プロローグ1
俺はエリートだ。
もう一度言おう。俺はエリートだ。
別に自意識過剰だとは思っていない。自分でもそれなりに努力はした。
小学校でだって、中学校でだって、高校でだって、大学でだって、俺は勉強に力を入れた。
だから、大手の超一流企業に就職が決まった時も、当然だと思った。
恋人とかは居なかったけど――――まぁ、俺はまだ二十三歳だからそこはいいだろう。
とにかく、俺はエリート、つまりは幸せ街道にまっしぐらだったのだが……
「なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁあああ!!」
会社に入社する前の健康診断で俺は人生の転機を迎えた。
「まぁ、落ち着いて。まだ、病気だと決まったわけではありませんから」
「じゃあ、この異常陰影って何のことだよ!」
「ちっ。今からそれを説明しますから、とにかく座ってください」
舌打ちすんなよ!!
「何か?」
「いえ、何でもありません」
俺が椅子に腰掛けたのを確認し医者は話し始めた。
「今まで、一回も異常陰影は発見されなかったんですか?」
「はい」
「なるほど。とりあえず精密検査をしてみましょう」
そう言って、医者は立ち上がった。
勝手な奴だなぁ。
しかし、付いて行かないわけにもいかない。俺はしぶしぶ医者の後を付いて行った。
ところで……
医者よ………
何のために俺を座らせたんだ。
今まさに期末テスト期間中じゃ。