第23話:ジャングルの呼び声と、新たな相棒探し
「カノン、決めたよ。」
朝、研究所の机で地図を広げていたディルが、真剣な顔でこちらを見た。
「俺も……相棒を見つける。」
「おぉ……ついにか!」
「ニールもだよ!」
隣でニールが元気よく手を挙げる。
「いいな、じゃあ4人でモンスター探しだな。」
「キュー!」
「ヴォォ!」
アルネアとヴァルも羽耳と翼を揺らしてやる気満々だ。
---
調査の結果、最初の目的地は決まった。
「未開のジャングル《リュードの森》……そこに、まだ人間の相棒になったことのない野生種がいるらしい。」
「俺は、そこで“心が通じる”相棒を探すんだ。」
ディルの声は迷いがなかった。
「じゃあ、ディルの相棒が見つかったら、その真名を探すって流れだな。」
俺は頷く。
「そうだね。真名は魂の軌跡……まずは相棒との絆を築かないと。」
サリウスが地図に印をつけながら言った。
---
そして出発の日。
ヴァルの背中に俺とサリウス、アルネアを抱えて飛び、ニールとディルは小型飛竜に乗って並走する。
「うわぁ……!森がどこまでも続いてる……!」
ニールが歓声を上げる。
下には深い緑が広がり、霧のような湿気と遠くから響く動物たちの咆哮。
「ここが……《リュードの森》。」
ディルが拳を握る。
---
地上に降り立つと、すぐに熱帯の香りと濃密な空気が身体を包む。
蔦が絡まり、奇妙な花が咲き乱れ、遠くで巨大な影が木々を揺らしていく。
「モンスターの気配……多いな。」
俺が呟くと、アルネアの耳がぴくりと動いた。
「キュー……(あっち……いい気配……)」
「ヴォ……(気をつけろ……)」
サリウスが杖を構え、周囲を見渡す。
「ディル、ニール。焦るな。感じるものに、耳を澄ませろ。」
ディルは目を閉じ、風に身を委ねるようにして森の奥を見つめた。
「……わかる……呼んでる……!」
「行こう!」
俺たちはディルを先頭に、森の奥へと分け入った。
---
やがてたどり着いたのは、陽光が差し込む小さな泉。
水辺に、銀色の体毛を持つ四足の獣がいた。
背には苔が生え、小さな花が咲いている。瞳は琥珀色で、優しい光を宿していた。
「……こいつだ……!」
ディルの胸が高鳴るのが伝わってくる。
獣がこちらを見て、ゆっくりと歩み寄る。
「……俺と……来てくれるか……?」
「――グゥ……ル……」
優しい鳴き声が返った。
「やったな、ディル……!」
俺は笑った。
「こいつの真名……絶対に見つけよう。」
ディルの目が涙で滲んでいた。
「うん……相棒の名前を、ちゃんと呼んでやりたいんだ……!」
アルネアが羽耳を揺らし、ヴァルが低く咆哮する。
「キュー!」
「ヴォォ!」
こうして、ディルの相棒探しは成功した。
次の目標は――
この獣の真名を探すこと。
ジャングルの奥深く、まだ見ぬ遺跡や伝承が待っている。