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TS娘の観察記  作者: 山木 深
TSは唐突に
3/6

3月26日の爆弾

短くてすみません

 誘惑を断ち切り一人寂しくリビングで待つ。ドアを完全に閉めたおかげで声どころかシャワーの水音すら聞こえない。亮しかいないこの家は物が少ない。

 もとから物欲が乏しい上に一人で生活していることも相まって、亮は週に一回スーパーに行く以外の買い物をほとんどしない。趣味らしい趣味はまるでなく、せいぜいが僕が半ば無理やり貸すTS関連のものを読んだりすることくらいか。

 親としてそれでいいのかと童心に思うこともあったが、実際に会ってみればかなり癖のある人たちだったから逆に楽なのかもしれないと感じた。性格が致命的に合ってなかったのだ。

 たまに帰ってくるたびにそんな感じの愚痴を延々と溢してくるから大体合ってるはずだ。…………いい人ではあるんだけどなぁ。

 そんな理由でこの家は生活感があまり感じられない。自分の家はどちらかというと騒がしい方なこともあってなおさら寂しくなる。


 「亮、想定外の事態に弱いもんなぁー。当分の間は立ち直れないだろうし面倒みないとだな。つーか学校どうすんだろうな、あいつは。戸籍とかも気になる、……いや、連絡一つ入れりゃ亮の親が何とかするな絶対」


 よくよく考えたら意外とこれからがイージーモードな気がしてきた。

 すっかり気楽になった僕はやけに亮が戻ってくるのが遅いのに気付いた。ぼけっとしていた時間を含めると10分くらいは経つはずなのに未だに風呂場から出てこない。

 変だなと思い風呂場へ向かおうとリビングを出たとこで声が聞こえた。


 「な、夏生ぃ…、着替えれないぃ……」


 「……………あー、そうきたかー。僕としたことが忘れてたよ」


 どうやら脱ぐときとは着るのは大分勝手が違うようで、まだ裸なままっぽいようだ。

 また物を投げられないように扉越しに声をかける。


 「なんか手伝うことある?」


 「あるから呼んだに決まってるだろうが‼ で、何か解決方法、あるか?」


 「ない。あえて言うならTSにおける萌えポイントの一つってぐらい。僕が女子ならいいんだけど男だしね」


 女子だったら弄りながら世話をやくこともできただろうけどあいにく僕はTSしていないただの男子だ。出来るわけがないしやるわけにもいかない。


 「一人で頑張れー。どのみち慣れなきゃいけないし、それに今は亮の体なんだから罪悪感もないだろ」


 実際そこは早めに乗り越えないと日常生活で支障が出かねない。下着とか水着を気にするのはまだまだ早いけど着替えくらいはできないと。

 そんな考えから放置に決めた。ドアに背中を預けて座り込む。ドンドンと叩かれているけど相手にしない。どなり声が涙声になっても相手にしない。

 しばらくすると、諦めたのか、叩くのをやめた。ゴツンゴツンとあちらこちらにぶつかるような音とその度に聞こえる苦悶の声が何回かした後、衣擦れの音が聞こえた。


 「……………もう着替えたからどいて」


 「りょーかい」


 僕が立ちあがりドアから離れると、ガチャッと開いた。そろりそろりと出てきた亮は、上下を明らかにサイズがあっていないだぼだぼのジャージを着ていた。長すぎる裾は上下どちらも萌え袖のようになっていた。

 思わず手で赤くなった顔を隠しす。TS要素がなくてもかなり萌えを感じる。頬を膨らませて上目遣いで僕をにらむよくやけた活発系美少女が萌え袖をしていたのだ。

 …………………あれ、こいつ、つい昨日まで冷静沈着さが売りの男子高校生(仮)だったよな? 何かすごい変わってるっぽいんだけど。もう少しっつーか最低でも数ヶ月はかかりそうなもんなんだがな。

 いや、パニックで幼女退行しただけだなこれ。ほっとけばそのうち戻る、はずだ。


 「まあ着替えれたならいいんだけどな」


 「助けてくれなかったくせにぃ…」


 「いやだってなあ。下着チラ見で怒られたんだしな、裸とか見たら本気で殺されかねんだろ」


 「うっ、そ、それは…………」


 ジト目で責めてきたので理由を言えば、亮自身にも自覚があったのかしゅんとして縮こまってしまった。


 「まあ過ぎたことはおいといてな。それよりこれからのことについて話さねーか?」


 「はぁぁ、わかったよ……。それならこんなとこで話すのもなんだし居間で話そっか」


 そんなこんなで居間で今後のことをお話しすることに。

 居間に入ると亮だけをソファーに座らせて、僕は台所に行く。TSしたことである体が縮み思うように動けなくなっている亮にやらせたらどう考えても録なことにならないことは予想できる。だから僕が飲み物とお菓子を取りにいく。

 

 「亮ー、お前何飲むー?」


 「麦茶ー。あとポッキー」

 注文された通りに麦茶の入ったペットボトルとコップ、それとポッキーを取り出す。自分の分も忘れずに持っていく。頻繁に来ているからか、我が家と同じくらい何がどこにあるのかを把握している。

 戻って亮の隣に座る。


 「まず、戸籍がどうなったか、から確認しないとな。戸籍がないことにはどうしようもないし」


 「なんか、まともだ。もっとよく分からないこと言い出すと思った」


 「TSなら定番だし。とは言え市役所まで行かないといけないからそれは後日だな。むしろ高校だよ問題は。あと九日で始まるしね」


 「あぁーーー‼ 完っ全に忘れてた‼ どうしよう‼」


 「今からじゃ到底間に合うわけもないしどうするか」


 話し合いを始めて数分も経たずにすぐ近くに潜んでいた最大級の爆弾に気付いて頭を抱えることになった。

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