変態が繋いだ公爵令嬢との縁1
学校へ登校したアメリアはビオルヘンに腰をがっちりホールドされて教室に向かった
「おはよう御座います」
教室に入ると金髪縦ロールの令嬢と笑顔で挨拶を交わす
「ビオルヘン殿下も、おはよう御座います。ではさようなら」
さっさと帰れとビオルヘンの前で金髪縦ロールは扉を閉める
塩対応だ
このような塩対応は不敬と思われてもしかたがない
縦ロールは気にしないどころかエメラルドの瞳に怨嗟の念が籠もっていた
顔に掛かる縦ロールを手で払い除けベリゼリア・タカビーツ公爵令嬢は扉の向こうのビオルヘンへ侮蔑の色を滲ませている
かつてはその瞳にビオルヘンへの熱を浮かべ頬を赤らめていた時もあったが今は虫けら程度の思いしかない
ビオルヘンはとても嫌わているがアメリアの事はかわいがっていた
二人は今は仲良くしているが、始めベルゼリアはアメリアを敵認定していた
ビオルヘンを好きだったベルゼリアは婚約者であるアメリアが気に入らずことあるごとにつっかっかっていた
変態好きかと思われてたかもしれないがビオルヘンは自分の性癖を世間に公表していない
なのでこんな変態でも世間一般的に美貌の王弟殿下様である
変態だけど知力や剣技にもたけ、非常に優秀な王族として認知されていた
性格は変態ではあったが物腰柔らかくご令嬢達からしたらまさに理想の王子様である
更に地位と権力・富までもお待ちで変態なのに兄弟仲も良い
極めつけはまだ独身だということ
婚約者はいるがまだ婚約者でしかない
これだけ位付加価値が付いて、変態を除けば理想の夫になりえる人物だ
なれば少しでも自分に自信がある高位の令嬢達がアメリアを婚約者の座から引き摺りおろして自分が収まろうと画策しても可笑しくない
前はベリゼリアもその1人だった
公爵令嬢なので筆頭といっても過言でもない
今は友人同士の二人だがあの事件が起こるまではベリゼリアはアメリアにきつく当たり蔑んでさえいた
あの事件が起こったのはアメリアが入学して一月過ぎた時のことだった
ビオルヘンがアメリアに絡んでいる時に偶々ベリゼリアが1人通りかかったのだ
その場面は何時もより変態度が増々だった
見られた事はアメリアにとっても衝撃だった
あんな現場を他人に見られるなんてショックで寝込みたくなるほどだ
実際に寝込んだのはベリゼリアだったが
暫くあの悪夢の事件から寝込んだベリゼリアだったが何とか立直り二週間後学校へ登校した
ベルゼリアはアメリアに同情を覚えた
ベルゼリアはアメリアを庇護の対象へと変え、眼差しはいつも可哀相な子を見る目へと変化した
今はベリゼリアはアメリアの愚痴聞き係となり友情を育む仲となっている
因みにビオルヘンへ向ける眼差しには熱は全くなく絶対零度だ
事件に名を付けるなら『これで私も百年の恋は冷めました』でしょうか