第41話:静かな村で、世界を見つめて
復活した王国は、血の神の力で甦った花と緑に包まれ、王も民もかつてない活気に満ちていた。
「我らは再び歩き出す!」
王が高らかに宣言すると、使者たちが次々と各国へと旅立っていく。
――そして噂は、あっという間に世界を駆け抜けた。
『血の神を打ち破った者たちがいる――』
その存在が、神々にすら抗う英雄として、各地の街角や市場で語られはじめる。
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「……これ、まずいよな。」
ディルが新聞をめくりながら苦笑した。
「すっかり有名人だね……。」
ニールも肩を落とす。
「キュー……(これじゃ、どこに行っても見つかっちゃう……)」
アルネアがしゅんと羽耳を垂らす。
「……一旦、村に戻ろう。」
俺は決断した。
「ここまで目立ったら、神様探しどころじゃない。
しばらくは……息を潜めるしかない。」
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村に戻った俺たちは、しばらく外に出ず、ひっそりと暮らし始めた。
研究所の一室に、世界中から届く新聞を積み重ねる。
「ほら、こっちは北方の新聞。」
ニールが広げる。
「こっちは砂漠地帯のものだ。降臨の兆しがあれば記事になるはずだ。」
サリウスが分厚い書類を整理する。
アルネアは小さな前足で紙を押さえ、じっと目を凝らす。
「キュー……(この星片の光に似た話は……?)」
「ヴォォ……(こっちに海の神の動向が載ってるぞ……)」
ヴァルが鼻先で新聞をつつく。
リューネリアは静かに尾を振りながら、ディルの肩の上で記事を見つめる。
「ほら見て、これ。」
ディルが指さした記事にはこう書かれていた。
『遠い南の島で、虹色の光が夜空を照らした――』
俺たちは一斉に顔を上げた。
「……虹色……?」
ニールの声が震える。
「主神の星片……?」
俺の胸が高鳴る。
「でも……行けば目立つ……。」
ディルが唇を噛む。
サリウスが静かに頷いた。
「……もう少し情報を集めよう。世界は、我々を見ている。」
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夜、村の丘の上。
星空を見上げると、アルネアがそっと俺の肩に寄り添った。
「キュー……(大丈夫だよ、カノン……私たちならきっと……)」
「……ああ。俺たちなら……必ず見つけられる。」
遠くで村の灯が揺れ、積まれた新聞が風にめくれる。
――世界が騒がしくなる中、俺たちは静かに息を潜め、神の兆しを探し続けていた。




