朝のひととき3
気分の悪い朝となった
鍵の事と一緒に嫌な事を思い出したアメリアは桶を抱き締め悲観に暮れる変態を部屋から蹴り出し侍女を呼んだ
直ぐに栗毛の美女が現れた
「おはよう御座います。アメリア様」
折り目正しく頭を下げる侍女は正真正銘アメリアの専属侍女のルビィナだ
入ると同時に扉を閉め変態の侵入を防ぐ
「侍女長が変態をお止めしてる間にお着替えしましょう」
手早くアメリアの寝衣を脱がし制服を着せ髪を綺麗に編込み纏める
かかった時間僅か1分
ルビィナは優秀な侍女である
優秀だが権力には逆らわない主義でもあったのでビオルヘンがアメリアに望まない添い寝をしても、そっと見守るのだ
アメリアの洗濯物を直す為クローゼットを開けた時ビオルヘンが居ても見ない気概を持つ
例えビオルヘンの手にアメリアの下着が握られていようと静かに扉を閉め、次の仕事にとりかかる
スルースキルも要している
フォルスト家で働くならば必須事項でもあった
変態王弟のやる事に一々驚いていては仕事にならない
身支度を整え朝食へ向えばアメリアに座られるのを今か今かとウキウキしてビオルヘンが椅子になって待っている
「この変態が!」
アメリアは勢いよく踵をビオルヘンの頭上で落とし侍女が持ってきた椅子に座る
「アメリア。あ~ん」
何事もなかったようにビオルヘンがアメリアの隣に座り林檎をホークに挿して差し出す様は異様だが、誰も何も言わない
疑問に思ったらフォルスト家ではやっていけない
見ざる言わざる聞かざるが基本だ
でなければ消される
物理的に
そんな二人を両親は微笑ましく?見守るのだった