swordman
目が覚めるとあたり一面が真っ白な、気の狂いそうな場所にいた。
「どうも、こんにちは。私は英雄作成用転生執行システム、あなたの名前は?」
は?何を言っているんだ。俺はなんでこんな…
「アイジスですね。登録完了しました。」
確かに俺はアイジスだが、…
「では、何を捧げますか?」
捧げるもの…ああ、ちょうどレジ袋にカッターが入ってる。他には…ああそっか、袋に穴が空いてて…これしかねぇのか。じゃあこれを、
「確認しました。…あなたの最大強化スキルは剣士です。それでは健闘を祈ります。」
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「目が覚めましたか?勇者様。」
なにか声が聞こえた。
「ん、ああ、勇者?」
「ええそうでございます。貴方様は私達によって召喚された勇者です。」
目を開けると美しい姫様って感じの人が居た。…
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「つまり俺は、聖剣ソウルを手に入れて魔王を倒せばいいんだな?」
「はい、その通りですわアイジス様。旅のお供に私とこの国で一番の騎士が一緒に行くことになります。」
「そうか」
やることが決まった。何故俺が最強の剣士の力を持っていたのかは知らんがやるだけやってみようか。…
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「よく来たな、若き勇者よ。」
「そうか、賢者の爺さん、アンタが聖剣ソウルの守り手だったのか。」
「つまり試練を賢者様相手に完了させなければならないのですか。」
相棒である騎士のナーサが狼狽えている。
しかしここで引くわけには行かない。
「覚悟を決めるぞナーサ!フローラ!」
「…アイジス殿、了解した!」
「ええ、勝ちましょう!」
絶対に勝つ!…
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「ここは神聖なるエルフの森だ!今すぐ立ち去れ下界の者よ!」
「この声はいったい…」
「ずっと賢者をやっておるがこの声は…エルフじゃよ。彼らは身内以外を信用せぬからな。」
「どうしましょう。ってナーサ?」
「私の名はナーサと申す!我々は魔王討伐の任務のためにここを通らなければならんのだ!」
…
「しばし待たれよ!」
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「わかった。森を穢しているその魔族を殺すのと引き換えに案内を付けてくれるんだな?」
「うむ、族長の儂が約束しよう。」
「その魔族…まさか、」
「どうしましたか?賢者様」
「いや、なんでもないのじゃ」
魔族、絶対に負けない!…
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「危なかった。ソウルが覚醒して良かった。」
「しかし、よくやるな、お主あれを避け切るとは…」
「ああ?そりゃまあ、族長の孫だから当然だよ。」
「そうだったのか、セルハ」
「まあ、これからもよろしくな。」
「これから?」
もう魔王城もすぐ手前だ。この戦いを終わらせる!
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「よく来たね、ろくにおもてなしもできないが許して欲しいな。」
「俺はアイジス!お前を倒す勇者だ!」
「そうか…ならば応えるしかないのだな。我が名は魔王ジルガイア!全ての魔を守る使命を持ちし堕天の勇者だ!来い!魔具ハート!」
「「いくぞ!」」
くっなんてパワーなんだ。
仲間は今四天王たちの足止めで居ない!…
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「どうした勇者よ!ヌゥっ!」
ソウルが折れる。同時に、俺の心も「アイジス様!」
「負けるな!」「信じてるからな!」「試練に打ち勝つのじゃ!」
「そうだ、俺には仲間が居る!まだ諦められない!」
ソウルが修復され、さらに輝きを増していく。
「ほう、その年で聖具を目覚めさせるか。だが抗わせてもらうぞ!」
「うぉぉおおおお!」
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「よくやった。勇者よ、この強さなら私もあの子らを任せられる。」
「な、魔王。どういう…」
「グアアアアア!」
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「世界を救えたんだな。」
「ええ、そうですわ!流石勇者様です。」
「ああ、っ!危ない!!」
「キャっ勇者様?勇者様!?」
危ない所だった。魔力切れのフローラが刺されるところだった。でも、勇者、の、俺、な、ら…
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その日、勇者は死んだ。