プロローグ〜あれ?俺、ロリ風少女になってます〜②
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昨日までの俺はちょっとブラックな所があるがまあそこ以外はいたって普通の会社で働く30歳の男であった。
昨日もいつも通り日付が変わるギリギリ前に家へと帰宅し、ご飯を食べた後、漫画が原作であるゲームを少しやっていた筈だ。それから……
……それからの記憶がない。
というかそもそも自分の名前が思い出せない。
会社での出来事や漫画やゲームの事なら覚えてるのに、自分自身の事を思い出そうとするとモヤがかかったように思い出す事を拒まれる。
ふと顔をあげ、目の前の鏡に目線を向けると現在の自分らしい人物が年齢にそぐわない苦悶の表情を浮かべていた。
その姿を見る事で俺は強制的に現実へと引き戻された。
改めて今の自分らしい人物を観察する。
身長は140cm前後といった所か。手入れされていないブラックパープルの髪は無造作にお尻の辺りまで伸びている。
前髪は顔を隠す様に目元まで覆い隠している。
うん、控えめに言ってロリだわ。
そしてこれまた控えめに言って雰囲気が暗い。井戸との関係が密接そうな有名なあの方と親戚か何かだろうか?
ともかくそう思わせるぐらいの不気味さを持っていた。
そして……そして!何より恐ろしいのは目の前の人物が見た目幼女であるということだ。
先程の回想でも言ったように俺は30歳の男である。
誤解がないように言っておきたいが、俺は決して幼女になりたい……どころか女性になりたいという願望すら持った事は一度たりともない。………にもかかわらず、見た目幼女、さらに昨日まで確かに感じていた男の象徴を今は全く感じる事が出来ない。
そう!今俺は大事なものを失った損失感と幼女になってしまった絶望感に激しく動揺してしまっている。
それからどれくらいたっただろう。
数分だったような気はするし、数十時間はたった気もする。……いやまあ、外はまだ明るいからそこまで時間はたっていないだろうけど。
まだ損失感やら悲しみやら、その他諸々のせいで動揺は収まっていないが唇を噛み締めて改めて現実と向き合って行くため前を向く。
しかし……
「……どこかで見たことあるような?」
俺の動きに合わせる様に鏡の中の少女も頭を傾ける。
紫髪……幼女に限りなく近い少女の容姿……目元が見えない……根暗な……ね、くら……あ!!!
「ああぁーーーーー!!?こほっ!!」
思い出した事による衝撃で大声を上げてしまう。大声と言ってもかなりか細いものだったが……ただこの体は(本人的には)大声を出すことに慣れていないのだろう。キャパオーバーのせいでむせてしまった。
しかし……この根暗な感じ、何処かで見たことあると思ったら〈聖剣リンク〉の序盤でやられるリリア・グリストールじゃん!
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