保健室で目覚めたとき
あたしが気が付いて、真っ先に反応したのは、鼻だった。
アルコールの臭いが鼻につき、顔をゆがめさせた。
そして、目を開くと、真っ白い天井が見えた。
ただ、自分は綺麗とだけ思えば良いのに、綺麗に見せているだけと感じてしまった。
ここは、病院というより・・・、保健室?そう思って辺りを見渡した。
「あら、起きたの?」と自分の足の方から声が聞こえた。
体を起こし、声の方向に顔を向けた。そこにいたのは、白衣を着た女の人がいた。年は30手前ぐらいか。
「学校の保健室よ。通学路で倒れていたのをうちの生徒がここまで運んでくれたのよ」
「そ、そうですか・・・」
―――――また、面倒なことになったみたい。
「あなた、1年1組の野村さんよね?」
「はい、そうです」
「今、親御さん呼んで向かいに来てもらったから」
「え?」
―――――なんで、そんなことするのよ・・・。また、あの人たちに迷惑をかけさせてしまう。
「30分で着くって言ってたから・・・、後、20分位で着くから、もう少し休んでいて」
「は、はい・・・」と再び枕に頭を沈めた。
思えば、本当に朝から最悪だった。
入学式初日ということで、あの人たちは記念写真を撮ろうと言い出した。
この時からもう神経を擦り減らされなければならない。
それに加えて、早めに離れたいと思い出てきたは良いが、あまりにも早く来すぎて、途中でおなかが痛くなって、今になるのかと・・・。
自分の中で整理しながら、おなかの痛みを思い出し、痛いの無くなれとさすりながら、あの人たちの到着を待った。
あの人たちは、20分で来てしまった。
「失礼します」とあの人たちが来た。
――――――どうして、二人で来るの?
と思うも心の中で留める。
「どうも、保健医の金子です。お電話した通り、こちらからは何も言えませんが、愛理さんの意識は戻りました。」
「本当にありがとうございます!」とあの人たちは深々と頭を下げていた。
「いえいえ、私は何もしていません。お礼の方は愛理さんを運んでくれた生徒さんに・・・、と言いたい所ですが、その生徒は名前を名乗らず、出て行ってしまったので」と頭を下げ返す。
「そうですか。また、わかりましたら連絡下さい。美優紀行くぞ」ともう一度、頭を下げ、あたしに声をかけた。
「う、うん。お父さん」とベッドから出た。
「明日から来れそう?」と先生は声をかけてきた。
「はい・・・。今日一日休んで、明日来ます」と自分も頭を下げた。
そして、あの人たちに付いて行き、学校から出た。
これがあたしの入学式であった。