人の顔だ。




