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すいません、俗に言う選ばれし者っす

キーンコーンカーンコーン

コーンキーンカーンコーン…


午前の終わりを告げる予鈴が校舎全体に鳴り響く

時刻は昼時、生徒が一斉に解放される時間帯

人はそれぞれグループを作り、思い思いにフリーなひと時を過ごす


窓側に位置する何か雰囲気いい席

俗に言う主人公席だ

ここからは全てが見渡せる、窓の外に広がるバグ修正された空とか(雲一つない空)

眼下に広がる戦闘にはピッタリのグラウンドとか

(平らなグラウンド)

そこで体育を終えた生徒たちが校舎内に戻ってくる姿とか(巨乳率たけーな)



そして、俺はいつも通り待つ

この学園で、自分の席で、弁当を出して

「飯 食おうぜ」

来た

金髪メガネ第一印象不良な愚痴り魔 ヒロ

その手には、カラフルな風呂敷で包んだ弁当を持っている


「おう」

二人で机を囲み 他愛(たあい)ない時をダラダラと過ごす

それがこの学園での有意義で楽しい時間



◆◆◆デリシャスなのは罪なんです◆◆◆



「俺さずっと尽くしてきたのよ、でもユーちゃんはそれがウザイの!とか言ってそれからよ・・・」


ヒロキは弁当には目もくれず、いつも通りに愚痴りだす

「なんでだよ!尽くしちゃ悪いのかよ!

俺はお前が大好きだから尽くしたんだよ!受け取ってくれよ無償の愛を!」

愚痴を熱弁するヒロを、持参の手作りサンドウィッチを食べながら眺める、てかなだめる


「えっとその子、ユーちゃん?」

彼女の名前を再確認する

「ああそうだ・・(泣)」

「ユーちゃんはお前について行けなくなった、てことは結局その程度の愛だったってだけだ

別れてよかったじゃないか、むしろその方がユーちゃんの為にもお前の為にもなるだろ」

恋愛マスターであるヒロ(自称)をさとす、恋愛経験皆無の俺



恋愛にのめり込んだために、どツボにはまった(あわ)れな男

皮肉とはこのことを指すのだと、俺はしみじみ感じる

そしてキャベツの味がしみじみ感じる

やっぱりサンドウィッチと言ったらキャベツだな、それ確定

それ即ちビックバーガー最強説

久しぶりにM行くか


「別に別れてない!、その時から・・避けられてるだけだ・・・」

言葉の勢いが下降していく

あ〜もう、そんなコンニャクみたいな心で強がるなよ、こっちまで悲しくなってくるから

不良のくせに心弱過ぎだって

でもなぁ現実を突き付けないとどうせ立ち直りなんかしないしなぁ

しょうがない、助けてやるか

ヒロ・・・耐えてくれよ

「避けられてるイコール嫌われてると一緒だろ?」

もぐもぐ食いながら

静かな声でムチを打つ

アメは必要ない今必要なのはムチだ

無知なあいつにムチを・・・

すいませんつまんないこと言いましたハイ・・不問にして下さい・・・


「別に嫌われてなんかいない!避けられてる・・だけた・・・」

そう言い終えると、うつむいてしまう

そこは突き通すのね、避けられてるってことは突き通すのね

嫌われてると信じたくないという

ヒロの心理からくる現象

俺が今まで積み重ねたプロファイリングから出した一つの答え

ディスイズ現実逃避!


こうなったら無理にでも前向きにさせるしか方法はないと直感した俺は(ひね)くれた作戦を思いつく


「尽くされて捨てるような女ならこっちから願い下げだ、アホなんだよユーちゃんは。クズなんだよ、バカなんだよ、どゲス腐れ外道なんだよ」


吐き捨てるようにヒロにユーちゃんの罵倒を言い浴びせる

これが俺の思いついた捻くれた作戦

ユーちゃんをけなすことで少しでもヒロがユーちゃんのことを嫌いになれば という浅はかな考えによるもの


作戦だと言っても悪意のない相手を罵倒するのは気が引けた

いや現在進行形

愛NGだ

間違えた

アイエヌジーだ

今も何か心が下向きになってきてる


ああ、ゴメンよユーちゃん、君に悪意はこれっぽっちもないんだ

ただ、ヒロがユーちゃんを諦める為の過程なんだ

ゴメンユーちゃん、謝って許されるとは思ってない・・・だけど

瑞樹みずき・・・」

ヒロはうつむいたまま地を這うような低い声で俺の名を呼ぶ

「ん?なんでございましょう?」

罪悪感に(さいな)まれていたら話し掛けられた

俺はヒロに放った疑問詞の返答を待つ


「・・・・・・・・・・・」


そして何秒かの時が流れた


何なんだ、この無言の時間は

刻一刻と過ぎ去るは暇な時間

これをアイドルタイムと言う

ザ・雑学!

ヒロからの返答待ちの俺だったが、このよく分からない謎の間を断ち切る為に

もう一度言葉を綴ろうと息を吸う

ところが


「かあぁァァアイドルタァイム!!」


怒号一線

いきなし顔をグバッと上げ、凄まじい形相で一喝する

ワッツ!?

こいつの行動はいつも突然だな

無言の静寂を断ち切ったのは先程までうつむいていたヒロ

「っ〜!」

その余りにも唐突に発せられた怒号を超至近距離で受けた俺は言葉を飲み込む

それで代わりに出したのは驚愕の意を含むシンプルな言葉

「何なんだよどうしたんだ?

そんな血に飢えた餓狼みたいな顔して」

ヒロの姿を下から上に舐め回す様にスライドさせて見る


「貴様・・・ユーちゃんを愚弄するなァァア!!」

勢いよく椅子をぶっ飛ばしながら立ち上がり、俺を鋭過ぎる眼光で見下ろし睨む

その姿はまさに餓狼


血に飢えた餓狼

世界に轟くが如くに叫びを上げる不良少年ヒロ

そのシチュエーション 普通の人なら真っ先に失神しそうな程だ

だがな、怒りの矛先である俺は微塵にも怯まないぜ

ごめんなさいユーちゃん!

の謝罪の念があるからな


「あぁあァァアぁぁぁぁお間ぉぁだおむぁあがぁぁぁぉぁあまあまぁこまぁぉあまあまお」


我を忘れ、怒りを叫びに換言している


「おい!止めろよ、クラスの人みんないなくなっちゃうから!」

と思い 周りをみると、既にみんな避難完了してましたとさ

やはり見た目不良、内面を知らない奴等からしたら恐怖の対象らしい

うんうん

と、冷静に判断できる俺が恐ろしいぜ


「ァァアぁ亜ぁぁァァアぁぉおむぁぁおむおむごおまぁぁぁぃぉぉごおむおむぉおむおむおむおまおま!!!」

「うるせー黙れ!」

耳を塞いでスタンダッププリーズ センキュー

はうわーゆートゥデイ?

アインファインセンキューエンドゥー?

あいんふぁいんとぅセンキュー

オーオケー シッダウン

はい座る


「じゃねーよ!一人でなにやってんだ俺は!」

再び立つ

英語のクセが出たよ!

立ったら座るの謎のクセが出たよ!


そんな変態(?)じみた俺の行動は全無視なヒロはと言うと


「アインファイントゥアマぁがぁぉあァァォアマがぁあまぁぁぁぃぉぉセンキューごおむおむぉおむおむおむおまおまぁがぁぁだだぉだぁあ!!!」


全無視じゃなかったよ!

ってかこいつ何気に俺の心読みやがった

いやいやそんなのは今はどうでもいいわ


無人の教室に響き渡る不良の悲痛な叫び、反響し過ぎて全方位からヒロの声が鼓膜を振動させる


「ぁがぁぁだだだぁあぁがだぁあぁがぁぁだだぉだぁあぁがぁぁだだぉだぁがぁぁだだぁがぁぁだだぉだぁあ」

モールス信号か!

ついに痺れを切らした(わたくし)瑞樹

「ウゼェよ!ボケなす!!」

ライトナックル


バチコーン…

スッキリする音が結構広い教室にこだまする

俺の放った拳は見事クリーンヒット!ノックダウン!・・・・は していなかった

俺の一撃はヒロの厚い左手の中にあった

一応見た目不良のヒロ、心以外は屈強だ

まぁ、そのことを知ってたからライトナックルをしたんだけどな


「俺って・・ウザい・・のか・・・・?」

でもやっぱり心は虚弱

餓狼だったのが今は羊だ

心底不安そうな顔を浮かべている

この落差ヤバいわ

俺の心ない言葉を聞いたヒロはと言うと


ぐーぎゅるーぐるぐるーぎゅー


「腹減ってんのかよ!!!」



◆◆◆◆腹が減っては愚痴れない◆◆◆◆



ひとまず落ち着くことに成功したヒロ

腹も鳴ってたことだしそろそろ昼飯食べんのかな〜と思っていたが

ヒロはまだ食べない

(かたく)なに風呂敷に手をつけない

ちなみに現在の俺はと言うと

ベーコンキャベツサンドを食べ終えたので

次のカツサンドに手を出していた

「俺はあいつが好きだ、この世で一番愛してる・・・」


執着してんな〜

こいつは何かの病気にでもかかったのか?

と思っちゃう程に 現状のヒロは凄いことになっている

首を落とし、肩を落とし、手を落とし、腰を落とし、足を落とし、全部落とす

つまり俺の机に突っ伏している

そして

ぐーぎゅるぎゅるーぐるーぐるぎゅー

腹が鳴る、ツッコんでたらきりがないのでそのことは華麗にスルーする


「どんだけ項垂れてんだよ、そろそろ立ち直れ一応恋愛マスターなんだろ?」

ちょっと・・いや かなり呆れる、なのでカツサンドを食べる

これが俺、“面倒=流す”これが俺の美徳

サクッとジュワ〜

外はサックリ中はジューシー

カツサンドうめぇ

さすが料理マスター(サンドウィッチのみ)の俺、市販の物とは質が違うね質が

自然と顔がほころぶ

多分、今の俺の顔を見たらすげーキモいかも

と俺の顔を見ていたヒロ


「なにキモい顔してんだ?」

ニヒルに笑い鼻で笑われた

「当たっちゃったよ!」

天を貫くが如く、思わずツッコミをいれる

そうか〜キモいのか〜思ってみたものの実際にそうだとは思ってなかったよ〜

「はぁ・・」

カツサンドを弁当箱に戻して、今度は俺が項垂れる


「よく分からんが、まぁ元気を出せ人生そんなもんだ。くよくよしてたってしょうがない、明るく行こうぜ明るく、よくこう言うじゃないか。勝ち勝ち勝ちの人生はないけど、負け負け負けの人生もないってな、心を強く持てよ。ビューティフルワールドが(かす)んじまうぜ!。さぁ行こう栄光の架け橋へと」

グッドラック

ウインク

キラーン


いつの間にか逆にさとられてしまった現状

その言葉そっくりそのままお前にスパイクしてやりてーよ


そんなことをため息混じりに思う(わたくし)瑞樹みずきの今日この頃



▲▲ブリューナクとフリューゲルぐらいだよ▲▲



周りにはクラスのみんなが戻りつつあった、これもヒロの怒りが収まったからこその賜物たまもの

「ん?」

気付くとヒロはカラフルな風呂敷に手をつけていた

そこに至るまでかなり時間がかかったが、途中式がどうであれ結果的に立ち直れたんなら結果オーライ発車オーライだ

さっさと弁当箱を開けてその中身を消してしまえ

そして彼女のことも記憶から消してしまえ

と 悪役さながらの台詞を何の変哲もない顔でニヒルに呟く(心の中で)


風呂敷をほどいたヒロ、弁当箱は可愛らしいクマ顔をした柄

そこで疑問を持つ目ざとい高校一年

あれ?こんな弁当箱だったっけ?

こいつのはいつも黒い無難な弁当箱だった気がしたんだけど・・・

ちょいと不思議に思いヒロに聞こうと金髪メガネ顔を見ると


「なっ!」

衝撃のあまり顔が引きつる

ヒロのメガネが真っ白に曇っていた、そしてその両端から流れる二筋の液体

「くっ・・・う・・・・」

ヒロのうめき声に何故かひいた

ひく場面ではないのかもしれないが、相手が相手だ

不良がマジ泣きしてたら誰だってひくよ

いつもと違う顔を見ると人はひく

新しくプロファイリングに入れとこ

って 今はそんなんしとる場合じゃない


「どうしたんだよ何いきなり泣いてんの⁉」

ヒロの様子を観察する

先程の俺を励ましたグッドラックが嘘の様だ

涙が滝の様に流れていた

イッツ エンジェルフォール


ヒロはメガネをとり滝をふく

そして何かを諦めたかの様な表情を浮かべ


「いやね、このお弁当・・ユーちゃんに作ってきたんだった・・・・」


衝撃の一言、いや痛恨の一撃


「なっ!なにぃぃぃぃぃぃ!!」


ヒロの言葉で色々とヒロの心境をさとってしまった俺は、叫びを止められなかった

自然と口から悲哀の叫びが出ていた

そして、心がヒロと同調しているかの様に感じた


悲し過ぎる、哀し過ぎるよヒロ

微妙に笑ってるところとか切なすの漬物は美味しいよ〜♫

いやふざけんな俺!切な過ぎるよ!

弁当作ってきたのにふられるとか今まで見たことないよ!

ドラマでもそんな悲劇ないよ!皆無だよ!リアルだよ!


「あ〜、ユーちゃん・・毎日お弁当作ってあげたり、病気になった時は毎日お見舞いに行ったり

似合いそうな服を見つけたら買ってプレゼントしたり、宿題だって毎日一緒にやってあげたのに

何で・・何でなんだ・・ユーちゃん・・」

天井を見上げて放たれる切なる心

つまりは方針状態

悪化した⁉

弁当箱を見たせいで今となっては辛い過去を思い出してしまったヒロ


なんてことだ、これは何の仕打ちなんだ、一体何をしたらこんな酷い罰を下すんだ神よ!!

「気をしっかりもて!自我を失うな!!」

「なんか・・記憶が巡ってくる・・

今までの楽しかった・・ユーちゃんとの記憶が・・・・・」

まずい これは噂に聞く走馬灯!


注:走馬灯とは又の名を回り灯籠と言う、回転するにつれて影絵が回って見える灯籠のこと

つまり走馬灯の様に今までの記憶が巡ってきたと言うのは、影絵が移り変わることへの例えなんですね


「ヒロ戻って来い!今すぐに帰って来るんだ!」

肩をつかみ前後左右にグルングルン

脳内シェイク

メレンゲ作りを彷彿とさせる見事な回しっぷり

「あ〜ユーちゃんそんなに激しくするなよ〜あははははは〜」

過度の辛さからくる妄想、これは重症だ

この調子からすると三途の川を渡る寸前か(笑)

まぁ、そこまでは行ってないだろ

「ユーちゃんが川流れの刑に!

待ってユーちゃん!」

「ユーちゃん処された⁉そしてお前も一緒に流されるな!」

と怒鳴るも心ここにあらず

どんぶらこどんぶらこのユーちゃんとヒロ(ヒロの脳内状況)

これ以上現実と乖離かいりしたらさすがにやばいかもと察した俺は揺するのをやめる


「さっさと目を覚ませ愚痴り魔!」

机から身を乗り出し耳もとで叫ぶ

「あ〜吐息が熱いよ〜ユーちゃ〜ん」

何を妄想してんだ

くそー戻ってくる気配が見えない

いっそこのままにしといてやろうか

椅子に再び座り腕を組む


「ユーちゃん・・・・」

どんだけユーちゃんが好きなんだ、だからウザいって言われるんだよ

ヒロの直球な感情に半ば呆れる

だがそのおかげなのかピカッと閃く解決策

少々アニメチックだけどこいつのメレンゲ脳なら・・・オッケーそうだな

天井を見上げているヒロに、聞こえるよう声を張って言う

「あっあれはもしや!」

かなりわざとらしい演技だがヒロの場合はオッケーそう

「ユーちゃんではないのか?愛し愛されビューティフルビーナスユーちゃんではないか?」

これこそ俺の子煩悩で考えた解決策

な?アニメチックだろ?


ヒロの反応はいたって分かりやすかった

どのくらいかって?

そりゃもうブリューナクとフリューゲルぐらい分かりやすいよ

名前じゃないよ?武器と楽器だよ?ん?

よく分からんな


ヒロの耳がピクッと動き

凄まじい速さで

「ユーちゃん!どこどこ、まいすうぃーとらいふでぃすたんすあいらぶユーちゃ〜ん!」

周りをキョロキョロくまなく見渡す

こいつはアニメ族か、リアクションが天才的だな

「やっと我に戻ったなアニメ族」

目を覚ましたヒロを出迎える


「えっ、ユーちゃんは・・?」

動きを止め不思議そうに見てくる

「さっきまで一緒に川流れしてたのにいなくなった・・・」

いや、疑うように見てくる

妄想と現実が混同してる

真実を伝えてもいいんだけど、そうしたらまた桃太郎になりかねない

なとどと心配性な俺は嘘をつく

「今さっきまでいたんだけど帰ったよ

“ヒロにゴメンねって伝えて”

と言い残してな」

すぐばれそうなハリボテの嘘

事実、俺がユーちゃんがいると言ってから、ヒロが目を覚ますまでの一瞬とも言える時間を考えれば、俺が嘘をついたと容易に分かる後のこと何も考えず、ヒロを覚ますためだけに発した儚い嘘

ばれたらお終いだな


でもそのことはばれないだろう

何たってその言葉を聞いたヒロは


「ユーちゃん・・謝るのは俺の方だ・・いやありがとう・・こんなどうしようもない変態を許してくれて・・・・ありがとう・・・・・」


へー、変態だって自覚あったんだ



▲▲▲*▲時には鈍感大事だよ▲▲▲▲▲



しばらくの間、ユーちゃんに感謝の気持ちをつづっていたヒロ

その間にちょっと思い当たることがあったんで考えていた

まぁ今となってはどうでもいいことだけど


俺がヒロについた嘘、これは考え方によっては逆に傷つけることになってたんじゃないのか?

「ゴメンね私が言い過ぎたよ、だからこれからもよろしくね」

これが俺の想像した“ゴメンね”だ

俺がヒロに伝えたかった意味だ

これなら全然カカオッケー

現にヒロもこの意味をとらえたからこその結果オーライだったし


でも、この言葉は別の意味も示唆させる

「ゴメンね、もうついて行けないの、だから私のことは綺麗さっぱり忘れて新しい恋を見つけて、私を解放して

さよならヒロ君・・・

そして地獄に堕ちろ!木っ端微塵になれ!

腐れ外道が!生まれ変わったとしてもクソ虫が!

変態クソ虫が!下水道と付き合ってろ!」


という残念系な“ゴメンね”だ

何でこのもう一つのゴメンねを思いつかなかったのか自分でも不思議だ

むしろ別れた時に“ゴメンね”なんて言われたら真っ先にこれが思いつくんじゃないか?

このことを思いつかなかった所からすると、俺は恋愛についてかなり無知だってことになる

と言うことは間接的にヒロも同様だって訳だ

まったく、恋愛マスターが聞いて呆れるな

時には鈍感も大事だってことか



▲◆考えるのはいいことだ深読みはするなよ◆▲



俺は弁当箱に戻しておいたカツサンドに手を伸ばし再び食べ始める

そして何かがつっかかるモヤモヤとした変な気持ちが湧き上がってくる

何か勘違いしてる気がする

なので再び考える

考えること5秒、真実に近づくための足掛けを見つける

いや・・まてよ、一応ヒロは恋愛にこぎつけている先輩だ

恋愛経験0の俺ですら考えつくこの選択肢を考えつかない訳がないんじゃないか?

確実に選択肢に出てくるんじゃないか?

てことは何でだ、何であんなに喜んだ

もう一つの選択肢を選んだ?

俺はヒロの様子をまじまじと観察する

「・・・なにじっと見てんのよ、このエロゲマスカルポーネ!」

そう言い吐くと、顔を赤くして手で隠す

この行動はまさに・・・


無論、こいつは変態です



▲▲▲*▲時には鈍感大事だよ▲○▲▲▲



ちなみにこれが俺の毎日だ

ヒロの愚痴をただただ聞く

それで的確な助言をしてやる

昼休みはこれで終わりを迎えるのさ


でも昼休みという短い時間の中で解決できる悩みなら、そもそも持つなって話なんだけどね


もしくは、俺の助言が素晴らしすぎて昼休みという限られた時間内のみで悩みを解消できちゃうのかもね


いやー何か照れるな〜



そういやまだ昼休みは終わってないな・・・



▲▲▲▲▲すいません嘘つきです▲▲▲▲▲



「愚痴リスニングサワンディーカッキューな」

どこぞの言語や

「がんばれ〜」

とにかく声援を送っておく、恋仲が成就するように

まぁ、実際ユーちゃんはヒロのことをどう思っているのかは知らないけど

“知らぬが仏の顔も三度目から”って言うしな

え?言わない?

こっちの世界は言うんだよ















・・・嘘ですすいません



「あ〜腹減ったーようやく飯食える」

ヒロが椅子からのけぞって伸びをしながら何気無い一言

恋煩こいわずらいの時は飯も喉を通らないけど生命の危機を感じたらさすがに食う”ってことわざもあるしな

え?ない?

こっちの世界にはあるんだよ












・・・ゴメンなさい嘘です



◆◆一体何が⁉時の流れは朱鷺ときのようw◆◆



「あのさ俺の話し聞いてくれよー」

好奇心にも似た感情のヒロ

なんだよ愚痴なら聞かないぞ

「俺ずっとさ胸が痛かったんだよー」

へー

「死ぬほど痛くてデラマックスだぁあ!とか思ってたわけなんやよー」

へー

「これは何の因果なんだ・・・俺は過去に何の罪を犯したんだー!とか役者がおまけの演技を心の中でしてたんだねーこれが(笑)」

役者顔負けね、役者がおまけなら主役はお前か?


ヒロは唐突に立ち上がり

「ついにここまでやって来たかイフリート…...我が聖剣ブリューナクの秘儀をくらえ!五臓六腑乱れ咲き!」

くらえと言われてくらう奴ってどんな奴だよ

「ぐわあ!やられたー」

イフリートぐらいだよ

てかこれがお前の因果か?ファンタスティックでなによりです


「だが私もこれでやられたと思うな!」

先ほどやられたとおっしゃってましたよね


「秘奥義!天元破弾双対殺人事件簿てんげんはだんそうついさつじんじけんぼメイキングペットボトル!」

技名ざつ、最後よく分かんなくなってるし


「な、なんだ!この強力な技は⁉」

こっち側としてはどんな技なのか全くもって伝わって来ないんだけど

技名のインパクトが絶大のは確かだけどね


「ならこちらももう一度行くぞ!秘伝技ひでんぎ!五臓六腑サイクロン!」

ちょっと違う技だ、五臓六腑を撒き散らすのは分かるけど


「ぐおぉぐぁあ!げふっ!くそっ!ごぶっ やられてばっかだと・・・思うなぁぁぁ!ごふぁ!」

めっちゃくちゃやられてんじゃん

てか五臓六腑撒き散らしてよく生きてるなイフリート


「私は自己再生能力を特化させた勇者だぞ?この程度では死なない、ギルガメッシュよ少々私を見くびってはいないか?」

ご丁寧にどうも、そして中二発言サンキューです


「ふっ、そうだな我はあなたを見くびっていたようだ、そのさいせいるゅくでは死にそうにない」

噛んだな、ヒロ改めギルガメッシュ

何か早口っぽくして切り上げたし


「しかしおまえを殺さんでも我は貴様に勝つことはできる!」

ギルガメッシュは指をイフリートに突きつけ、恥ずかしさを忘れてるかのように言い放つ

正確にはヒロの脳内でのイフリートに突きつけている

現実には相園あいぞのさんにその指を突きつけてる

ポニーテール相園さんタジタジ、ゴメンね優しい系女子=相園さん、唐突だったよね

そしてギルガメッシュはポニーテール優しい系女子=相園さんに指を突きつけてしまう程に噛んだことが恥ずかしかったようだ


「どうしたイフリート、先程の勢いが塩をかけられたナメクジのようだぞ?」

あ、相園さんをイフリートの配役にしやがった、完全に巻き込みやがったな

被害を拡大させんなギルガメッシュ

本当にスンマセン、ポニーテール優しい系=可愛い女子代表相園さん

と言う心の声を相園さんに顔で訴える


「そ、そうですか?わたしはまだまだ現役です・・よ?」

やってくれてるー!!あの意味不明のやつを戸惑いながらもやってくれてるー!!

優しい系代表だよ相園さん!!

ギルガメッシュよかったな、相園さんに後でお礼言っとけ


「お、おう、そう・・ですか・・・・」

ギルガメッシュー!!たじろいでんじゃねー!!

てめぇが引き込んだんやろ!!

何ちょっと照れてんだよ!今更だろ!!


「なら・・・あー・・・回転切り!」

技名の度合い抑えやがった

あの五臓六腑サイクロンなる中二病の証しのような技名から「え?俺中二じゃないけど?なにか?」みたいなちょいウザい切り替えしやがった


「あ、あの・・その・・わ、わたしには・・物理的な・・こうげきをしても、再生しま・・するのだ」

惚れてまうやろー!!

恥じらいながらもちゃんと付き合ってくれるその健気さ

そしてその上目遣いの表情(ギルガメッシュ視点)

もう一度言う、惚れてまうやろー!!



てか相園さんよくイフリートの能力を知ってたな

まさか盗み聞きを⁉


とかいう発想はすぐに消えた

盗み聞きなどしなくても余裕で聞こえる音量だ


クラスメイトは興味のある目でギルガメッシュを見ている

さっきはヒロが叫んだだけで逃げてたくせにな

その内の1人に相園さんだっていたはずだ


ホントによく付き合ってくれるな〜


「く、くそっ!そうだったっぁなあ!うかつだったあ!」

声が裏返ってる、直立不動だ、カチンコチンに固まっている、小刻みに震えている、ギルガメッシュが超タジタジだー

分かる分かるぞギルガメッシュ、お前視点からじゃ俺以上にタジタジになるのが

相園のブラウスを重力に逆らいながら隆起させる富士山を彷彿とさせる二つの塊が超至近距離に飛び込んじまうもんな


「くらえ!・・・ち、ちかいのつるぎ!」

とやや役になりきり、手を前に突き出す相園さん

「ぐはぁべらぁ!」

役に入れギルガメッシュ、銅像になってるぞ


「なかなかやるなっぁ、い、イフリート」

くそっ、変態のくせにこうゆうのに耐性もっとけ羨ましいぞ、こんなシチュエーションに会いやがって羨ましいぞ

あっ、羨ましくねーよ!全然羨ましくなんかねーよ!

俺はそんな目で相園を見てないからな

挟まれたいとか思ってないからな!

え?墓穴を掘ったって?

ほほほほほ掘ってねーし、むしろ埋めてたし

埋めてたら最終的に山できてたから


「もういちど!・・えっと・・・断罪のつるぎ!」

と再び手を前に突き出す相園さん

先程よりも力強くやったせいか、その時の状況は

胸がたゆたう波のよう

「ぐはぁ!げほげほ!」

演技が段々お粗末になってきたギルガメッシュ

その目はチラチラと相園の・・・

てか至近距離から見たからってなんなん、こういうのは下から見る方がエロ・・・

くねーよ!

水着からの下から見る方が格段にエロ・・・

くねーから!


ぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁぉががぁぁぁあまぁぁぁぁごぁがぁァァァァァァァァァァァァァァァァぁがあぁぁぁぁぉががぁぁぁぁぁぁごあぁぁぁあ

俺の思考が相園にいってしまう!

もうやめて相園ーその豊満なバストを見せつけないでー


「これで・・と、とどめです!・・えっと、ほろびのバーサーカーソウル!」

両腕を前に構えて内股に・・・その時の状況は

寄せられた胸が活火山のよう


「「相園ぉお!!」」

男二人のきょどりながらの咆哮

ちなみに俺は起立!直立!

「は、はい!」

それに驚き応える相園

目が右往左往している


「「よろしくお願いします!」」

男二人の腰を90度曲げた姿勢からの差し出された手

「え、え⁉・・えと!あの!そ、その!・・・」

あわわわわ…


見なくても分かる

この時の相園が一番たじろいでいただろう

返答に困ることこの上ないよな

そして見たからこそ分かる

相園の足きれーい

この時の男二人は今世紀最大鼻の下を伸ばしていただろう

ドゥーユー踏まれたい?

オーイェース



どのくらい時間が経ったのだろうか

永いようには感じない

人は嬉しいこと楽しいことがあると時間の流れを極端に短く感じる

それは俺とて同じこと


少し足踏しながらオロオロしている相園はみていて飽きなかった


そして意を決したのか相園は息を吸って

「じゃ、じゃあ!・・よろしく・・.ね」

恥ずかしさの残る声でそう返答

相園は俺とギルガメッシュの手を両方取り、柔らかい手で覆った


ギルガメッシュの厚く頼もしい手


相園の柔らかい優しい手


そして俺の血管の浮き出た選ばれし者の手


この三つの手が始めて交わった時だった



パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

よっ!男だねお二人さんパチパチパチパチ

パチパチパチパチパチパチパチパチキャーキャーパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

面白かったよーパチパチパチパチパチパチ

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

何かの劇の練習?パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

キャーキャーパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

パチパチパチパチパチパチキャーキャーパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ…


そして何故かその場はクラスメイトによる拍手喝采で埋め尽くされた


不思議な解放感

三人はそれぞれ顔を見ると合わせたかのように笑い出した


それはごく自然に


変態不良金髪メガネ

優しい系ポニーテール

能力付与された凡人


異質な仲間ができた日だった



そしてその日は、瑞樹の変態が相園によって確立された時だった








題名から分かるようにわたくし瑞樹、白巫女に能力を開花させられた俗に言う選ばれし者ですw


2話目でした。ご視のほどありがとうございます


今回の話は主人公の瑞樹の学校でのちょっとしたヤツを書いてみました。

私にも友達はいますがあのキャラの濃い友達は流石にいませんw

意外にも変態気質だった瑞樹。相園さんじゃなければ確実にバッドエンドでしたね。

それはそれでありかもしれませんがw


今回の最後に瑞樹が言ってましたがこれはファンタジーです。いいですか?ファンタジーです。

次回からファンタジー要素は盛り込まれると思います。多分。


今回の話。少々長かったかな?と自分で感じます。

何せ前回があれなもんですからw

次回からはもっと分割できるとこは分割してお送りしたいと思います


それでは次回も読んでいただける事を願って

ありやとうございやした!!


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