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ダンジョンメンタルクリニック

カルテNO.1 高橋(勇者) 外来診察

作者: 悠木 凛

「高橋さん、その後お加減はいかがです?」


 ダンジョンで、魔導士に深層部から入り口まで飛ばされてしまい、抑うつ状態になった勇者の高橋が、2度目の診察にシンオウメンタルクリニックを訪れていた。


「はい、おかげさまで、夜はぐっすり眠れるようになりました」


 医師の質問に、穏やかな表情で高橋が答える。


「食事はとれていますか?」


「……そうですね、あまり食欲はありませんが、一応三食摂ってます」


 医師は電子カルテに情報を入力しながら診察を続ける。


「抑うつ状態の治療には、規則正しい生活と、適度な運動が効果的なんですが、軽い運動、たとえばウォーキングなどをする気力はありますか?」


 高橋はしばらく考えた後、「そうですね、日中、何もしないで横になっていることが多いので、ちょっと外の空気を吸うぐらいなら……」と言った。


「そうですか。陽の光を浴びるのも、生活リズムを整える上で重要なことなので、短時間の散歩から始めるのもいいかもしれませんね」


 医師は、薬の副作用がないか確認し、同じ薬を処方して、次回の診察予定日を告げた。


   ※※※


 高橋が帰った後、医師は高橋が初めてクリニックを訪れた時のことを思い出した。


「高橋さんに、ちょっぴりウソついちゃったのよね……」


 高橋から、勇者の気持ちがわかるのかと聞かれ、医師は「私は勇者でもなければ、パーティーを組んでダンジョンに潜ったこともない」と言った。


「いや、まあ正確に言えば、ウソはついてないか」


 医師は苦笑いして言い訳した。


「確かに私は勇者ではないし、パーティーを組んでダンジョンに潜ったこともないし」


 医師は、うんうんとうなずいて、つぶやいた。


「ダンジョンに潜るときは、いつも一人だったから」


拙著『ダンジョンメンタルクリニック』の、舞台裏です。


『ダンジョンメンタルクリニック』は、シリーズ作品となっており、現在第3弾作品を連載中です。


スピンオフ作品も含め、どれも読みやすい長さの作品となっておりますので、ぜひ本編も併せてご覧いただければ幸いです。


どうぞよろしくお願いいたします。

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