表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非力なお姫様だっこ  作者: 葛しょこら
お姫さまだっこされた方①
4/5

保健室で目覚めたとき

 

 あたしが気が付いて、真っ先に反応したのは、鼻だった。


 アルコールの臭いが鼻につき、顔をゆがめさせた。


 そして、目を開くと、真っ白い天井が見えた。


 ただ、自分は綺麗とだけ思えば良いのに、綺麗に見せているだけと感じてしまった。


 ここは、病院というより・・・、保健室?そう思って辺りを見渡した。



「あら、起きたの?」と自分の足の方から声が聞こえた。


 体を起こし、声の方向に顔を向けた。そこにいたのは、白衣を着た女の人がいた。年は30手前ぐらいか。



「学校の保健室よ。通学路で倒れていたのをうちの生徒がここまで運んでくれたのよ」


「そ、そうですか・・・」


―――――また、面倒なことになったみたい。


「あなた、1年1組の野村さんよね?」


「はい、そうです」


「今、親御さん呼んで向かいに来てもらったから」


「え?」



―――――なんで、そんなことするのよ・・・。また、あの人たちに迷惑をかけさせてしまう。



「30分で着くって言ってたから・・・、後、20分位で着くから、もう少し休んでいて」


「は、はい・・・」と再び枕に頭を沈めた。




 思えば、本当に朝から最悪だった。


 入学式初日ということで、あの人たちは記念写真を撮ろうと言い出した。


 この時からもう神経を擦り減らされなければならない。


 それに加えて、早めに離れたいと思い出てきたは良いが、あまりにも早く来すぎて、途中でおなかが痛くなって、今になるのかと・・・。



 自分の中で整理しながら、おなかの痛みを思い出し、痛いの無くなれとさすりながら、あの人たちの到着を待った。


 

 あの人たちは、20分で来てしまった。


「失礼します」とあの人たちが来た。


――――――どうして、二人で来るの?


 と思うも心の中で留める。


「どうも、保健医の金子です。お電話した通り、こちらからは何も言えませんが、愛理さんの意識は戻りました。」


「本当にありがとうございます!」とあの人たちは深々と頭を下げていた。


「いえいえ、私は何もしていません。お礼の方は愛理さんを運んでくれた生徒さんに・・・、と言いたい所ですが、その生徒は名前を名乗らず、出て行ってしまったので」と頭を下げ返す。


「そうですか。また、わかりましたら連絡下さい。美優紀行くぞ」ともう一度、頭を下げ、あたしに声をかけた。


「う、うん。お父さん」とベッドから出た。


「明日から来れそう?」と先生は声をかけてきた。


「はい・・・。今日一日休んで、明日来ます」と自分も頭を下げた。



 そして、あの人たちに付いて行き、学校から出た。

 


 これがあたしの入学式であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ