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2話

父親への手紙が届いてからしばらくたった。

さすがのバーナードもそこまで頻繁に街まで買い出しには行かないので、あの手紙以降に届くであろう実験の詳細が書かれている手紙は、まだ村にもたらされていない。

そのため、村の中に広がる噂の中身は変わっていない。

しかし、村人たちの心境には大きな変化が有った。

私の元に来て、私を説得してくれた司祭様は、その足で村長への説得のため村長宅へ向かった。

結果、司祭様と村長は激しい口論となったらしい。

お互いの意見をぶつけ合うも、この村の知識人同士らしく妥協点を見つけた。

まず既にこの村に届いて村長が保管している私の父親宛の手紙だが、司祭様が入念に確認を行った。

その上で異端思想の危険は少ないと判断され、そのまま村長の手元に残される事になった。

そして、これから届く詳細の書かれた手紙については、最初に司祭様が確認する事で合意された。

村人たちは手紙に書かれていた金を作り出す実験に期待を寄せている人達と、司祭様から異端思想の危険性が有ると言われた以上は慎重になるべきという人達で意見が割れた。

悲しい事に司祭様の意見に賛成する村人は少数であり、多くの村人が詳細の書かれた手紙を心待ちにしていた。

バーナードもその一人だった。

いつもならもう少し街に売りに行く物や買い出しをしてくる物が集まってから街に行くはずなのに、今回の荷車はずいぶんと軽そうだった。

「ずいぶん早いんだね。この間行ったばかりじゃないか」

「皆の期待がかかってるからな」

「そんなに期待していいものなんだろうか。異端思想が書かれただけの有害な物かもしれないのに」

「そういう考え方だから、この村はいつまで経っても豊かにならないんだよ。俺には一攫千金の機運にしか感じられないけど」

「そういう心持ち事態も司祭様は危惧してたよ」

「相変わらずお前は教会にべったりだな。

まあいいさ。俺は街に行って手紙を受け取ってくるよ」

そう言ってバーナードは街に向かって出発した。


いつもより早い間隔で街に来た事も有り、用事はすぐ終わった。

最後にいつもの雑貨屋を訪ねる。

「おや、今回はずいぶんと早いんだな」

「まあな少し急ぎの用が有るからな。

ところで、また手紙を預かっていないか」

「ああ、預かってるよ。前回と同じ人が出したんだろうな。今回もアルフレッド宛だそうだ」

本当は引ったくる勢いで掴み取りたかったが、なんとか自制しゆっくりと受けとる。

「そう言えば、前回の時にアルフレッドが誰かわからないと言っていたが、それは解決したのか」

「ああ何て事は無い。ちょっと前に亡くなった村人の事だった。その村人が亡くなった事も知らなかった旧友からの手紙だったよ。

それで今回のこの手紙はその続きだそうだ。その亡くなった村人以外にも村長とも仲が良かったらしく、村長から続きの手紙を受け取ってくるように催促されてな」

最後こそ出任せだが、それ以外はだいたい事実通りだ。

雑貨屋の主人は疑う様子も無く、俺の話を聞いていた。

「催促するぐらいだから、ずいぶんと仲が良かったんだな」

「まあそうなんだろうな。何でも子供の頃に一緒に遊んだ仲らしいからな」

「じゃあ、もしかしたらその続きの手紙には幼少期の秘密の暴露でも書いてあるのか。

例えば。なんだろうな、子供の頃に見つけたお宝のありかとか、か」

雑貨屋の主人の適当な思い付きにも関わらず、あながち間違いでもない事に鼓動が一つ大きくなった。

「そんな物が有ったら万々歳なんだがな」

「違いない」

お互い笑いあって、俺は村に帰るために雑貨屋の主人と別れた。

街から村までの帰り道。

俺は村に着いてからどうするかを考えた。

このままこの手紙を村に持ち帰れば、村長と司祭の取り決めに従って、まずは司祭の手に渡る。

もしこの手紙の内容に少しでも異端思想の危険性があれば、司祭は即刻この手紙を封印するか燃やして破棄してしまうだろう。

もしそうなれば、この手紙の内容を俺たちが確認する事は不可能になる。たとえそこに金を作り出す方法が書いてあるとしてもだ。

村までの帰路はまだ長く、周りには誰もいない。

もしここで俺が手紙の中身を見たとしても、誰も気が付かないだろう。

封の代わりに紐で縛られているだけの手紙。

読んだ後にもう一度紐で縛ってしまえば、誰がその変化を見破れるだろう。

俺は自身の好奇心を抑えきる事は出来なかった。

やましい心が有るせいか、無性に周りが気になる。

誰も居ない事を再度確認して、俺はゆっくりと紐をほどいた。

手紙の内容は本当に実験の手順書だった。

前半に材料や機材と思われる単語と量が羅列され、後半はそれらを組み合わせていく順序が書かれていると思われる。

残念な事に自分の語彙力ではこの手紙の全てを読み取る事は出来なかった。

後半の手順の部分は前後の内容などから、知らない単語もある程度は推測が出来る。

しかし、前半の材料や機材に関しては全く理解が及ばない。専門知識が無ければこれらを読み解くのは不可能かもしれない。

当初こそ内容をこっそりと書き写して、何食わぬ顔で手紙を司祭に渡そうとも考えていたが、ここまで解らないものばかりでは書き写した所で意味が無い。

唯一の救いは異端思想が書かれているかもしれなかった私信の部分がこの手紙には全く無かった。本当に実験の手順のみだった。

この内容であれば、司祭が有無も言わさず焼き払う事は無いだろう。

安堵の気持ちと約束を破って覗き見てしまった罪悪感から、深いため息をつく。

手早く紐で括り直して、元の状態に戻す。

司祭はこの手紙を渡した時に、既に開けられている事に気が付くだろうか。多分気が付かないだろう。

心が少し重くなる。この重さを司祭が信仰する神は見抜いているのだろう。

村に帰り着く。

最初に行うのは村長への報告。

村長宅を訪ね、出迎えてくれた村長に無事帰ってきた事を伝えた。

「特にこれといった問題も無く、無事に街での用事を済ませてきました」

「いつもありがとう。お前さんが居てくれるから、村の皆が欲しいと思ったものが手に入る。

ところで、今回はずいぶんと早く帰ってきたな。いつもならもう少し時間がかかりそうなものだが」

「前回からの間が短い分、頼まれ事も少なめで。

その代わりに、お目当てのものは手に入れましたので」

「お前さんがこの村の中で一番関心を示していたからな。

早速、司祭様の所に持って行って内容を確認してもらえ。わしらが中身を見るのはその後だ。

・・・まあそのまま中身を知る機会を失うかもしれんがな」

「大丈夫だと思いますよ。司祭様が危惧していたような異端思想に関わる事は何も書いてなかったし」

口を滑らしてから失態に気づく。

村長の表情が硬くなった気がした。

「お前さんが手紙の中身を知りたい気持ちはわかるが、だからと言って約束をたがえて良いという事にはならんだろ」

「それはそうですが、もしかしたらそのまま読む機会が無くなるかもと思うと、居ても立っても居られなくなって」

「まったく。司祭様相手には口を滑らせるなよ」

「それはもちろん」

村長は大きくため息をついた。


扉のノックの音を聞いて入り口に向かう。

そこには三人が立っていた。

「これはまた珍しい組み合わせですね。どうぞお入りください」

来客たちはそれぞれ会釈をして教会の中に入ってくる。

「今日はどういった御用で」

私の質問に村長が答える。

「前の話し合いで決めた通り、こちらの手紙について司祭様に内容を確認してもらいたい」

村長が一通の手紙を手渡してくる。

「続きが届いたのですね。わかりました。拝見させていただきます」

手紙を開きながら、なぜこの三人で訪れたのかが腑に落ちる。

本来の宛名の息子、宛名の連名に名前があった村長、そしてこの話に人一倍関心のある彼。

もし私が確認した結果、問題ないと判断して彼らにこの手紙を返したらきっと小躍りして喜ぶのだろう。

だからと言って適当に判断を下すわけにはいかない。

もしここで異端思想が村に広がるきっかけを作ってしまっては取り返しが付かない事になる。

私はその手紙をじっくりと読んだ。

いくつかの単語は専門用語らしく、自分の知識の中には無い。ただそれらは本当にただの実験材料や機材の名前のようで、無理やり解釈しようとしても異端思想に繋がる部分は見つけられなかった。

実験の手順書。それ以上でもそれ以下でも無い内容であると結論付けた。

少し気持ちが楽になる。

手紙を元あったように折りたたみ、村長に返す。

「確認させてもらいました。私が判断できる範囲内ではこの手紙に異端思想の危険を見つける事ができませんでした。

約束通り、こちらの手紙はあなた方にお返しいたします」

村長とバーナードの顔色が明らかに良くなる。

早速村長は再度手紙を開いて読み始めた。

しかしすぐに眉間にしわを寄せて、うなり出してしまった。

村長は手紙から頭を上げて、こちらを見た。

「つかぬ事をお伺いしますが、司祭様はこの手紙の内容を全て読めましたか」

「いえ、いくつかの専門用語はちゃんとは読めていません。だた、前後の内容から問題はないだろうと判断しました」

「・・・私は村長をしてはいますが、しょせんはただの村人です。文字の読み書きも役職柄必要な為に覚えました。

ですので、私の知識は村長としての役職に関わるものばかりです。この手紙に書かれているような専門用語はちっとも理解できません」

「・・・」

「もし出来ましたら、司祭様の豊富な知識をお貸し願えませんか。この手紙を読んでいただきたい」

村長の申し出に少し驚いた。

確認さえ済ませてしまえば、私の役割は終わりだと考えていた。

内容に問題が無かったとは言え、その手紙を書いたのは異端思想の危険人物として教会に捕まった人物だ。出来る事ならそのような手紙には近づきたくもない。

私は首を振ってから答えた。

「前に言ったように、私はこの実験を行う事に反対です。

この手紙を書いた人物が異端思想だったという事もありますが、今までに金を作り出す事に成功したという話は聞いたことがありません。

誰かがそのような事を言い出す時は人を騙そうとしている時ばかりです。

そんな実験が成功するとはとても思えません。

それに先ほども言ったように私の知識でも全てを解読出来たわけではありません。

私より街に持っていき専門家、それこそ錬金術師の方に読んでもらった方が正確かと思います」

私の意見にバーナードが反論してくる。

「そんな事をしたら、その錬金術師にこの実験を横取りされてしまいます。それにその錬金術師がちゃんと本当の事を教えてくれるとも限りません」

確かに起こりそうな事態ではある。だからといって私が折れる必要があるだろうか。

「何とかお願いします。司祭様しか頼れる方がいませんので」

「・・・ですが、」

「もしこの実験が成功すれば、この村は豊かになります。それは司祭様も願うところでしょう」

「それはそうですが」

「司祭様や教会だって全ての技術進歩を否定しているわけではないでしょう。懸念点はただこの手紙の差出人が異端思想の錬金術師だったという事だけ。

異端思想の疑いが無くなったのであれば、これは純粋な技術の話になりましょう。

もし本当にこの実験で金を作り出せるのであれば、司祭様も自分の目で見てみたいと思いませんか」

「・・・」

確かに今までにない技術が実現可能かの実験だ。その結果は純粋な好奇心から知りたいと思う。

「それに現時点では、この金を作り出す実験の内容はこの手紙とこれを出したオズウィンの頭の中だけ。

今であれば貴重な金を作り高く売る事も出来ますが、この実験内容がいろいろな人の知るところになれば、金はそこら中に溢れてありふれた物になってしまいます。そうなれば、金を作った所で買い手は居なくなるでしょう」

畳みかけるような村長の言葉に圧倒され、とうとう根負けしてしまった。

「わかりました。そこまで言うのであればお引き受けしましょう」

「おお、それはありがたい」

村長は再び手に持った手紙を渡してきた。

それを受け取りながら言葉を続けた。

「ただし一つだけ、一晩時間を下さい。

解読する以上は間違い無くちゃんと解読したい。一字一句誤訳が無いように、辞書と照らし合わせたいのです」

「それはこちらとしてもお願いしたい所です」

「では、こちらの手紙は一晩お預かりします。明日の朝には手紙の内容をあなた方に伝えられると思います」

「よろしくお願いいたします」

頭を下げる村長に続き、バーナードとハロルドも頭を下げた。

彼らは口々に感謝を告げ、帰っていった。

私は大きくため息を一つついた。

預かった手紙を自分の作業机の目立つところに置いて、まずはやるべき日課をこなす事にした。

夜が更けてきて後は寝るだけとなってから、作業机に向かった。

左右には教会中からかき集めてきた数々の辞書が積まれている。

私は専門用語を中心に辞書で引いて、そこに書かれている意味を書き写す。

その中身を更に辞書を使い、村人たちでも理解出来るように言葉を変え言い回しを工夫した。

手間はかかるが、引き受けた以上は適当な事は出来ない。

結果として実験がどうなろうとも、私はこの解読を真剣に進めた。

遅々として進まず、時間ばかりが過ぎていく。

最初こそ冴えていた頭も段々と靄がかかってきていた。

手紙から単語を書き写す。

その時うっかりつづりを書き間違えてしまう。

手紙の文字はお世辞にも綺麗とは言い難い、走り書きの文字に近かった。

そんな言い訳を思いながらも間違えは間違えだから、上から線を引こうとする。

「はあ、しっかりしなくては」

1人つぶやきながら、とある考えがよぎる。

この書き間違えたまま、作業を進めたらどうだろう。

単語のつづりを間違えているのだから、辞書で引いても出てくるのは全く別のもの。

そうなればこの実験は確実に失敗する。

個人的な興味の範囲では実験には成功してほしい。金を作り出せる所を見てみたい。

しかし、教会に所属する司祭としては失敗してほしい。いや、失敗するだろう。異端思想の錬金術師の実験だ、成功するわけがない。

それがこの思い付きを行えば、確実なものになる。

教会の威厳の為、万が一すらも起こさせない為、行うべきか。

「・・・私は疲れているのだろうか」

ため息を付きながら、つづりを間違えた単語に線を引いた。

そのような誘惑に負けるわけにはいかない。

それにそのような事をしなくても、教会が否定した以上はこの実験は失敗する。

その後も辞書での確認作業は続き、私は夜遅くまで明りに照らされていた。

翌日、早速朝から扉がノックされる。

いつもより睡眠時間を削る形になった私は、目をこすりながらも扉を開ける。

「おはようございます。皆さんお早いですね」

そこには昨日の三人が居た。更に、普段からバーナードと一緒に居る彼の友人も数名集まっていた。

彼らの会話を聞く限りその友人達は単純に興味も有ったが、それ以上に私が読み上げる実験の手順書の文言を一文字とも聞き逃さないようにする意味合いが強いようだ。

「彼らに聞かせても構わないでしょう」

バーナードが断りを入れてきたが、それを否定する理由は無かった。

「そうですね。ちゃんと聞いて理解している人が増えれば、それだけうっかりしての失敗も無くなるでしょう」

私はゆっくりと読み上げた。彼らが理解できていなさそうな所は随時解説を挟んだ。

自分すら見たことのない機材に付いては、辞書の説明や実験の工程の前後からおおよその想定を伝えその想像を共有した。

手順書自体にも、多くの注釈が付けられその度々で気を付けるべき状態や温度などの情報が書かれている。それらもしっかり読み上げ、彼らに伝えた。

「書かれている事は以上です」

説明を終えて、肩の荷が下りる気分だった。

彼らは各々で私の説明を反芻していた。

「ありがとうございました」

代表して村長が頭を下げる。それにつられるように他の者も頭を下げた。

「いえ。私は頼まれた事をこなしただけです。学生の時以来、一番頭を使いましたが」

苦笑に対して村長も笑ってくれた。

一方でバーナードと彼の友人は、各々が記憶した事に齟齬が無いか確認しあっていた。

「こちらはお返ししておきます。記憶を手繰るときに役立つでしょう」

私が昨晩中ずっと対峙してきた異端思想の錬金術師の手紙を、再度封代わりの紐を括りバーナードに渡した。

「とは言っても、読み上げながら解説したようにこの実験を行う事は容易ではありません。

機材はもちろんの事、素材だけで考えてもこの村だけで調達する事は不可能でしょう。

機材と材料を街にでも行って買い集める。それだけでどれだけの金額になることか。

実験を行いたいのであれば、大人しく錬金術師に頼んだ方が良いと思います」

一晩掛けて解読した私自身の感想を冷静に伝えた。

そこに書かれていた実験は素人が一朝一夕で行えるような、簡単なものではなかった。

私としてはこれで村人たちが諦めてくれれば嬉しかったが、そうはいかない。

「ですが、司祭様。逆に言えばここに書かれている機材と実験材料さえ集める事が出来れば、実験が行える。

そしてその実験の成功はこの手紙を書いた錬金術師が確認している。

そうですよね」

そう言いながらこちらを見据えてきたバーナードの目には、確かにぎらついた光が宿っていた。

「落ち着いてください。

この実験が成功するとは決まっていません。もしかしたらこの人の勘違いの可能性だってまだ十分に有ります。

それに、そんな簡単にそれらを集めるとは言っても、どうやって集めるのですか」

「俺は長年、街での買い出しを行っています。その中で仲の良い街の人も多く出来ました。

その方々から少額ずつでもお金を借りて、そのお金でこれらを購入してきます。

そして、出来上がった金塊で利子を付けて返せば良い」

バーナードは確信に満ちた声で、夢想事を語った。

「それはおすすめ出来ません。

その実験が失敗したらどうするのですか。そんな無謀な賭けはするべきではありません」

私が強く否定すると、バーナードは眉間にしわを寄せる。そして村長の方に向き直る。

「村長、この手紙の差出人であり、村長の親友であるオズウィンなる人物は信頼できる人ですよね」

突然話を振られた村長は、少し戸惑うもその言葉を肯定する。

「少なくとも私の知っている、幼い頃のこの村に居た時の彼は信用に足る人だった」

「ですが、その人は異端思想の危険人物として捕まったのですよ。

そんな人の手紙を信用するなんて」

私はすぐに言葉を重ねた。教会が危険だと判定した人物を信用させるわけにはいかない。

だが、私の言葉はバーナードには届かなった。

「それだって、教会が間違えた可能性だってあるのではないでしょうか。

少なくとも俺はこの手紙を信じて、この実験を行います。

そして成功させて、大金持ちになってやる」

高らかに宣言をしたバーナードは仲間の方に向き返り、実験の手順書を開きその内容を仲間の間で再度確認し始めた。

「ともかくは、解読をありがとうございました」

村長が頭を下げてくれる。

だが私の心の中は穏やかでは無かった。

バーナードやその仲間達の姿を見ていると、本当に解読してよかったのだろうか、という疑問がふつふつと湧き上がってきていた。


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