7 火の呪文
福井丘県子郡市。市役所発の魔王討伐に、高校生勇者がゆるーーく挑む。
「どーなの?魔法使える?」
ぼくとヤスはヒラに尋ねた。ヒラは、魔法使いになったのだ。なったのかな、なったはずなのだ、しかも、市役所に登録しただけで。
「いやー、やっぱり練習と登録がいるみたいでねー」
ヒラが言った。
「どうゆうこと?」
「魔法はイメージと呪文と効果登録が必要らしいんだよ。ケータイがキー局になってる。例えば、火の魔法をイメージする。イメージはケータイを通して現実の効果がつくられる。つまり、目の前に火がつくられる。さらに、呪文によって発動する。火が魔物に向かって放たれるらしい。レベルアップのときにスキルポイントを振り分けて、ケータイに呪文を登録するんだって」
「やってみてよ」
「うん、まずは火のイメージ、、、」
ヒラは目の前に右手を開いて突き出した。
「何だか、手のひらが熱くなってきた、、、」
そう言えば、手のひらに小さな光が見えてきた。
「アツッ、、、」
小さな火の粉が見えたが、すぐに消えてしまった。
「アツッ」
ヒラは手のひらにふうふう息を吹きかけている。それもそうだ、手から火が出れば熱いはずだ。
「いやー、これは長い呪文はダメだ、スペシャルダイナミックファイヤーアローなんてカッコいい呪文を考えてたけど。もたんわ」
何度か試して、ヒラは火の呪文アツッをケータイに登録した。練習の成果もあって、3メートルくらい小さい火の粉を飛ばすことができるようになった。
ヒラは魔法使いになったのだ。勇者のぼくも魔法が使えるようになるのだろうか。
「8 会心の攻撃」に続く。