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ティザーへの想い

今日はティザーへの想いを綴ろうと思う。


彼は、自分をラッキーだと思っているようです。


ティザーは、気がついた時にはスラム街にいたそうです。生粋の孤児です。それまでどうやって生きてきたのかはわからないそうです。ティザーは、生きていくために、殺しでも盗みでもなんでもしたそうです。小さな背中に、たくさんの物を背負っているのです。


そんなティザーは、気がついたら仲間が出来ていたそうです。みんな身寄りのない子供達。仲間意識は強かったようです。


そんなある日突然、騎士団がスラム街に来たとのこと。治安を乱すストリートチルドレンの集団…つまりはティザー達を捕まえに来たそうです。…捕まった子供達は、牢の中で罪を償って、孤児院に移されたとか。ティザーはみんなを連れて逃げたけれど、みんな少しずつ騎士団に捕まっていったそうです。それでもティザーは走って、走って、走って、走って、走って…騎士団を、振り切ったそうです。でも、ティザーの後ろには誰一人としてついて来ていなかったそうです。みんな、捕まったらしいです。



ティザーは知らない場所に困惑しつつ、歩きました。そして、我が孤児院、チャイルドパラダイスの前に出ました。頼る場所もないし、賭けてみてもいいかと思って門をくぐったそうです。はじめは孤児院だというのに、子供が一人しかいないことで少し警戒したそうです。でもジェネラス神父様の優しい対応で、その警戒はすぐに解けました。


そしてティザーはチャイルドパラダイスの一員になってくれました。ティザーの前に入ったリトは、ティザーに対して最初は塩対応でした。けれど、ティザーが必要以上に私に関わろうとしないのをみて普通に接してくれるようになりました。そして、ティザーが悪戯を仕掛けまくって仲良くなったのです。


ティザーは最初私に関わろうとはしませんでした。神父様にも。ティザーはどうやら、大人になって自分で稼げるようになるまで養って貰えればそれでいいと思っていたようです。それに、仲間なら孤児院の子供だけで充分とも。


でも、私は決して諦めませんでした。さりげなく私を遠ざけるティザーに対して、ぐいぐい行きました。ものすごい勢いでぐいぐい行きました。ティザーがリトに悪戯を仕掛ければ一緒になって悪戯をするようになり、ティザーが一人でいる時には甘やかしてあげようとしました。そのうちティザーが折れてくれました。


ティザーに受け入れてもらえて、私はそれはもう嬉しくて嬉しくて。始終だらしのない笑顔で甘やかしまくりました。リトはそんなティザーに嫉妬していましたが、そんな二人がまた可愛くて。ティザーは私や神父様が初めて優しくしてくれる大人だったようで、照れ臭そうに笑っていました。


私はそんなティザーに、もっともっと大人からの優しさを教えてあげたい。大人に甘えることを教えてあげたいのです。

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