表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/12

ヘンタイ?との邂逅

「いたいけな少女の肩をわしづかみなヘンタイに見えますよオニーサン」

「…ッ!だれがヘンタイだっ!」

顔を赤くした金髪が慌てて手をはなし、しばし逡巡してから、それでも逃がさないとばかりにワンピースの裾を掴んだ。

ふぅ。やれやれ。


しかしうっすら気づいてはいたけど…役に立たないぞ従者ヤン。

モブの従者に実は暗器の扱いが得意です!元暗殺者です!要素を求めたのはどうやら間違っていたようだ。

脳内で赤毛そばかすの従者ヤンがクナイを両手に構えてさっそうと踊りだす妄想が広がりかけ…

「お嬢様…?」

何かを察したヤンが怪訝な顔つきに。

むっ、もしかして勘は良いのか?

チッ。異世界で執事とか従者といったら暗殺系がお約束なはずなのに。。


あわてて妄想を打ち消し、後ろでおどおどしているだけだったヤンに水を取りに行ってもらい、機転の利かない従者に盛大なため息をついた私は、ぷるぷるしているヘンタイ金髪と向かい合った。


「だから、服を脱がせ…」

あれ?ジャケット脱がせたりボタンを外したりスカーフ取ったりって、これハタから聞いたら私が服を脱がせたヘンタイみたいじゃないか

「応急処置として私に服をはだけさせたのはハァハァゆってたオニーサンです」

ズビシッ!と指を指しながら言い換えてみる。


「…おい…なんでオレが露出狂のヘンタイみたいなことになってるんだ…!」

「だから、着込みすぎの緊張しすぎの睡眠不足の体調不良の過度のプレッシャーから来るストレスで外気との体温調整がうまく行かず心不全で過呼吸気味になっていた状況の応急処置です」ピシリ。

一気にまくし立てる。

こういうのは勢いが大事なのだ。

全部想像と仮説だが。


ちょうど水を取りに行かせたヤンが戻ってきたのでとりあえずまだ言われたことがよく理解できておらず

「しん・・ふ・・ぜん?かこきゅう??」

混乱している金髪を膝カックンさせて座らせ、(膝カックンは綺麗に決まった!)

背中をさすり、 

?????混乱状態の金髪に

「はいはい、息をすーーってーー」「はーいてーー」

すーはーすーはーさせたら落ち着いてきたようだ。

「はい!お水ですよー飲んでくださいねーはいはいはいはい」

勢いで口に水の革袋を押し付け、背中を支えつつ革袋を持ち上げて水を飲むよう促す。

「????…(怒)…」

素直に水を飲みだした。

こちらを睨みつけている…

ふむ、金髪は混乱と怒りで忙しそうだ。

だがスルーする。

「少し、ラクになったでしょ?」

と顔を覗き込む。

さっきより顔色が大分良くなった


前世でだてに36年生きていないぞ。

こういうお披露目とか、発表系の時に極度の緊張で具合悪くなる人を見たことがある。

加えてこの子は服も勝負要素にしたかったのかこの小春日和にシャツもジレもジャケットも着込んでてボタンきっちり締めてスカーフ巻いてるもんだから。。


しかし、この年頃の男の子にとって、明らかに年下っぽい女児に膝カックンキメられたのはプライドが傷つくよね。

うん。こんどから膝カックンは許可を得てからにしよう。

ふむふむと膝カックンの功罪について考えていると


「おまえ、ロクでもないことかんがえてるだろ…」

「えっ?」


はぁーっとため息をついた金髪は髪の毛をわしゃわしゃしながら

「おまえの言っていること、半分は分からなかったが、まぁ、気分は確かにマシになった。緊張してた、ってのもわかった。だけど、いきなり服を脱がせるヤツがいるかっ!」

なんか金髪がくちぐちいいだした。

貴族のエチケットがーとか淑女のマナーがーとか言ってるが、あれだろう、外聞とか気にしろってことだな、うんうん。

こんな年(年は知らないが)なのにもうマナーとかエチケット人に説けるくらい勉強してるんだ、偉いなー。

なんだか微笑ましく思い、頭をぽんぽんなでた


「おまっ…!人の話を聞いてないだろ!おまえのほうが小さいくせに子供扱いすんなっ!」

また金髪がぷりぷり怒り出しちゃったよ。


はいはい、じゃあそろそろ行きますか

「おにーさん、かっこいいし、声も良いし、シャツだけでキマっているから、着飾らずにリラックスするだけでよいと思うよ!」

何の発表会にでるかわからんが。

「かっ…こ?」

一瞬絶句した金髪が

「…おい、おまえどこの子だ?」

顔を赤らめながら聞いてきた。

…フッフッフッ。私のイタズラ心がむくむくします。

これは…前世で好きだったあの憧れの女性キャラを出す時が到来してしまったか。


「私の名前はミネフジ☓!ではっ!」


と言いおいてヤンの手を引きそそくさと逃げる。

…私の背後にはズバァァンっと効果音が出ていた…はずだ。


ヤン …ウチのお嬢、ヘン。 

金髪 …フジコ???どこの家だ?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ