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擬態した私は調子に乗っています。2

よく、メインキャラが人目につかないところでいじめられるシーンが異世界モノとかであるが、それっぽいぞ。


「たまたま先生に何度か褒められたくらいで勘違いしてないか」

「お前みたいな女が勘違いするなよ」

「誰もお前のこと認めてないんだよ!」

男の子の声が3人分。


振り返ってヤンにしーっと合図をし、黙ってるようお願いした

「……」

じーっ(ヤンが超胡乱な目でこちらを見ている ーがしかしスルーさせて頂く)


男の子達は興奮しているのか、

口々に相手を責め立てている

少しずつ近寄るこちらの音が聞こえていないようだ

もう声がだいぶはっきり聞こえる


「お前がバレリー嬢に嫌がらせしてるのはバレてんだよ!」

「バレリー嬢が自分と違って可憐で可愛らしいから嫉妬かァ?」

内容からすると…男の子3人がかりで相手女の子一人なの?

そして女の子をイジメてた疑惑の言いがかり?

うん?もしかして噂の(なんの噂か知らないが)悪役令嬢ポジの方ではなかろうか?


異世界あるある、人目につかないところでいじめられるシーンのようだが、男3人で女1人に怒鳴り散らすなんて実際出くわすとムカムカする

確証ないことばかり言いやがって!


なにかのフラグかもしらんが、

もしかして女の子めちゃ強くてこいつらこてんぱんにしちゃう流れかも知らんが、

言葉の暴力は人を深く傷つけるんだぞ!後々引きずるんだぞ!

お助けキャラが出てくるヤツじゃないよねとか一瞬躊躇したが、

ムカムカが過ぎてそんなの待っていられない

つい、飛び出てしまいました


あ、ブルネットのウエーブが豊かなキツめの顔の美人さん…

顔色がよくないね。。怖かったよね。。


キッと振り返って男の子達を検分、

赤毛の子と明るい茶髪は…体格でかっ…

服装からしてさっきの親善試合に出てた感じだな。

もうひとりの茶髪は知らんが武芸系なら…

とっさに考えをまとめて口を開く


「…なんだこのチビ…」(赤毛)

「騎士や紳士を目指すのなら、か弱き者、女性を守るべきと習ったのではないのですか!」

ズビシッ!とおねーさんの前に出て男の子達を指差す

「立派な騎士様が3人も揃って!か弱い女性を脅すなんて、恥ずかしくないのですか!」

騎士かどうか知らんが。こういうのは勢いが大事です。

「おい、チビ、おま」(赤毛)

「ボクは!」

口を挟む隙を与えない

「力があるのは、か弱き者を支え、守るためだと騎士様から聞きました!」

「わざわざ人目につかないところで女性を脅すのは、自分達の行いが恥ずかしいものであることを分かっているからなんですか?」

「なんだと?!(怒)」(赤毛)

赤毛が怒って服を掴みかかる

「ボ、ボクはあなた様も、彼女も知りませんが、ご立派な騎士様が一人の女性を囲んで怒鳴っていたようにしか見えません」

後半は語尾を弱くしつつ”ご立派な騎士”、を強調してみた

騎士目指してるのか分からんが。

「立派な…騎士?」(赤毛)

赤毛の手が離れた

「ギャリー…」(茶髪&明るい茶髪)

「騎士様ではないのですか?」

赤毛を見上げて首コテンしてみる。

「ほう、そう見えるか。」(赤毛)

「ご立派な騎士様だと思いました。。。」(1ミクロンもそんなこと思ってないが)

「ふっ、やはり天才的な俺様のオーラは隠しきれないようだな」

「はい!オーラがただ者ではないと!」

目をキラキラさせてやる!くらえっ

(ただ者越えの脳筋ぶっちぎり認定おめでとうございます)

まだ騎士じゃないがなとかブツブツいいながら明らかに機嫌が良くなった赤毛がニマニマしている

よしっ!脳筋に騎士様ワードが効いているっ!

「そうだな!俺のような有望な騎士の器がこんな女に構っている場合じゃないよな!」

赤毛はまんざらでもない顔をしてニマニマしながら、気が済んだのか、

「マリス、ロッド、行こうぜ」

なかば呆れたような顔をしているその他二人とともに去っていった


おや、3歩歩いたら忘れる系ですかそうですか。

あーなんとか無事に言いくるめられてよかった。。!

異世界で明らかにガタイ鍛えてる貴族子息といえば騎士への憧れ、なステレオタイプが当たってヨカッター…


ちょっと脱力した私はブルネットのおねーさんに向き直って

「大丈夫ですか?あんな脳筋トリオの言うことなんて聞くに値しませんよ!」

とプンプンしてみた

ブルネットのおねーさんはすごーくほっとした顔をしたが、

「のう…きん?」

怪訝な顔をして聞いてきた

「ああいう鍛えることしか考えてなさそうな輩は、脳みそまで筋肉、略して脳筋と呼ぶのです!」

とドヤ顔で説明してみた

「…脳みそまで…き、筋肉。。中身がないってこと…ね?」

「プッッ!オーッホッホッホッホッ!」

ツボったらしいブルネットのおねえさんが高笑いをかましている

やはり悪役令嬢(推定)とは高笑いするものなのだな ふむふむ

「ホホホホホ!あーおかしいっ!」

笑いが収まったおねーさんはにっこりして私の頭をなでながら

「今度からあの方達の事、脳筋トリオと心の中で呼ばせていただくわ。ププッ。

…でも、危ないからもう身体の大きな男性をむやみに刺激しちゃだめよ?小さな騎士様?」

と嗜めてきた。


あー…正直そのへんちゃんと考えてなかったが、

男の子に擬態してたつもりだったので正体ばれないだろうとちょっと調子に乗ってました。。はい。


「はい…ちょっと後先考えずに飛び出してしまいました。。反省してます。

…でも、おねーさんこそ、こんな人目につかないようなところに、ひとりで来ちゃったんですか?」

私の目線に合せてしゃがんでくれたおねーさんは

そうね…でも私は嫌われているから…雰囲気悪くしちゃうみたいで…今日はなるべく人を避けてたの。

と、寂しそうに笑う

従者も撒いてしまったところ、タイミング悪くここぞとばかりに絡まれてしまったらしい。


なんだこの悪役令嬢(推定)、本当は可愛らしい人でした感はんぱないぞ…!


がしっとおねーさんの両手を掴み

「おねーさんの良さが分かる人は絶対にいますから!今は気づかなくても、あなたの素晴らしさに気づく人は絶対にいます!ボクにはあなたの暖かさが分かります!」

としっかりと目を覗き込んで伝えた

おねーさん、ウルウルしちゃってるし…


一瞬寒気を覚えて…

ハッ!木立の向こうでヤンがめちゃくちゃ血走った目で睨んで…いる…?うわー…

もう行かなければ!

「じゃーねー、素敵なおねーさん!」

名前を聞いてくるおねーさんを振り切ってダッシュした

ヤン、ついて来てるよね…?


ヤン心の叫び お嬢……ひぃぃぃーヤメテクレーなんでそこに出ていくんですかぁぁぁぁあああ


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