隠れ家
お風呂に入ったあと、髪を綺麗に切られ、髪色を黒髪から優しいブラウンに染められた。
そして洋服は、今まで黒の洋服しか着たことのなかったリサが尻込みするほどの明るい緑色のドレスを着せられた。
鏡で自分の姿を見たリサは、あまりに美しい姿に自分ではない誰かを見ているようであった。
気づくと窓の外は暗くなっていた。一息つく暇もなく、ライナーレインから夕食の準備ができたと知らされたリサことルナはリビングへと招かれた。
大きな扉を執事たちに開けてもらい中に入ると、大きなシャンデリアに紺色の絨毯。10人掛けの長テーブルには豪華な食事が用意されていた。
食事に見とれていると、長テーブル一番奥の席より、低音で心臓に響くような声で名前を呼ばれた。
「ルナといったな。私はこの館の主人のジャルジュという。いきなり連れ込んでしまい申し訳ない。許しておくれ。君には帰るところはあるのかい?」
「いいえ。両親はいません。森で迷い、お腹が空いて街に出たところでした。」
「そうか。可哀想に。家がないならここに住めばいい。ずっととは言わない。新しく住むところが見つかるまでいるがよい。」
リサは、家族から隠れるためには好都合だと思い、戸惑いなく「はい」と答えてた。
ジャルジュは優しく笑顔になった。
「ありがとう。なにかあったらライナーに聞くといい。私はほとんど家にいないが、帰ってきたときは夕食だけでも一緒にとれるとよいな。」
「はい!喜んで!」
リサはとっても優しい声に包まれた。