変態に休みなし2
応接間に向かうアメリアだったが階段手前で足を止める
「ルビィナ先に下に降りて」
階段下では変態が仰向けで寝そべっていた
「申し訳ございません。わたしでは役不足です。殿下を満足させることが出来ません」
アメリアの後ろを一歩下がり先を行くのを促す
目をギラギラさせたビオルヘンが今か今か待っている
譲り合う2人
「まだかな?アメリア早くー私を踏んでよ早くー」
「お嬢様ご指名です、速く!」
グイグイ背中を押すルビィナは使命を果たさなければと必死だ
「ちょっとやだっ!そんなに押したら落ちるじゃない」
「大丈夫です、殿下がいる限りはかかすり傷一つ負いません」
「それでも嫌よ」
信頼はしてるが変態の餌食にはなりたくない
「恥ずかしがるその姿も唆る。私がそちらに行くよ。待ってて」
階段をブリッチで階段を登って来る姿は某○クソシストみたいだ
不気味だ
「グフッフフ…」
階段を登ってきた変態を望み通り踏んでアメリアは足を止めることなく階段を降りて行く
ルビィナはビオルヘン殿下を心配することなく大きく避けてその後に続く
応接間の扉をノックしてビオルヘンが開ける
一応今は執事なので
「おはよう御座います」
ベリゼリアと挨拶を交わし部屋に入ったアメリアだったが席に座りたくなかった
寧ろ今直ぐ部屋から出たい
ビオルヘンとベリゼリアが挨拶を交わした後部屋の空気が張り詰めたからだ
トゲトゲしい。体を動かせば殺られる気がする
ベリゼリアの向かいに座ったビオルヘンはアメリアを膝の上に強引に座らせる
友人を前にして何の拷問だと思うアメリアは執着で前が見れない
腰に添えられた手は力強く逃げられない
ベリゼリアに冷めた視線を向けたビオルヘンは態と溜息を付く
「朝に何のようかな?タカビーツ令嬢」
ベリゼリアは視線を受け流し扇子で口元を隠した
「あらあら可笑しいわ。わたくしアメリアとしか約束を交わしておりませんのに、何故殿下がここに、ビオルヘン殿下はお暇ですのね」
「何も可笑しくないよ。アメリアと私は一心同体だからね。昨日の内に必要な公務は終わらせてあるし」
火花が飛散る場所にもいたくない
部屋に戻りたい
「約束は昼からだったとお伺いしていたが、えらく早い訪問だね。休みの朝は夫婦がベッドで語らうと決まっている。それを邪魔するなど馬に蹴られてしまうよ」
「まだ夫婦ではありませんわ。アメリアと殿下はまだただの婚約者ですもの。時間を守らず来たのは謝罪します。ですがアメリアの悲鳴が聞こえ気がしたものですからウフフフフフフ………」
「面白いことを言うねクククククククク……………」
部屋の中はもうすぐ夏だというのに真冬の寒さを思わせた
怖い……ベッドに入って夢の中に逃げたいとアメリアは思う
「アメリア様軽食をお待ちしました」
扉がノックされルビィナがご飯をカートに乗せて入って来た
それを合図に部屋の寒さは霧散して通常に戻り、トゲトゲしさはなくなった
アメリアはマナーの範囲で手早く食事を済ませてベリゼリアと町へ出掛けた
ビオルヘンは素直にお留守番である
代わりにビオルヘンの子飼いが隠れて付いる
護衛と見張りと記帳係と連絡係と書写係である
ビオルヘンに隙はない