表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非力なお姫様だっこ  作者: 葛しょこら
お姫さまだっこした方①
3/5

再び、来訪と帰宅

はぁ~、こっぴどくしかられた・・・。


と自分に愛をこめて30分説教してくれた先生が職員室に行くのを見送り、大きくため息をついた。



教室にはもう誰もいない。


自分はカバンを肩にかけ、教室のカギをかけた。



 教室の鍵を職員室に返し帰ろうと思ったが、保健室が目に入りあの子のことを思い出した。早々に鍵を返し、保健室のドアを開けた。


「し、失礼しま~す」


「どうぞ~、あら、今朝の子ね?」と椅子から立ち上がりこちらに近づいてきた。


「朝はすいませんでした。それと、あの~」とベッドの方を見ながら訊ねた。


「あ~、あの子ならもう帰ったわよ。入学式の途中で起きたから、親御さんを呼んで帰らせたのよ」とまたお茶を出してくれた。


「ありがとうございます」と一口飲む。


「気になったの?」と少し不適な笑みを浮かべてきた。


「いや、別に!ただ大丈夫かな~ってそれだけです!」と否定する。


「そんな向きにならなくても、冗談なのに~」と笑われた。


「からかわないでください」


「ごめん、ごめん。それと話が変わるんだけど、君、名前教えてくれる?」


「あ、渡辺孝司です。1年2組です。」


「そう、私は金子恵子。まぁ適当に呼んでね」


「そうですか。じゃあ金子先生で」と初めて名前を知った。



すると、ガラっとドアが開く。


「金子先生、少しいいですか?」というテンションが上がった声を出しながら、ドアから現れたのは、こっぴどく叱ってくださった先生だった。



「な、渡辺、なぜここにいるんだ?」と自分を視界に捉え、また重低音の声が響かせる



「いや、別に。もう出ていくんで、金子先生ごちそうさまでした」とコップを渡し保健室を後に下校したのだった。


  俺は帰りの電車で一日の疲れのせいか寝てしまった。でも仕方ないでしょと言いたくなるほど、いろいろあったのだ。見知らぬ子をお姫様抱っこして学校に行くわ、鞄を取りに戻るわ、教室でゴリラが待っているわ、怒られるわと散々だった一日が半分と可愛い子をお姫様抱っこしたり、クラスで後ろの子が話しかけてくれたりと嬉しいこともあったりと多分生きていて一番ではないかというぐらい濃密な一日だった。ただ言えることはゴリラは金子先生のことが好きなことである。



◆◆◆午後5時◆◆◆


「ただいま」と慣れていない革靴を脱いで、リビンのソファに寝転んだ。


「おかえり~、アンタさぁ入学式ずっと下向いてたけど、緊張しすぎでしょ」とキッチンで一足先に返っていた母さんがケラケラ笑う。


「うるせえ、いろいろあったんだよ」


「いろいろねぇ。まぁチャチャっとお風呂入ってきな」


「は~い」と部屋に着替えを取りに行った。


「はぁ~疲れた」と湯船につかる。

 大きなあくびが出て倒れていたあの子のことを思い返す。本当に大丈夫なのかなという心配と可愛かったなという不純な思いだ。まぁ、保健の先生が大丈夫って言ってたし親御さん迎えに来てたから大丈夫かと顔にお湯をかけた。そして記念すべき入学式はここで閉じるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ