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朝のひととき2

 


 爽やかとは程遠い朝を迎えたアメリアは変態から受けとった桶にはいったぬるま湯で顔を洗っていた

 アメリアの右ストレートを受けたにも関わらずビオルヘンのかんばせは赤くすらなっていなかった

 貴族女性のパンチとはいえ容赦なく決まったストレートだったはずだ

 アメリアは手加減など欠片もしていないのに次に見た時には何もない

 いつも不思議に思うこれも変態の為せる技なのかと


 タオルを受け取る時にビオルヘンをチラリと見る

 サラサラの銀髪に長い睫毛、紫紺の瞳がアメリアを見ていた

 形の良い唇に微笑みを浮かべて

 鼻筋は通っていて瑕疵が1つも見当たらない

 誰もが振り返り見惚れてしまう美貌は……女神を思わせる。男だが

 アメリアもビオルヘンの顔だけは好きだった

 でも……変態の前ではその美貌も簡単に霞む

 

 女性は化粧で化ける事が出来る

 化粧はそれなりの人はそれなりに美しい人はより美しくなどと言う言葉はビオルヘンの前では無意味だ

 アメリアは思う神は何故この変態に顔面偏差値SS級を与え給うたのかと

 そしてわたしにくれと

 恨みがましいく美貌の執事を見れば朝の光が後光のようにさし眩しくて直視出来ない

 だがビオルヘンが恍惚と手に持つ桶を眺め口に運ぼうとする動作は見える

 「それをどうするつもり?」

 「飲もうと思って」

 「喉が乾いているならテーブルに水差しがあるわよ。そんな汚れた水を飲まなくても」

 アメリアの言葉を不愉快だと言わんばかりにビオルヘンは眉間に皺を寄せ目元を鋭いものへと変えた

 ビオルヘンの態度にアメリアは困惑した

 自分で言った言葉を頭の中で反芻したが怒る場所があっただろうか?全く分からない

 「ねぇアメリア1つ尋ねるけど。その水差しから一口でも飲んだ?」

 ビオルヘンはとても重要性があるかのようにアメリアに問うた

 「いいえ飲んでないわ」

 「ではやめておこう。その水差しのものは私が飲む価値がないからね」

 「毒など入ってないわよ?ただの水よ」

 一応王族だから毒味をしてからということだろうか

 質問の意図を考えるがアメリアは答えを思いつかない  

 苦渋を滲ませるビオルヘンにアメリアは必死に考える

 「分かってないなぁ!アメリアの唾液が一滴も入ってないってことはその水差しの中身はただの水でしかないんだよ!飲んで何が楽しいんだ」

 アメリアはゴミ虫を見る目でビオルヘンを見た      

 朝日に焼かれて塵とかせ

 アメリアはビオルヘンから桶をひったくりベランダへと足を運び外に出た 

 その行動は忍者の如く速かった

 ビオルヘンが止める間もなく水は2階のベランダから盛大にまかれた

 「アアアアアアアアァァァァァァァ私の聖水が……」

 聖水ではない

 アメリアが顔を洗った水だ

 「ただの水よ」

 「違うよ!アメリアが使うまではただの水でだったけど今はアメリアの目垢や唾液が混じり合いその姿は聖水へと姿を変え価値のある物へとなったんだ!」

 悲痛な声で訴えるビオルヘンを無視して桶をビオルヘンに投げつける


 朝から変態語は聞きたくないと家の者達は耳に蓋をするのであった

 

 「だいたい昨日鍵を変えた所なのに何故毎度部屋に入ってこらるのよ。まだ侍女長にしか渡してないのに」

 「フフッ鍵を開けられるのは執事の嗜みだよ。ましてや私は貴方の婚約者さ!出来て当たり前じゃないか。鍵で私達を隔てる事など出来ない」

 どや顔で言う執事の鼻をおもむろに摘むアメリアの目は半眼だ

 次は鍵を増やそうか……

 内側に付けられた鍵達を遠い目で見ながら思う

 次つけたら等々二桁になるなと

 何度鍵を変えても何食わぬ顔でベッドにいる

 罠だって仕掛けた

 全て不発に終わった

 偶に仕掛けた事を忘れて自分がかかり苦渋を舐めさせられた事もあった

 特にあれは酷かった……自分で仕掛けた檻にかかり、ぬけだせず泣く泣くあの変態に助けを求めるはめになった事があった

 そして助ける為にある物を渡す要求を飲まされた


 …………自らあんな物を手渡すなど屈辱以外のなにものでもない




 

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