表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/56

オプスキュリテの想い

僕は、孤独だった。


僕はオプスキュリテ。平民な上に孤児なので姓はない。


僕は娼婦を母に持っていた。父親は知らない。知りたくもない。母も、見ず知らずの父も嫌いだ。リア様に出会って、張り詰めていた心を溶かされた今でもそれは変わらない。


母は僕に対して、特にこれといった情を持っていなかった。僕も母に対して、愛情を求めたりはしなかった。ただ、母は僕を捨てることだけはしなかった。娼婦として働いて稼いだ金を僕に対しても使ってくれた。言葉を交わすことも少なかったけど、大嫌いだけれど、それでもここまで育ててくれたことに感謝している。


でも、そんな何処にでもあるような歪な日常はある日唐突に奪われた。


家に、強盗が入った。母は、何故か僕をクローゼットに匿って、自分は殺された。なぜ?僕を愛していなかったんじゃないの?


僕は混乱して、でも頭の何処かは冷静で、強盗が帰るまでクローゼットでじっとしてた。強盗が帰って、クローゼットから出て。とりあえず、お金とか金目の物をどれだけ盗まれたか見た。全部盗られてた。次に母を見た。何故か涙が溢れた。なんでだかは今でも良く分からない。だって、母は僕に対して何の情も持っていなかった。僕は母が嫌いだった。泣く理由が無い。リア様に聞くと、今はわからなくていいのよと言われた。リア様は何故か泣きそうな顔をしていた。


そして、身寄りのなかった僕はチャイルドパラダイスという孤児院の最初の子供として引き取られた。


孤児院なんて、一体どんな仕打ちを受けるのだろうと緊張していたが、チャイルドパラダイスは僕が聞いていた孤児院のイメージと全く違った。


暴力も振るわれないし、一日三食おやつ付きだし、調度品は優れたものばかりだし、仕事もさせられない。それどころか勉強も教えてくれるし、神父様もこの孤児院の設立者…リア様も優しくて。


僕は、まだ子供だから。そう心の中で言い訳して、新しくティザーが引き取られてくるまでの間神父様とリア様を独占し続けた。


特にリア様には、ある種の執着を覚えた。


僕は、リア様が好き。これは、僕の初恋。波打つ金の髪も、白い肌も、美しい青の瞳も、全部僕のものだ。他の誰にも渡してたまるか。


たとえこれが、幼子が母に抱くような思慕だとしても。


僕は、この初恋を諦めない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ