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聖剣リンク

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〈聖剣リンク〉




皆さんは社会的ブームを起こしたこの少年漫画を知っているだろうか?


物語の主人公は文武両道な第二王子であるソラトという少年で、一癖も二癖もあるヒロイン達と共に困難を乗り越え、最終的にラスボスである魔王を倒すといったよくある王道の物語である。



ソラトは第二王子であるが故に王位継承は2位であり、本人も王位は狙っていなかったのだが、非常に優秀であるが故に周りからは次代の王になることを求められる。

その事で兄である第一王子との仲は悪化。第一王子はソラトを恨む様になり敵対していく。



ヒロイン達もそれぞれに厄介事を抱えており、それをソラトや時に他のヒロイン達とも協力して解決していくのが前半の学園パート。



後半は封印から解放された魔王を倒すべく、ヒロインと魔王討伐を目指す。

そこで重要になってくるのがタイトルにもなっている〈聖剣〉と〈リンク〉という存在だ。



聖剣は過去の勇者の存在によって証明されているがどこにあるのかは長年の謎だった。

その聖剣を手に入れるために必要な条件というのが6人の精霊姫による勇者との絆…所謂タイトルの〈リンク〉というものであった。

精霊姫というのはそれぞれの属性を司る精霊王によって祝福されし、6人の人間の乙女の事であり、この全ての精霊姫が勇者と心を通わせる事によってこの世界に聖剣(対魔王特攻兵器)を出現させる事が可能になる。

そしてヒロイン達との絆の結晶である聖剣を用いて魔王を倒すのが魔王降臨パートだ。


兄との関係や第二王子としての国の将来に対する責任による板挟みにより苦悩する主人公の心理的な描写や、時に健気に時に大胆に、自分を救ってくれたソラトを一心に支える個性的なヒロイン達の姿が人気を博した。


漫画は大人気のうちに最終回を迎え、アニメにゲームといった他のメディアへと派生していった後、いずれも大ヒットするという歴史に残る名作だったのだ。



ゲームはまた他のメディア化されたものとは異なり、漫画やアニメでは1人のメインヒロインと結ばれたとだが、ゲームではオリジナルストーリーが用意され、全てのヒロインと個別ルートでそれぞれパッピーエンドのエンディングを迎えることが出来たのだ。それはゲームから入った者だけでなく、原作ファンからもかなり評判が良かったのである。

かくいう俺も原作の大ファンであったし、ゲームだってかなりやり込んだ。


……ちなみに俺の推しは聖女である子爵令嬢だったりする。



そして現在鏡の前で難しい顔をしている少女ーーリリアーーは、物語の前半も前半。第一王子の刺客として主人公と対峙する役回りの少女だ。


リリアはヒロインの1人である闇の精霊姫の覚悟と主人公への気持ちを自覚させる物語でも重要な役所だ。


ただ前述の通り、見た目が暗い。とにかく暗い。

そのせいでネットでは暗子(くらこ)または幽霊と呼ばれていた。……ああ、ちなみにだけど俺は暗子派だった。


そんなわけで目の前の鏡に写る少女はある意味では馴染み深い存在ではある……あるのだが。


「……どういう人物なのかよくわからない」


そう、序盤で消えるだけあって公式の発表している情報が少ない。……というか全くない。


分かっていることといえば、闇の精霊姫を異常なほど慕っている事、それとは逆に光の精霊姫(聖女)に対しては同じ子爵令嬢なのにもかかわらず自分とは全く違い、みんなから愛されている事に対して怨みにも似た感情を抱いている事、そして……ここが俺にとって現実だと仮定するとして、このままリリアとして生きていけば、俺の第2の人生の幕切れはすぐ側まできているという紛れもない事実。



俺はそれら(リリアの現状)を再確認するとまた先程とは違う種類の絶望を感じて、どうしようかと、頭を抱えてしゃがみ込むのだった。

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