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エリオが生きる!  作者: じゅどぴん


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1/1

一話

波が荒々しく音を立てる嵐の中、崖の上で冷たい表情をした一人の男が立ちすくんでいる。


(どうして、こんなこんなことになってしまったのか.....)


冷たい表情でそうつぶやくこの男の名前はクリフト・アルベルト。年は二十七、少し長く伸ばした金髪と青い瞳が特徴的だ。


(思えば、今までの人生がうまくいきすぎていたのだろうか、)


クリフトは冷たい表情のまま、顔に手を当て、充実していた日々を思い出す。



 十七年前。



「待てぇー!!クソガキィーー!!」


人々が行き交う市場で、果物屋の店主が怒声を響かせながら一人の少年を追いかけている。


「へっ!誰が待てって言われて待つかよ!」


店主の怒声に対してそう言い放ち、逃げる少年は果物の入った袋をかかえている。この少年が店主の店から果物を盗んだのは誰の目から見ても明白だ。


「捕まえられるもんなら、捕まえてみろ!」


少年は少し振り返り、顔を真っ赤にして追いかけてくる店主を煽るように言い放つ。

だが、次の瞬間、


ドンッッ


「.....いってぇぇ」


少年は何かにぶつかり尻餅をついてしまう。

見上げると黒髪の大柄な男が立っていた。


「おいおい大丈夫か坊主、ちゃんと前見て走れよ?」


(クソッ、ヘマしちまった!……いや、そんなことより、何だ!? このおっさん、まるで岩壁にぶつかったみたいだったぞ!?)


少年はぶつかった男のあまりの硬さに驚愕する。


「おい坊主、ヤべーんじゃねぇのか?」


少年が呆然としていると、男はしゃがみ込み、少年に目線を合わせ、何故かニヤつきながらそう言ってくる。


「へ?」


「う・し・ろ」


そう言われ後ろを振り向くと、腕を組み、鬼の形相をした店主がそこにいた。


「もぉ逃がさねぇぞ!クソガキ!」


(……やっべ)


少年は店主の形相に少したじろぎ、顔が引きつる。


「よくもうちの商品を盗んでくれたな!!」


店主は荒い口調で怒鳴り、片手で少年の襟元を掴み上げそう言い放つ。


「.....はっ!盗まれるほうが間抜けなんだよ!」


だが、怒声に負けじとまたも少年は店主を煽り、やせ我慢な笑顔を浮かべ、意地を張って見せる。


「なんだとぉ!少し痛い目に合わねぇと分からねぇようだな!」


少年の煽りで更に店主は激怒し、拳を振り上げる。


「歯ぁ食いしばれ!!」


(クソッ!)


少年は反射的に目を瞑り、殴られる事を覚悟する。


パシッッ


だが少年の覚悟とは裏腹に、市場に響いたのは人を殴った時の鈍い音ではなく、鋭く乾いた音だった。

痛みもない。


(何が起こったんだ?)


おそるおそる目を開けるとそこにうつったのは先ほどの男が店主の握り拳を掴み、受け止めている姿だった。


「まぁまぁ、落ち着けよアンタ」


男は店主をなだめようと話しかける。


「あぁ? なんだよおっさん、なんで止める? 別におっさんの連れってわけでもねぇだろ、それにもとはといえばこのクソガキが俺の店の商品を盗んだのが悪いんだぜ?」


しかし店主は男の言葉に耳を貸さず、逆に男に対し喰ってかかる。だが店主の言い分はもっともだろう。


「あぁ確かにその通りだ、俺はこの坊主とは出会ったばっかだし、悪いのは盗みをしたこの坊主だと思ってる。けどな、今から殴られるって奴を放っておくほど俺は落ちぶれちゃいねぇだけだ。もちろん、ただで見過ごせっていうわけじゃない」


そう言い終わると、男はおもむろに服の中から硬貨を取り出し、店主に手渡した。だが、その硬貨達は果物の額にしてはあまりにも大きいと言える。


「これで勘弁してくれねぇか?」


二人は睨み合い、少しの沈黙が続く。


「.....ケッ!物好きなヤローだ、.....わかった、見逃してやるよ」


そう言うと店主は少年の襟元を掴んだ手を放した。少年は受け身を取れずまた尻餅をつく。


「いいかクソガキ、もう二度と俺の店で盗みなんかするんじゃねぇぞ!」


去り際にそう言い放ち、店主はその場から立ち去った。


「なぁおっさん、なんで俺を助けた?」


店主が立ち去るのを見送った後、少年が尋ねた。


「言っておくが俺がアンタにしてやれることなんて何も....って、おわぁ!」


少年がそういい終わる前に、突然男が少年の体を担ぎ上げる。


「いきなり何すんだよ!俺をどうするつもりだ!」


少年は男の肩の上で必死に暴れる。


「まぁまぁ落ち着けって、そんなことより舌を噛み切らないように気を付けた方がいいぞ」


「はぁ?何言って.....」


その瞬間、男は強く地面を蹴り上げ、屋根に飛び乗った。


「走るぞ」


その言葉と共に男は一気に駆け出し、少年を連れ、街はずれの方向へと消えていった。













最後まで読んで頂きありがとうございました。

よろしければ作品の評価もして頂けると幸いです。

世界が平和になりますように!!

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