カグヤです、精霊です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆刺激的〜◆◆◆◆◆◆◆◆◆
空は曇天、降り出すは雨、まぁ別にいいけどさ。
小降りと思ってた雨粒はいつの間にか勢いをましている。
「土砂降りの雨のなかー私たちは駆けてくよー♫
ぅおーおーお〜ぅおおぅいゃああああぁ♫」
雨音に負けじと発せられる謎のメロディをBGMに俺とミコトと謎の記憶喪失少女カグヤは一直線にゴール地点を目指す。
それもかなり速い速度で
初めは女子2人がいるって事でスピードを落として走ってたんだがなんとまぁ2人とも速い速い。
バテんじゃないかと心配になったけどそれこそ杞憂っした。
俺がスピードを上げてもペースを崩さずについて来ている。
それどころかミコトはお気楽(?)に歌ってるし
カグヤはあの胸を持ってしても全く息を切らさない。
「ミコトちゃんって歌うまいね」
とか俺に話しかける余裕さ
「いつも歌ってるからな」
俺も二人がどれだけ走れるのか試したくなってどんどんスピードを上げて行き、その終いには全力疾走に近い速度。
上から降ってくる雨は横殴りの雨に。
男だってバテるこの速さ&持久力には思わず感嘆…いやちょっとヤバさを感じた。
ミコトならこのヤバさは理解できる
なんたってこの次元の生物じゃないからな、規格外の体力であっても納得できる。
でもカグヤのヤツはヤバい
人間っすか?まぁ俺も人間っすけど。
多分この2人はマラソン大会とかじゃTOPを争うな
これ確実。
胸が無い分ミコトに分があるかもだけど。
これ言ったら半殺しにされるかも、半殺しってのがまたありそうで恐いわ。
「そういやさカグヤ」
「なに?弟分さん」
にこやかに間違った名称を呼ばれる
わざとではなのだろう、悪びれた風は無い
「一応言っとくけど俺の名前は——」
「知ってるよ、瑞樹くん」
クスクスと口に手を当てる様
はい、わざとでしたー
なかなかやるではないかカグヤよ
「お前の着てる服って“聖徳高校の制服”だよな」
彼女の容姿説明でまだ説明してなかった部分
それは服。
勝手に服装を想像してた人にはゴメンナサイ。
服装を想像すらしなかった人は…さすがにいないか。
白くは無いブラウス。
何色だ?これ、モンブランか?
いや違うなもっと薄い
クリーム色って言うのかな?
赤いチェックの入ったスカート。
さすが聖徳高校、ミニですね〜足美しいっすね〜
聖徳高校関係ないかw
靴はローファー。女子高生っすね。
クリーム色のブラウスに赤いチェック柄のスカート
それが現在俺の横で走るカグヤの容姿
ちなみに後ろには歌唱中のミコトが走ってます。
俺の考えを聞いたカグヤは
「え?そうなの?」
はい出ました記憶喪失
記憶喪失ってやっぱり身近な事を忘れるもんなのかな?
「あぁ、その制服は聖徳高校って言う高校の専用の制服。多分カグヤは聖徳高校の生徒なんじゃないかな」
聖徳高校
特に秀でた事はなく名前が偉そうな事以外を見れば普通な普通な普通校。
俺の通う高校に比較的近場にある普通校。
通学してる時にたまに聖徳高校の生徒を見る。
俺が制服を言い当てる事ができたのは聖徳高校の校章がブラウスに刺繍されているからだ。
でもそんなのに気づく人なんかそうそういない。
第一に自分の高校の校章を知らない一般高校生たる俺が他校の校章を知っている事が不思議たる骨頂。
中学の時にどの高校に行くかで悩んでた時に俺の“行きたい高校リスト”の中に聖徳高校の名前があったから憶えていたまで。
その時ついでに制服も調べてたからカグヤが聖徳高校生だとわかった。
「そう言われるとそんな気が・・・」
微かに笑みを浮かべるカグヤ
記憶が少し戻ったのかな?
最近の記憶を失っているカグヤ
いや、最近と言うと語弊がある
確かに最近なんだがそれは一般に考えられる“最近”ではない
“ついさっき記憶を失った”
このレベルの最近だ。
自分でもにわかに信じ難い惨状。
だがカグヤの反応を見る限りだと記憶を失っている様に“見えた”
だが嘘をついている様には見えなかった。
第一に嘘をつく理由は無いだろう、何たって初対面だ。
俺が知らないだけで実はカグヤとは因縁の相手とか何とか裏設定でもない限りな。
あったらあったで面白いけど。
「うェアぁぁントニィィォォ!」
もしそうなら嘘をつく理由にはなる、油断させといて背後からグサリとか。
だがカグヤの表情は曇りなき純粋なモノ
よからぬ事を企む悪人とは思えない。
だから俺は外に居ると危険だと言う事を建前にして記憶喪失の途中経過を見るためにカグヤを家に呼ぶ事にした。
「ィィえぇスっイェェェッス!」
どの様な変化を見せるのか
それが吉と出るか凶と出るか
この本心はカグヤは勿論、ミコトにも内緒だ。
ミコトは存外カグヤが家に来る事に乗り気だし、カグヤもミコトと会って嬉しそうにしていた。
二人は心配なさそう。
俺の観察対象となったカグヤ、
今後の結果を待つ。
「ぅやぉおァアーお〜ぅおおぅいゃらっしゃぁいィィゥオンでっトゥぅおー!!」
「やかましいわ!!」
なんだこいつは!さっきから後ろで騒音わめき散らやがって!
雨の方がまだ大人しいわ!
「え?やきもち?」
「いつ俺がヤキモチ妬いた」
「いやいや、焼いたもちー」
「分かりずらい事この上ねーよ!」
ミコトの狙ってんだか素なんだか分からないボケ。正直疲れるわ。
俺の本職はボケなのにミコトのお陰でジョブチェンジせざるを得なかった
せめてツッコミ役が欲しい…
そんな淡い期待を隣の少女に向けて見るが
「焼いた餅⁉それはグリル⁉ミディアム⁉はたまたトースト⁉」
期待は裏切られるもんさ。はははー
◆◆◆◆◆◆◆◆◆爆破◆◆◆◆◆◆◆◆◆
雨の道を駆け抜けた先
俺の前には至福の地マイハウス
二階建て住宅。
お客様を雨に晒した状態で待たせるのは礼儀ではないとマイメモリーが言っているので
紳士としてカグヤを先に家に——
「いやーぬれたぬれたーもうビショビショー」
そう言って第一陣を奪われる
ミコトは俺の行動をこれでもかってくらい邪魔すんのね
「カグヤさぁ入って入って」
ドアを開けていざなう
「うん、ありがとぅ」
その言葉を受け改めてカグヤを見ると
「っ!!」
ビショビショ美少女のカグヤは服がスタイルバツグンな肢体に張り付いて何ともアレな状態に
余計にキレイさが増し、エロえろ属性も追加されている
キャーキャー目がぁぁ!目がぁぁ!
「どうしたの?」
ブラウスなんかスケスケでピンクの下着が…
「目がぁぁ!目がぁぁァア!!」
俺には属性値が高過ぎる
これ以上見ると頭がイかれる
ひとまず無理やり感情を圧し殺し玄関に着服する事に成功
床には水が溜まってる。その先には我が家の極楽堂
一言で脱衣所けん洗面所けん風呂場
一言じゃなかったな
とりあえずそんなんがあるわりかし広い場所
さて、どうするか
玄関で待たせておいてもいいのか?
このまま脱衣所けん洗面所けん風呂場に連れて行くのもなんかアレだし
だってミコト居るし、絶対何かヤバくなるし
かと言って玄関で待ってて貰うのもどうかと思う
この状況で待たせるって…目がぁァアぁあ!!
と一人最重要項目と葛藤していると
「あっ、私の事は気にしないで、瑞樹くんも濡れてる訳だし」
優しい〜
この子は笑顔が絶えないのかしら?
微笑みスマイルGOODっす
でもこの状態で待たせるのはやっぱりダメだ
俺が昇天するから
「あ、いや俺は大丈夫だから、上がって上がって。この先進むとミコトが居るから、濡れたままにしとかないで拭いてきな、風邪ひくよ」
「うん」
水滴が落ちない様に素早く極楽堂へ向かうカグヤ
「おぉ!カグヤではないかーどうした?シャワーあびに来たのか?はっ!まさか⁉ミズキにイジメられたのか⁉」
こいつの発想は恐ろしく予測不可能だな
「うん、そうなの…」
え⁉何言ってんの⁉カグヤさん⁉
「あいつぅ…今すぐせいさいしてやる!!」
「あっ!うそうそ大丈夫だから!」
風呂場からドタバタ愉快な音がする
「え?そうなの?」
「うんうん大丈夫だからその孫の手を離して」
焦り気味なカグヤの声が聞こえる
「ならよかったーなはははは」
お気楽なミコトは笑って返す
カグヤよ…軽はずみな発言はよしてくれ
俺的には生死を分けるもんだから
でもまぁ、カグヤは大丈夫そうだな
我が家の最大権力者であるミコトと上手くやっていけそうだ
さてと俺も着替えるか
水滴が落ちないように素早く階段を駆け上り自室へダイブ
瞬間的早脱ぎ
ビショビショをキャストOFF
タオルはタンスにセッティングされている
瞬間的フキフキ
体の水分をタオルに吸収
瞬間的早着替え
タンスに完備されているセットを救出
半袖短パン少年に変身完了
俺の脱ぎ捨てた服は床に置きっ放し
「あいつらの分の着替えも持っていかないとな」
俺の部屋の隣がミコトの部屋だ
ガチャリ
何の抵抗もなく開かれたドア
始めてミコトの部屋に入る事に気がついた
だが特にドキドキはしなかった
女の子の部屋に入るのにドキドキするってよく聞くけど、そんな感情は無かった
何でかね?
どうでもいいっすけど
開かれたその先
その部屋は凄かった
俺の部屋より何も無かった
あるのはベッドのみ
女の子の部屋と言うより寝室って言う方があってる
なぜこんなにも何も無いのかに疑問は持たなかった
あいつは寝るとき以外は居間に居るからな
この部屋も寝る以外に使い道は無いのかもな
一通り見回して服らしい物はないと分かる
どこに置いてんだよ服ないじゃん
俺の良心も行動が伴わなければ意味をなさない
部屋を出て一階にいるミコトに
「ミコトー!お前の着替えはどこだー!!」
今日一の声を出す
しばらくして
「こっちにあるー!」
準備いいな
そういやミコトは風呂場に服を置いとくんだっけ?
まぁ、どうでもいいか
俺のやる事は終了
今はミコトとカグヤがシャワーを浴びている頃だろう
いや〜美少女が家でシャワー浴びてるってのは何ともアレですな、なはははは
とりあえず俺は自室に戻り宿題でもやろうかとカバンをあさる。
今日の宿題は毎週恒例の数学プリント
一週間に一度出されるめんどくさい事この上ないプリントだ。
提出日はプリントが配られてから一週間後なんだが勿論の事に提出日は明日。
怠け者のあたくしはギリギリにならんと行動しない。
それが一番めんどくさい事だって気づいてんだけどどうしてもヤル気にはならない。
そんな感じでグダグダして結局前日に宿題をやる羽目になる。
これは夏休みも同様。
いやーマジでめんどいね。
バッグをあさる私瑞樹
そして気づいた
学校に置いて来た。
「マジかー死んだわー」
もう一度探せば出てくると思ってカバンを逆さにして中身をドバドバ放出。
教科書類をあさりにあさってプリント捜索。
挟まってないかと全ページをペラペラするも出てくるのは過去の宿題たち。
こうゆーのウザいよね、もういらない物が出てくんの。
代わりに今日の宿題出て来いと強く願い何度も見返すもやっぱり過去の遺産っした。
あさってみて唯一意義があったのが借りてた本を発見した事。
題名は『ココロが強くなる本』
「俺って…大丈夫かな…」
探すも探すも出てくるのはゴミばっか
まぁ、別に困りはしない
数学の先生は我がクラスの担任。
多少遅れても大丈夫だろうと高を括る。
それに数学は俺の得意分野だしな、朝の時間に終わるだろ。
宿題を放り出し、閉め切ると蒸し風呂状態になる部屋を出て愛しの居間へ向かう。
階段をタタンタタンとリズムを刻んで下りていると
ボンッ!!
何かが爆発したようなくぐもった音が耳を襲った。
「ミコトめ、やらかしたな」
急いで階段を駆け下りる。
音の発生源であろうと推測される風呂場に向かうと。
「あ、ミズキ」
ちょうど出てきたミコトと遭遇
シャワーを浴びていたのか温かい湿気を感じる。
無地の白Tシャツに青いたゆたゆズボン
長〜い純白ヘアーはおろしてます。
「さっきの爆発音は何だ?何かやっただろ?」
「私は知らないー爆発したのはここじゃないよ〜」
「?」
どこに何仕掛けたんだこいつ…
「カグヤは?」
「もう出てったよ居間にいるんじゃない?」
居間か。
「居間って…まさか!」
まさかのまさかのマッカーサー
凄まじい悪寒と共にまさかであって欲しいと願い居間に着くと
——口から黒煙を立ち上げるカグヤがいた
マジかよ!!
◆◆◆◆◆◆◆◆死んじった?◆◆◆◆◆◆◆
「カグヤ!!」
我を忘れて駆け寄る
上半身タンクトップのみの目のやりどころ困るスタイルのカグヤは口から黒煙を立ち上げ横たわっている。
「おいカグヤ!カグヤ!」
呼びかけるも返って来る言葉などありはしない。
ちくしょう!何があったんだ!
いや…慌ててもダメだ冷静になれ…
そこでミコトも異変に気づいたのか慌ただしく走って来た。
「カグヤ!!」
俺と同じ様に駆け寄り呼び掛ける
「何で爆発したんだミコト…」
これを仕掛けたであろう犯人に静かに問う
冷ややかな怒りを含めて。
「たぶん私が作った晩ご飯を食べたんだ、あれには食べたら爆発するようにしてたから」
指差すのは机の上の冷凍食品。
「え?えー!!」
思わず飛び退く
これは殺人未遂冷凍食品
マジで…俺殺されるとこだったのか…
食わなくてよかった…
安心してしまう自分が酷く自分勝手なのだと気づく。
「これを食うはずだったのはミズキだったのに…」
くぐもった声でやや心にグサリと来る言葉をつぶやく。
「それって俺を殺す気だったの…?」
「殺傷力は抑えてるからミズキの回復力ならギリで治る程度」
あーなるほどね、ギリなのね、はい。
「でも“普通の人間”が食らったら…」
そうだカグヤは普通の人間だ
聖徳高校に通うただの記憶喪失少女
俺ならともかくカグヤが食らったら…
「助かるのか?」
いつにないシリアスな展開
それをわずかに楽しむ自分がいる事に酷く悲しみを覚える
「わかんない…私には安静にさせておくコトしかできない…」
ミコトは真剣だ。
そうだ、とにかく救急車を呼ばんと
この状況を打破する最も確実な答えにたどり着く。
今すぐにでも電話をかけようとポッケにある携帯に手を伸ばす
しかしそこでふと思ってしまった
——ミコトはどうなるんだ?
救急車を呼べばカグヤは助かる。多分。
だがその後は?
カグヤの救急車送りになった原因が爆発した事だってすぐに分かる。
そうなったらミコトは?
爆発物を用意したのはミコトだ
確実に捕まる。
弁明の余地など微塵にも無い。
そうなったらこの生活は?
崩れ去って消えるだろう
過去に戻るだろう
逃れる術は無い
それを思ってしまった俺は携帯を取り出せなかった。
情けないと自分で思う
だがそれだけにこの生活は幸せな時間だった。
幸せを逃したく無い
ミコトと一緒に居たい
「・・・・・・・・・・・・・」
自分が憎い、別れを恐れる自分が…
そしてカグヤを見殺しにする自分が…
——だがその全ては杞憂に消えた
「私なら大丈夫、ミコトちゃん瑞樹くん…」
手で体を支えながら上体を起こすカグヤ
あの爆発で起き上がれるのか…⁉
驚愕で身が動かない。
「カ、カグヤ!」
悲痛そうな顔を浮かべるのはミコト
それとは反してカグヤは
「大丈夫だよミコトちゃん」
相変わらずに癒される笑顔
「ホントに大丈夫なの⁉カグヤ!」
どアップでカグヤに近づくミコト
俺の目線からじゃミコトの表情は見えない
だが恐らく涙が溜まっているだろう。
「大丈夫大丈夫、私なら全然平気、泣かないでミコトちゃん、安心してミコトちゃん。後ゴメンねつまみ食いしちゃって、美味しかったよ。ちょっとけむいけど」
その顔は苦痛の片鱗も見せぬとびっきりのスマイル。
あの爆発が嘘の様な自然さ
ただ普通につまみ食いしただけの様な自然さ
それが居間に漂う硝煙の香りと絡み合って妙な複雑さを感じた。
「ホントに…?」
「うんっ」
しばらくの沈黙の後
「ならよかったー死んじゃったのかと思ったよーぶじならけっかオーライオーライなははははは」
高らかに胸を張り盛大に笑う
こいつのテンションのアップダウンが激し過ぎてたまに恐ろしく思うよ。
だがそれに緊張を解かれた
「大丈夫なのか?それ食って、冷めてなかった?」
普通に話しかける
それも爆発が嘘の様な自然さで
つまみ食いをして食当たりしてないか確かめる様な自然さで
それほどにカグヤの平常度は俺の感覚を自然へと誘う異常さがあった
俺の放った不躾な質問にカグヤは答えてくれる
「うんっ、だって私——」
次の瞬間は時間がとまった
「だって私“精霊”だから」
運命の歯車が動き出した
◆◆◆◆◆◆◆◆◆違う◆◆◆◆◆◆◆◆
意味不明な単語が意味不明な少女の口から発せられる
「なんだ?精霊って——」
ガタッ!
俺が思考を働かせるより早くミコトは動き出した。
精霊と言う単語を聞いた瞬間にミコトが逃げるようにカグヤから身を離し俺の方に寄って来きたんだ。
そのキョドり方は今まで見たミコトの反応を改めるものだった。
「ミコト?」
俺の服を掴む姿はかわいいの一言だが
そこにわずかな震えが重なっていた
そこからは恐怖を感じた。
「どうしたの?ミコトちゃん」
少しの不思議が混じってはいるが普通に話しかけるカグヤ。
その声にビクリと反応したミコトはかわいいの一言
そしてミコトの震えは消えていた
「…カグヤは違う…」
この意味不明な単語をつぶやいて
この反応を見る限りミコトは精霊って言うものについて知っている。
何かしらの思い入れがあるからこそのこれなんだろう。
「なぁミコト、精霊ってなんだ?」
「それはほうじ茶を飲んでからねー」
あり得ないほどにミコトの変わり様は神業
その言葉からは本心は汲み取れなかった。
一体何があったらこんなにも心を隠せるのかが分からない。
確実に精霊と言う存在と何かがあったはずだ
そうでなければあの恐怖は説明がつかない。
わずかながらそれでいて確かにミコトから感じた恐怖の心。
ミコトから何かに恐怖する心を感じたのは始めてのこと。
だから心配になる
精霊と言う存在とミコトの過去
そしてカグヤ
これについては俺がしっかりしなくちゃな
◆◆◆◆◆◆◆◆家族会議?◆◆◆◆◆◆◆◆
冷凍食品(爆発物)を処理し、飾りの様にちょこんと置いてあった冷めた白米も処理し終え、ひとまず落ち着き四角い机にそれぞれが座る。
ミコトはいつも通りソファをバックに床に座る。
俺もいつも通りミコトの左側に座る
カグヤは俺と対面する様に座っている
ミコトが用意したほうじ茶はみんな飲み終わり、空のガラス製コップが机上にポツンと置いてある。
「これより家族会議を始める」
ミコトが机をバンッと叩き、どっかの大臣みたいに眉間にシワを寄せ偉そうに会議が始まる。
具体的に何をするのかは特に決めずに適当に始まった会議だ。
まぁ、俺の思ってる謎は解けるといいけど
「まずはカグヤについて、カグヤよ、今すぐに知っているコトをせきららに告白せよ」
尋問かよ
「はいっ裁判官訴追委員会長さん」
なぜかノリノリのカグヤは高らかに手を挙げる。
記憶喪失なのに難しい言葉は知ってんのね
と言う疑問が浮かぶも油を指すのは気が引けるんでそっと胸にしまう。
裁判官訴追委員会長モードのミコトは俺の抱いた疑問など梅雨しれずな様だ
そういえば何でカグヤは自分が“精霊”だって憶えてたんだ?記憶喪失ってそうゆーもんか?
まぁ、どうでもいいか
「私の知っている事は夜は暗いって事と雨は冷たいって事と料理は爆発する物だって事とミコトちゃんの身体はすごくキレイな形をしてるって事ですっ」
真面目に言ってんのかこいつは、ボケか?最後の奴なんか特にだ
チラッとミコトを見ると
「・・・・・・・・・」
無言を保っているが確かに恥ずかしそうだ
口を結んで耳を赤くしている
そしてうつむいている
露骨に恥ずかしそうにしている
いや〜癒されるー
でもかわいそうだなフォローしてやるか
「カグヤ、そうゆーのはな本人の事を考えて言うもんだぞ、思わぬ所で傷つけちまうもんだ」
諭す様に人への思いやりを教えてやる
Mrミドゥーキと呼びなさ〜い
「ん?そうゆーのって?」
そのくらい分かれよ
記憶喪失のレベルじゃねーよ、一般的な国語力が欠けてるよ
一瞬わざとなんじゃないかと思うも、やっぱりわざとでは無さそう
ふふふ、念入りに教えてやる
「だから、ミコトの身体が夜空に浮かぶ星を思わせる煌きさと、やすりがけした様な滑らかなラインを兼ね備え、平均的に見たら小ぶりとも思われるが実はそれこそが全体のバランスを修飾する絶妙な大きさであって、黄金比を彷彿とさせる新たな比率ミコト比すら生み出してしまう絶対的魅了的プロポーションだって事」
「なるほどっ」
手を合わせて寛大なリアクション
理解できたかな?
「よしっ!、今後のカグヤについては私が責任をもって保護する、家族会議おわりー!かいさーん!」
あ、こいつ恥ずかしいからって切り上げやがった
「どうしたんだよまだ始まったばっかじゃねーか」
ニヤニヤしてミコトを見ると
ミコトはその表情と言葉を受けて
「・・・・・・・・・」
赤くなりながらもこちらしっかりこちらを睨む
俺の思った様なリアクションしやがって
まったくかわいい奴だ。
「わざとでしょ・・・」
かわいい声を低くしてつぶやく
確かにわざとっすよ
だから、からかうにはいい機会だ
「ん?俺はただカグヤに正しい事を教えただけだけど?カグヤも理解したみたいだし、な?カグヤ」
カグヤに同意を求める
ふふふ、俺みたいなのを確信犯って言うんだよな。
「うん、ミコトちゃんゴメンね。今度から身体の事は言わないようにするね」
この娘はいい子だね〜ちゃんと反省の色を見せてるし、なにせ表情で訴えてる。
「うっ…」
ミコトは何も言えない様
そりゃそうだ、この反省の色全開の美少女を前にしたら誰だって反論を止める
それは人としての本能みたいなもんだな
「とゆーわけだミコト、カグヤも反省してるし許してやれよ」
追い打ちをかける様に俺が言葉を重複させる
だがそれは俺の思った方向とは違う方に向かった
「許す」
はい、出ました即許す
今回は真面目なカグヤの反省だったから“許す”にちょっと時間がかかったかな?
「ありがとぅ」
「うんっ」
二人の美少女が笑顔を向け合う美しき現実
これぞこの世の理想郷
「ミズキ〜」
「んー?なんだ〜い」
「ベンジャミンね」
「はい…」
非情な現実に落っことされた
やっぱ激おこっすよね…
でもいいもん見れたからいい!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆家族会議◆◆◆◆◆◆◆◆◆
表情は人体でも重要な箇所。ココロを表面上に表す場所
それがズバズバ出るミコトやカグヤは人として愛嬌のある世渡り上手な人間だって事だ
とゆーわけで家族会議なう
話題はカグヤ居候の方向性
警察に突き出すと言う案は出なかった
出したらバカだ。この状況で出す奴はバカだ
何せ爆発物食って生きてるバケモノだぞ?
何せ精霊だぞ?
まぁ俺は精霊について全く知らないんだけどな。
とりあえず俺のプロファイリングで分かってるのは精霊は“タフ”だって事
あの無尽蔵の持久力は普通の高校生女子に出せるもんじゃない
爆発物を食って生きてる生命力は高校生女子に出せるもんじゃない
だから客観的に見て、これらの事項は精霊の力だと考えるのが妥当
ミコトに聞けば答えかどうか分かる、でも今は家族会議中だ、これは後で聞けばいいだろ
「議題はカグヤの保身について、意義のあるもの。挙手をねがおう。」
議長モードのミコトは机にヒジを付いてどっかの司令みたくポーズをとる
雰囲気も何かそれっぽい
グラサンがあったら完璧だな
「はいっ!ミコト司令!」
カグヤはわざわざ『ミコト司令』の『ミコト』の部分のイントネーションを変えて言ってきた
ユーモアの分かる子やね。それっぽさが増したわ
「なんだ。カグヤギ一佐。」
威圧する様に低い声を出す
ってかカグヤギって無理やりすぎだろ
「ミコト司令。サングラスがありません!」
そこかよ!
そうだよね確かにそれがあれば完璧だよ!
でも記憶喪失設定だろ!何で知ってんだ!
「あいにくだが持ち合わせていない。今日はメンテに出している。」
メンテ⁉ワッツメンテナンス⁉
「つかぬ事をお聞きしました。しかしミコト司令。サングラスが無いと雰囲気にかけます。これをつけてください」
出された手の平にはいつの間にかまるっきり同じ型のグラサン
用意がいいね〜のレベルをはるかに凌駕してるわ
マジシャンかこいつは
「うむ。」
ミコト司令は静かにグラサンを取りそして装着
ミコトのブルーの瞳がその色を霞めミコト司令となる
更にそれっぽさが増した
「では議題に戻る。カグヤギ一佐の保身について意義のあるものは挙手をねがおう。」
やめろよ。カグヤギ一佐の保身ってだけで生々しさが増すわ
「それじゃ、はい」
「なんだ。ミズキシンジ。」
名字⁉
「どうしたの?シンちゃん」
カグヤ…もうツッコめへん…
「えーカグヤは記憶喪失なんだろ?」
「一応」
一応とか言うなし
「それなのに明日学校に行けるのか?」
聖徳高校生であるカグヤ
学校に行けるのか
答えはNOしかないだろ
「えっと…学校って…?」
きたー!!ザ・記憶喪失!
「うん、行けないねこりゃ」
答え。記憶喪失はめんどい
「でも学校を休み続けるとなるといつか表沙汰になるよな、学校側が動き出すかも、いや警察か、いや家族は?」
そういやカグヤはホームレスなんだよな。家族はどうしたんだろ…
「カグヤギ一佐のコトは気にするな。私がサポートする。そのための保身会議だ。シンジは“何も知らず”に私の命令を聞いていればいい。」
そうだよなミコトが適当にやってくれるだろ。
知らぬが仏って言うし
「ヘいへい無駄なご心配でした」
「なんだ。生意気だ。シンジ。」
「拗ねてるシンちゃんかわいいっ」
きゃー!!恥ずかすぃーとですぅ!
と一人女々しい心の俺
「あー、これやるのつかれたー」
飽きるの早っ!
ミコト司令はグラサンをぽいっと俺の方に向けて手をふるふるする
俺の眼下にポツンと落下したグラサン
異様な存在感を醸し出すそれ
うぅ…何だこのグラサンは…
つけてみたい衝動にかられる
でも何か恥ずかしい
心の中でどうでもいい事と葛藤中
そして外界からは
「じー」
「じーぱんぐ」
二人の視線圧ビーム
もう声に出しちゃってるし、一人変だし
「・・・・・・・・・・・・・・・」
グラサンに映る自分。ヤバいめっちゃ横に広がってる。グラサンパワーっす
どぅーする瑞樹高校1年
やるのかやらないのか。あの熱烈な視線に応えなくていいのか?
「じー」
「じーきるとハイド」
どぅーする瑞樹15歳
Doするよ瑞樹くん
しょうがねぇDoするよ!
シュダッ!カシャッ!バッ!
「これより会議を始める。」
ドーン
やってやったぜ
どぅーだ!ミコトにカグヤ!俺のコスプレっぷりは!
「チョコはカカオ豆派?ジャックの豆派?」
「んー、アントシアニンかな?」
分かってたさ…この二人に常識が通じない事ぐらい…
◆◆◆◆らりらりらリラリラリラリラ☆◆◆◆◆
「カグヤは私の家に置くよー、意義のあるバカもんはいる?」
いつの間にかミコトの家になってた
でもこれは遠回しに俺の家族の一員と言っている様なもの
これが一ヶ月の成果か…なんか…いいな
「意義なしだミコト」
「今はアントシアニン組事務局長代理!まちがえるな!」
妙なこだわり持ってるー
パッと立ち上がったカグヤは
「ありがとうございますっ」
腰を曲げて90度の感謝の礼
記憶喪失なのに礼儀は知ってるっぽいな
記憶喪失の基準が謎過ぎるけど
「いやいやーカグヤよ頭をあげたまえ」
おもむろに立ち上がり偉そうなミコトさん
頭を上げたカグヤ、身長差があるな
さっきまでミコトの方がでかかったのに
真面目に立つとミコトが見上げる様な体勢になる
「お前は私の保護対象だ、存分に我が家にすみつくがよい」
保護対象か…確かに保護対象かもな
ウサギ男の時は保護どころか殺処分だったしな
しかも逃げられたし
そのマイナスを“精霊”カグヤで補うって感じかな
「本当にありがとぅ、存分に住み着くね」
ミコトの手を取りにっこり微笑む
「お…おぅよー!」
返事への多少のタイムラグ
今カグヤに見惚れてたな
男女ともに惹きつけるカグヤの笑顔
一種の魔法とも言えよう。
「それじゃー家族会議はおわりーみんなかいさーん」
「ん?もう終わりか?カグヤを家に居候させるって事しかまとまってねーぞ?」
大事な大事な精霊の件についてはスルーする方向なのか?
俺は構わないけど読者がね、ちょっと聞きたいそうっすよ
「今何時かわかってるー?」
俺の腹時計を舐めんなよ
「12時くらい?」
「ごめいさつ、もう私は眠いのでござる〜」
あくびをして涙を浮かべる
まぁ精霊について知らなくても別に困る事はないか
ミコトが見せたあの“反応”が気になるっちゃ気になるけど、本人がこの調子なら大丈夫そうだ。
何か事件が起きるわけでもあるまいし
いつか知る時が来るだろうし、その時までグダグダぽわぽわ三人ですうぃーとライフを過ごしますか。
「そうだな、明日も俺は学校だし何か今日は愚痴聞いたりくだらない話聞いたり戦ったり爆発したりして疲れたわ」
本日の家族日誌
内容が濃い一日っした
「む、そのくだらない話って私のこと?」
むすっとミコトがこちらを見下ろす
「いやいや、おれの友達の話。期待させといて奈落の底に落としやがった」
マジで何なんだあの話は、オチがウザいわ
「ほー、ミズキにもトモダチができたか、それはよかったーよかったー」
うんうんと浸る様に首を降る
「これもアントシアニン組事務局長代理が来てくれたお陰かな?」
よっこいしょと立ち上がる
いやー疲れた疲れた。
「そのとーり、私をうやまうがいい!さあミズキ!わぁぁぁぁぁあ!」
謎のテンション意味不明
眠くないんかこの娘は
「少しは謙遜しろ、ありがたみが薄れる」
「んー?とゆーことは私にありがたみがあるってコトかな〜?」
ウザっ!この表情ウザっ!
でもかわいいから許す!
「別にねーし、全部俺の実力だしー」
そっぽを向いて拗ねてみる。
「瑞樹くんかわいいっ」
カグヤよ、恥ずかしげもなくホイホイと言わんでくれ、そうゆーのに耐性が無い俺はどうしていいか分からん!
「ミズキかわゆす〜」
くそっ!ミコトめ、便乗しやがって
明らかにわざとなんが見え見えだわ!
「とっ、とにかく今日はもう寝なさい、寝不足はお肌の敵よ」
この恥ずかしワールドから脱する為に話をそらしたつもりだったが
「瑞樹くん優しいね」
褒め上手か!!恥ずかしいからやめなさい!
「ミズキやさしおす〜」
手で口を抑えてプププと笑を堪えている。
便乗娘め…後で見てろよ、絶対テメェも同じ目にあわせてやる!
と言う志を持った俺は明日を生きる理由を手に入れた。
◆◆◆◆◆◆◆寝るまでのひと時◆◆◆◆◆◆◆
部屋に脱ぎ捨てたままだったぐしょぐしょの服を洗濯機にぶち込んで来てからすぐ
俺はベッドに横たわり暗い天井を見上げている所存だ。
窓は全開、ドアも半開きにして風通しMAX
じゃないと暑くて寝れん。
外ではドシャドシャザーザー雨が降っている
俺ん家は屋根が横にデーンと出てるんで雨は窓に入ってこない
いや〜雨が降るっていいっすな
何たって涼しぃ〜
家族会議の後のちょっとした就寝会議の時にカグヤは隣の部屋で寝る事になった。
隣の部屋ってミコトの部屋ね
ミコトの部屋は俺の部屋より物がないからその分広いけど、この暑い中どんな感じで寝るのか
ベッドは一つだけだから片方は床で寝る事になる。
それが我が家の君主様か新入生かのどちらなのか。
ミコトよ、判断を誤るなよ
あの家族会議の後、俺は四回ほどミコトにからかわれる事になった。
そのどれもがカグヤの一言
ミコトの便乗力が怖いよ。
人を自然と褒められるのはいい事だけど、恥ずかしいもんは恥ずかしい。
褒めるにも自嘲して欲しい
褒めるのを自嘲するってーのも可笑しな話だけど。
ってかカグヤは何にも悪くない、ミコトが悪い
俺が一回からかっただけで何倍にもして返してくる。
何なんだよ怖ろしいよ
根に持つタイプらしいっすね
ミコトの新しい発見。
そんなこんなで俺はなぜか寝付けない
何でかね〜
「ぐぅーごぁぁ〜」
いびきじゃないよ?
「ぐぅーごぁぁ〜」
分かるかな?
「ぐぅーごぁぁ〜」
正解は腹の虫でした
そう、今気づけば俺は夕飯を食ってない
ゴタゴタしてた事もありそんなのは思考のはるか彼方に飛んで行ってた
しかし、就寝と言う落ち着く時間のせいで腹の虫が出で立ちていたり
ぐぅーががぁぁ
抑えていた食欲は止まらない
腹が締め付けられるかの様に痛くなる
くそぉ、ヤバいぞこの痛みは
加速する腹の虫
ぐぇがぉっぁぁがぉぉあ
〜っヒロはこんな感じで昼休みを過ごしてたのか…
ヒロ…今ならお前の痛みが分かるぞ…分かるんだァァァァ!!
誰にも届かない心の叫び
ぐごぉぁァァァァ
その叫びに呼応する腹の虫
今の俺にできる事はただうずくまるだけ
そうやってやっさと寝る。
それしか状況を打破する方法が見つからない
だがそう思っても早くは寝付けないもの、だから悩んでるわけっす。
寝るにはどうしたらいいか
物理的に考えれば“疲れる”事で寝る
腹の方が疲れより優っている
どうしましょ、もっと疲れればいいのさ。
「よっこらどこいしょーっと」
ベッドから立ちストレッチを開始
まずはアキレス腱。
「いっちにーさんしーごーろくしちはち
にーにっさんしーごーろくしちはち」
のびーるのびるアキレス腱がのびーる
次にしん脚
「いっちにーさんしーごーろくしちはち
にーにっさんしーごーろくしちはち」
ワンツーステップでヘキサゴ〜ン♫
次に屈伸
「いっちにーさんしーごーろくしちはち
にーにっさんしーごーろくしちはち」
ふー疲れたぜ。これで寝れる
ベッドにごろーん
再び天井を見上げる
グルぅぅぁぁぁぎゅぅぁあ
腹の虫は止まる事を知らないらしい
よし、初歩的療法
羊でも数えるか
目をつぶり浮かべるは柵
羊飼いが一匹狼
あ、間違えた。羊が一匹
羊飼いが一匹狼とか皮肉過ぎるだろ
羊が二ひき肉
あ、間違えた。羊が二匹
羊が二ひき肉って羊飼いナニシテンダヨ。
羊がサントリー梅生茶
あ、間違えた。羊が三匹
サントリーだと三鳥みたいになるわ、つまらん事を言いました、はい
羊が四匹
羊が五匹
羊がロッキー
ちゃら〜ちゃーちゃら〜ちゃー
羊が七光り星光り
羊が八匹
羊がQB
羊が一疋
あー終わった終わった、よし寝よう
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
グルぅぅぁぁぁぎゅぅぁあ
…そうやって寝られたら苦労はしないんだよ
もう天井を見上げる事しかやる事がない
いや、やる気が無い。
刻々と秒針は刻まれて行く
あー、ねみぃ
あ!眠いが腹の虫より勝ってる!
このまま行けぇ!
そしてその後は意識がぽやぽやして
グッナイ
六話です。ご視のほどありがとうございます。
今回は記憶喪失少女のカグヤについてのお話でした。
カグヤは精霊でした、はい。
瑞樹はその意味不明の単語を聞いても特に驚きはしませんでしたね。
普通に「精霊ね、それなに?」みたいに順応しています。
それはつまり瑞樹自体がすでに意味不明な世界の住人という訳です。
一々驚いてたらウサギ男とも戦えませんでしたしね。
今後の精霊カグヤと能力者瑞樹そして異界人ミコトの関係に注目です。
それでは次回も読まれる事を願って
ありやとうございやした!!