バタバタの初登校
葛しょこらです!
読みにくいと思いますが、読んで下されば幸いです。
今回は自分と全く無縁の恋愛ものです(笑)
僕は非力だった。
身長も165cmぐらいでそこまで高いとは言えない。体重もそんなにあるわけではなく、ピラミッドをすると言われたら上位層に行くだろう。これが身体的な非力だ。
身体的と挙げるなら精神的な非力もある。大きくまとめるなら、人と会話するのが苦手なのだ、特に女の子との。しかし、苦手と言っても喋れないわけではなく、話しかけられたら、一応は話せているつもりだ。
しかし!!
今日から高校生になる身としては致命的である。だからこそ今日から変わると決めた。つまり、高校デビューである。
4月1日 入学式
まだ春の暖かさが感じられない午前6時半、高校からの最寄りの駅に到着した。
その時の自分の心中は穏やかではなかった。
―――――――やべ~、早く来すぎた!8時半集合なのに。二時間前だぞ二時間前。はしゃぎ過ぎただろ、俺。あいつ、はしゃいでるんじゃね?って思われるよ。
と駅のホームでうなだれた。調子に乗るとすぐこれだから嫌なのだ。
しかし、そこには高校に向かう人は見当たらなかった。あまりにも早すぎたらしい。それは不幸中の幸いであった。
そのまま駅にあるマックに直行した。朝マックというのは自分だけなのかテンションが上がる。それに、家での朝ごはんがのどを通らなかったから丁度良かったということにしておこう。
といっても粘って一時間しか時間は過ぎなかった。
―――――――7時半かぁ。もう行くかな
俺はトレイを片付け、店を出ると到着した時よりも活気が駅に見られた。しかし、まだ同じ高校の制服らしき服を身につけている人は見当たらなかった。
仕方ない、もう行こうと通学路を歩き始めた。
俺が今日から通い始める高校は丘の上にあり、徒歩でおよそ15分の坂が続いている。意外とハードであるが、それまでの道は住宅街が広がっており、海近くで育った自分にとってはとても新鮮な道であった。
――――――たぶん、ゆっくり歩いて8時前に着くだろう。
そう見越して自分の歩みをいつもより遅くした。
7時45分、学校が目で捉えた所である異変に気づいた。
人が道で倒れているのだった。
驚きで目を疑った。しかし、倒れているという現実は変わらない。俺はすぐに駆け寄った。
倒れているのは女の子、しかも高校の制服を着ている。確かに、同じ高校の人をさっきまでは探していたが、このような出会い方では求めていなかった。
周りを見るも人はいない。救急車を呼ぶという選択肢もあったが、自分は高校に運ぶという結論に至った。目と鼻の先にあるのだからそっちの方が賢明であると思ったからだ。
とりあえず、大丈夫ですかと意識確認。反応がない、でも息はしている。そこである問題に気づいた。
それは、どう運ぼうかということである。
女の子にろくに触ったという言い方はおかしいかもしれないが、まともな接触は家族以外では小学校で組み体をして以来なかったからであった。
しかし、ここで渋っていてはダメだ。
俺は何も考えないようにしながら、彼女の腕を肩にかけ、体の下に手を入れて、リフトの容量で持ち上げた。最初はよたついたものの、すっと持ち上がった。
正直、非力である自分では大丈夫かということを考えていたものの、そこまで苦とは感じなかった。
高校に入ると、先生たちがにこやかな表情で出迎えてくれたが、こっちの現状を見て一気に表情が変わった。
「どうしたの!?」と駆け寄ってきた。
「そこで倒れていたんです!保健室はどこですか!?」とこっちも平静でいられない。
「こっち」と先生が駆け出し、その後ろを着いて行った。
保健室は一階にあり、先生の入った部屋に入るとアルコールやいろいろな臭いの混じった保健室独特の臭いが自分の鼻につき、保健室だとわかった。その部屋のベッドに彼女を下ろし、ようやく一段落が着いた。
「君、偉かったね」と保健室の先生らしき白衣を着た人に言われた。
「いや~、本当に焦りましたよ」と近くにあった椅子に腰かけた。すると、先生は冷蔵庫からお茶らしきものを取り出しコップにいれて差し出してくれた。それを一気に飲み干す。
「はぁ~おいしい!」とコップを置く。
「本当にこっちも焦ったよ。新入生第一号を笑顔で迎えようと思っていたら、抱きかかえてくるんだもん」と先導してくれた先生。
「ははは、本当に」と苦笑いで返した。
「君、それにしても、カバンは?」とコップを流しにおきながら、保健の先生が聞いてきた。
そこで、ようやくカバンの無いことに気がついた。
「あっ! カバン置いてきた!先生それじゃ」と保健室を飛び出した。
「君、な、名前はって聞こえないか。青木先生、私にもお茶くれませんか?」
「いいですよ」とコップにお茶をそそいだ。
そんないろいろバタバタした初登校はカバンを取り戻る時には、人がたくさん登校してきており、あの子なんでカバン拾ってんだろうという目線を浴びながら終わったのであった。
つづく、、
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