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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

A PRISONER

作者: 一理

蠱毒成長中様のアイディアから練られています。

霧の深い地域に一つ隠されるようにそこにあるのは、名もなき孤島。

そこにある一つの船が上陸した。

この島から少し離れた小さな島から来た漁師で、嵐に流されてきたものであった。


今まで孤島の存在は誰も知らなかった故に、孤島は手をほとんど加えられていない。そのはずだった。


しかし、漁師たちは興味かそれとも何かに誘われてか、歩き出した。


そこで目にしたものは異常なものだった。

木々は不自然に傷つき、時にはそこだけ燃え、ある場所ではそこで誰かが生活していた様にも伺えた。

銃弾の後やナイフが大地に突き刺さったままなど……そこでまるで戦争があったかのような荒々しさであった。


そこで漁師たちは山の山頂へ行った、そんなに大きな山ではなかったのですぐに登りきることができた。……そこにはおびただしい量の木片が大地から天に向かってはえていた。


一つ一つに文字がある

とある場所に隠されたように置かれていた手記を見つけた。

黄ばんだ古く脆く今にも破れそうな手記でタイトルはなかった

……今から五十年前の手記だった……。



===五十年前・アメリカ合衆国とある州にて===


七月四日

従兄弟の借金を保証人にされてしまった俺はその負担額に耐え切れずいくつかの金持ちの家に強盗に入ったのだが、百件を越えたあたりで、ついぞつかまってしまった。こんなこと書くのもアレだが、見つかってよかったと思う。


男は今日の分を書き終えて、一息ついた

「財政難か……」

彼はアメリカ一と呼ばれる刑務所へ収納されていた、来るときにちらと耳にしたのは囚人過密化による財政難の話だった。

もう……限界だ、と

財政難の囚人所は一体どうなるのだろう?まさか全員一気に死刑なんじゃないだろうな?しかし銃殺での死刑は弾にお金がかかるからないと考えれば、絞首か?

ぶるる。。。

体が震えた。

「囚人5001号出て来い」

「え?俺?まさかし、死刑?」

刑務の人に連れられ久振りに牢から出た。

「で、一体どこに―――!?」




七月……分からない。

あの後殴られてからどこかに連れてこられたらしい、日にちは分からない……しかし幸運なことにこの手記だけは取られていなかった。分かることは……アメリカではなさそうだ。見渡す限りの自然から見るにどうやらどこかの島らしい。

他にも十人ぐらい人が居た。女性も居る。


「ここは?」

他の人たちも個々に何故来たか分かっていないようであった。しかしまぁいかにもって感じの犯罪者面の人も居るものだ。

「よう、お前も強制的に連れられきた口か?」

「あぁ、ところで君は?俺はアルス・フォデルマン」

「俺はラルド・シーズ……犯罪者同士で挨拶なんて変だな」

彼がそういって笑ったので俺も笑った。そのとき誰かが大変だと叫んだ。そちらに向かえば看板が立っていた。そこには信じられないことが書かれていた。


---今この場に居るたった五十名の中で一人だけ生き残ることができたならば、犯した罪を帳消しにし、さらに一千万ドルの賞金を与える。武器はこの島のいたるところに隠されてある。君たちは監視されている。仲良くみんなで生きようなどど考えないように、殺しあうのだ。


みんな確然とした、こんな馬鹿なことがあるものか……しかし何人かはそうは思っていないようだった。何も言わず走り出したものも居れば恐怖に逃げ出したものも現れた。

「こんな、嘘だろ?」

鬱な気分に合わせて雨が降り出した、さっきまでの雰囲気は何処にもなかった。監視されている?殺しあえ?なんて馬鹿なことを、こんなことって……俺は茫然自失になった。


七月……もう日付を書く必要もない気もしなくはないが、これから書かないとどうも筆が進まない。

昨日のばかげたことを本気にした奴が居たらしい、山へ雨宿り先を探していると一人……首を絞められ殺された男が居た。……俺は彼を山頂へ埋めてやった。すまない


墓を立てた昨日のことを考えながら彼は溜息をついた。俺も人を殺めなければならないのか?自分が生きるため人を殺すなんて、そんな罪深いことしたくない。

悩んでいると悲鳴が聞こえた。

「誰かぁ!いやぁあああ」

見ればどうやら女性に襲い掛かる男が居た、もうすでに見つけたらしいナイフを片手に女性を強姦していた。俺は恐怖よりも体が動いていた。

「やめろ!!」

「ぐぅ!?」

俺は彼女を連れて逃げ出した。男の横腹を蹴ったのですぐには追ってこれないとは思ったが遠くへ走っていった。

すこしして俺は立ち止まった。

「はぁ、はぁ、ありがとう助けてくれて」

「いいえ、当然のことをしただけさ大丈夫?」

「えぇ」

破れた服を必至に直そうと奮闘していたがぼろぼろに引き裂かれたそれはもう使いようがなかった。目のやり場にも困ったので自分のシャツをあげた。俺は男だし今は夏だからといって遠慮した彼女を説き伏せた。

「私はネイチェル・ジェーンス」

「まだ若いようだけど?アァゴメン俺も人のこと言えなかったね」

二十代前の彼女に比べ俺はもう四十歳はきていた。それにしてもこんな子どもにまで警察は何を考えているんだ!憤りを考えていると草むらが揺れた。

「きゃあぁああ!!」

「わったった!?」

彼女の悲鳴に驚いたソレは坂からすべり転んだ。見た顔だった。

「ラルド!」

「おぉ!マルス生きてたかこの野郎」

ラルドはすでにナイフと拳銃二つの武器を所持していたから片方のナイフを貰った。

「やばいぞこの島、武装兵士も居やがった!見ろこの傷……おぉいてぇ」

彼は武装兵士から逃げてきたらしい、命がけのわりには全く彼は調子良く気軽に語るものだから俺と彼女はつい笑ってしまった。しかしそこで分かったことはある。奴らは俺たちを生かす気はさらさらないらしい。



七月二日目 野犬に夜襲われたせいで眠たい。ただの野犬ならまだしも狂犬病を抱えた犬だったようにも伺える。本当やつらには殺意が沸いてくるね。これからは木の上で寝ることを余儀無くされそうだ……。


「俺は寝相が悪いんだ」

そういって自身の体を縄でぐるぐる巻きにくくりつけて寝ていたラルドはそういいながら俺が縄を解くのを待っていた。こんなところでなかったら彼とはぜひ酒を飲み明かしたい。

「さてどうしようか」

「私思ったんだけど監視されてるってことは死ぬまでここから出られないって事よね」

不安そうな顔をした。

「いや!死にたくないわ」

「みんなそうさ、さぁ、行こう」

行くあてなんてないがじっとしているなんてことはできなかった。山はすでに悲惨なものだった殺しあったあとや遺体。使えなくなった武器の放棄など……遺体の数だけでももう三十は越えていた。

よろよろと動く影を見た。ソレを見れば今にも息絶えそうな顔をした青年だった。

助けようとしたが彼は首を横に振った。

「ボクはもう駄目です。それよりも伝えたいことがあります」

彼が言うのは今回の作戦の情報……つまり真実だった。


アメリカ一と呼ばれる刑務所へ、ある時囚人過密化による財政難が訪れた、危機に所長は様々な対策を取るも、あえなく失敗。最終的にある職員が思い付いた財政難対策に、幾つかの無人島に武装させた囚人達を一定数放し、互いを殺し合わせ、また猛獣や武装兵士等をもその島へと放し、最後に生き残った者の罪を帳消しにし、一千万ドルの賞金と共に釈放というものだった。更にそれを裏でマフィアや品の無い金持ち相手の賭博として展開し資金を確保するという恐ろしいものだった……

「僕たちはただのコマなんだ……畜生……家にっ帰りたかったっっ!!」

そういって涙を流しながら死んだ青年を三人は看取った。

彼の死体そして放置された遺体を俺たちは山頂へ運んで墓を立てた。

すまない、コレしか俺たちはできない……帰してやることはできないんだ。


七月三日目 人の気配がしなくなってきた、朝から晩まで聞こえていた銃声や悲鳴も少なくなってきた。もう残り少ないのだろう。くそ、俺たちはもう死ぬしかないのか?


七月四日目 殺してしまった。仕方なかった、といえば言い訳になるだろう。俺は自分の見のために人を殺してしまった、最低だ。奴らとなんら変わりないんだ。ラルドは気にするなと言ってくれたがネイチェルの気のふさぎようは気になる。彼女が心配だ


七月五日目 ラルドが武装兵によって足を奪われた。しかし何とか逃げ切ることができた。猛獣が夜を徘徊する、彼の足はもう使えない。木に登れないのだ。どうしようかと山を散策しているといい横穴があった。そこで休むことにした。人間に火を与えてくれた神に感謝しよう


七月六日目 ネイチェルがずっと続いた緊張状態がたたったのか夢遊病や錯乱状態になりやすくなった。いまではずっと「ごめんなさい」と誰にもなく謝り続けている。彼女がいた堪れない。


七月七日目 ノイローゼ気味だったネイチェルが今朝永眠についた。彼女のことは忘れない、来世では幸せになることを祈ります。君に会えてよかった。安らかにお休み


七月八日目 ラルドの傷が化膿し腐り始めた。ナイフで足を切り取ったものの出血が酷い、そんな中でも死神はやってくる、俺は必至に抵抗したが最終的にラルドは俺を逃がし持っていた手榴弾で自決した……友を置いて逃げるなんて俺は卑怯だ。


七月九日目 生きる希望を失っても朝は来るらしい。俺はどうしたらいい?死ぬ勇気すら持っていない俺は弱虫だ


七月十日目 幻聴が聞こえる幻影が見える……呼んでいるような気がする。


七月十一日目 今あるのは悲しみじゃない憤りだ。どんな理由があるにせよ、俺たちは罪は犯していけなかったんだ。今更ソレがわかった。罪の重さなんて関係ない。罪を犯してしまった時点で間違っていたんだ。悪いのは自身だ。俺なんだ。


七月十二目 誰も居ない。もうこの島には誰も居ないような気がする。全てのものが死んだ。誰も生き残っちゃ居ないんだ。


七月十三日目 どうか、だれか俺の手記を呼んだのなら、アメリカ政府の警察の……この悪質で最低な陰謀を晒してくれ、でないと……俺たちは本当の意味で死んでしまう。

俺たちは


俺たちは生きていたんだ。



アルス・フォデルマン

====


漁師はソレを持って帰りマスコミに公表しようとしたがその前に謎の武装集団に拉致され殺された。この手記の事実は闇の中で隠蔽される事となった。

本当の意味でも、彼らは殺されたのであった……。

誰もこの歴史を知らない。


歴史なのかな?ジャンルは・・・・・・

いかがでしたか?コメントなどありましたらお願いします。

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― 新着の感想 ―
 ありがちな内容とはいえ、それを実際にこうして作品として作り上げることができるかというと難しい。特にこの作品のような秀逸なものにとなると……。  確立された型に倣った手法とはいえ、実によくできた作品だ…
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