第25話:ツンデレな花の妖精と、次なる真名探し
銀の集落の広場。
長老が祝福の杖を掲げると、銀の獣がディルにゆっくりと近づいた。
「……わたしの、まことの名は――。」
獣の声が泉のように響いた。
《リューネリア》
その瞬間、銀の光がディルとリューネリアを包む。
ディルの目が潤み、胸を押さえた。
「リューネリア……リューネリア!リューネリア!リューネリア!!」
「……ディル、そんなに連呼しなくても……。」
ニールが苦笑するが、ディルは止まらない。
「リューネリア……!いい名前だな……リューネリア……!」
「……よかったな、ディル。」
俺も肩を叩く。
「キュー♪」
「ヴォォ♪」
アルネアとヴァルも優しく鳴いた。
その姿を見ていたニールが、ぽつりと呟く。
「……いいなぁ、ディル。俺も相棒、見つけたい。」
「じゃあ次はニールの番だな。」
俺は笑って頷く。
「よーし!じゃあ行こうぜ、ニールの相棒探し!」
ディルも涙を拭って立ち上がった。
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次の目的地は、南東の暗い森《クレイモア樹林》。
不気味な名前とは裏腹に、モンスターたちは穏やかで、森全体が静かに呼吸しているような場所だった。
「敵意を感じないな……。」
サリウスが周囲を見渡す。
「キュー……(安心していいみたい)」
「ヴォォ……」
俺たちは肩の力を抜き、言葉の練習をしながら森を進んでいた。
「リューネリア!リューネリア!」
「ディル、まだ言ってる……」
「だってうれしいんだよ!」
「ヴァル!」「ヴォォ!」
「アルネア!」「キュー!」
「……いいなぁ……俺も相棒に呼んでもらえる名前、教えてもらえるかな……。」
ニールがぼそりとつぶやいた、その時――
「うわっ!?」
「ニール!?」
茂みから小さな影が飛び出し、ニールに思い切りタックルした。
「いたっ……!?な、なんだ!?」
目の前に現れたのは――
花の冠を頭にのせ、小さな羽を揺らす妖精のようなモンスター。
頬を膨らませ、ニールを小さな手でぺしぺし叩き始める。
「えっ、ちょっ……わっ……!?」
「キュー……(怒ってる……?でも……)」
アルネアが首を傾げる。
「……敵意は、感じませんね。」
サリウスが目を細めた。
ニールはタジタジになりながらも、その小さな瞳をじっと見た。
「……お前、もしかして……俺に何か言いたいのか……?」
「ピィ!ピィ!ピィ!!」
「うわ、やめっ……いや、やめなくていいけどっ……!」
「……ツンデレだな、こりゃ。」
俺が笑うと、ディルも頷いた。
「ニール、そいつ、君の相棒候補だな。」
「え、えぇ!?こんなにペシペシしてくるのに!?」
「いや……ちゃんと守りたいって思ってるんだよ、きっと。」
俺はにっこり笑う。
妖精モンスターは、叩くのをやめてニールの肩にとまり、ぷいっとそっぽを向いた。
「……なんか、可愛いな。」
「ピィ……」
「じゃあ決まりだな。次はこいつの真名を探すぞ!」
俺がそう言うと、仲間たちがうなずいた。
「よし、ニール。俺たちがついてる。」
ディルが肩を叩く。
「リューネリアも一緒だ!」
「グゥ♪」
「キュー!」
「ヴォォ!」
「……なんか、楽しそうになってきたな。」
ニールは少し照れながら、妖精モンスターを見つめた。
「じゃあ……よろしくな。俺の相棒……!」




